25話。1567字。ギルド長に報告。
☆☆☆sideリクト☆☆☆
「帰って来たなぁ、街」
「ですね、ギルドに報告に行きましょうか」
ドラゴンと、魔族。
特に魔族が最後にこぼした情報。
ほとんど聞けずに吹っ飛ばした形だが、あの魔族は何か知っていた。
面倒だがギルド長への報告会だ。
「行くか~、ギルド」
「はい!」
上機嫌に足を運ぶセレーネいわく、ギルド一階ホールで出されるパンは相当に美味いらしい。
俺とは対照的にギルドへの足取りは軽いセレーネ。
真っすぐと歩き、ギルドに着いた俺たちは受付に向かう。
村で貰っていたクエスト完了証明書を提出し、報酬を二人で分け合えば終了である。
クエスト内容をなんとなく一瞥すると…………。
スズさん救助と、ドラゴンの調査または討伐と書かれている。
…………あれ。
ほとんどセレーネの成果だな?
「セレーネ、ギルド長と長話があるから待っててくれるか?」
「分かりました」
「ここのパン好きなの頼んでくれて良いから」
「そんなそんなっ!」
口では否定はしているが、一瞬だけ顔がほころんでいた。
「…………いいんだよ。任務達成フェスティバルだ。遠慮はいらない」
「…………では。すみませーん、コレとコレとコレ、あとコレも下さい!」
元気よく注文を始めたセレーネのテーブルに、そっと今回の報酬金を置いていく。
俺はギルド長室へと向かった。
☆☆☆
「と、言う訳でして。剣も折れるし散々でした。はぐれドラゴンかと思ったら、魔族の子飼いとか酷い話ですよね」
「しかもその魔族は最後に「怒られる」と言った訳だ」
魔族に仲間意識は存在しない。
ならば、主従関係。
力が正義の縦社会で、魔族を従えた物がいる。
上位の魔族と見て間違いないだろう。
ギルド長は机に身を伏して呻く。
「ウゥゥ~ン。リクト君追放、というかダークエルフだけ追い出せば良くないか」
「期日減ったんですか?」
「予測ではまだ平気だけどおぉ~、不安は尽きないかなぁ。今s級は君だけ、皆出払ってる。早めに魔族に来られたら、街そのものが詰みかねない」
配下の魔族を倒したとしても、魔族が俺を恨む事は考えられない。
魔族とは、人間の悪感情と人間への殺意をプログラムされた魔力塊。
精霊さんという善意の魔力塊が人間を裏切る事がありえない様に、魔物や魔族は俺を恨む選択肢を持たない。
「魔族には仲間意識とかないですし、急に事態が変わる事も無いのでは?」
「僕も同意見だよ。だから期限に変わりは無い。あと…………3日くらいで出てって~」
「期限縮みましたね、まぁ了解です。それまでなら安全とギルド長が言うなら安心できそうだ」
スキル『未来視』は無いそうだが、ギルド長の予測は良く当たる。
今回の魔族は恐らくセレーネ狙いの一味。
ただ、セレーネが今回の件に関わった証拠をまず魔族側は見つけられない。
少なくともこの街にセレーネが居る事を、暫く相手は知らないはずだ。
なら状況は変わらない。
ギルド長も同意見なら、悔しいが心強いという物だ。
「ギルド長、じゃあ何で不安そうにしてるんですか?」
「君が関わると碌な事がないからだよ」
うわ、なんか懐かしいな。ザザにも良く言われたっけ。
たしか「この街を守る一手目はお前の暗殺だ」とか。
「そういえばザザ達を見ませんけど、遠征ってどこまで行ってるんですか?」
「そんな遠くないよ、君たちの行った森から北西に行った場所で…………そろそろ折り返して帰って来ても良い頃なんだけどね。不足の事態があったのかも」
「嫌な予感がしますね」
「洒落にならないから君は黙ってくれるかい? もう戻って良いよ?」
納得いかないが、ギルド長に促されるまま部屋の扉に手をかける。
「あ、ギルド長。もくさつ~」
「腹立つね~、流行ってんの?」
「まだでーす」
後で流行らそ。
頭の中でギルド長ストレス計画に書き加える。
まぁ、この街とも近々お別れになりそうだけど。
俺はセレーネの待つ一階ホールへ向かった。
☆☆☆




