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規格外の『4倍バフ』で美少女と無双する。~褐色エルフと追放ざまぁ~  作者: 麗麗(レイレイ)


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24話。3709字。sideセレーネ。ドラゴン戦、早く燃やせ馬鹿になるぞ、『迷子』

☆☆☆sideセレーネ☆☆☆


スズさんを背負いドラゴンの周りを走り回る。

視線が切れ、ドラゴンが私を見失ったのを確認してから少しだけ離れた木陰にスズさんを移した。


ドラゴンへ剣を構え、相対する。


「上等です。やりましょうか!」

「グォォ!」


魔力を散らしてあえてドラゴンの注意を引く。

これで私とドラゴンの直線上からスズさんを外せた。


ブレスが一番怖かったですが、これで戦いやすくなりましたね。


辺りには木々。

ドラゴンにとって森は狭いはず。


ゴブリンロードの時の様に逃げながらならやりようもある。

見つめ合う僅かな時間の後、ドラゴンが先に動いた。


「グオォォ!」


────バキバキッ!


ドラゴンが尾を振り回すと、森が悲鳴を上げる。

…………あっさりと木々をなぎ倒していますね。


どうしよう。


距離を取る事は出来ない。

スズさんがいるし派手な真似をされても困る。


うう、ホントにどうしましょう!

頭の中をひっくり返して情報を漁る。


倒れて来る木々を避けながら、黒い感情を身に纏い前進するドラゴンに足がもつれた。


「ぁっ! こんな所で終われません!」


転びそうになり、慌てて持ち直して────思い出す。

リクトと出会った時の事を。

私が腰を抜かした時に、一撃で森を開いたリクトの高威力な一振りを。


正面に剣を構え、震える声で叫ぶ。


「…………バッチコーイ!」


対するドラゴンもまた、喉を僅かに震わせた。

それはブレスの前兆。

直線上にスズさんは居ない。だから、大丈夫。


だから、私が思いっきりぶっ飛ばしても大丈夫。


初めてリクトと会った日の優しい色を思い出す。

あの時の一振りは、恐らくステータスへのバフと、剣へのバフの合わせ技。


ステータスにはリクトが、剣へは私がバフをかけている今の状況なら、私にも出来るはず。

スキルと触れ合った時間が出来ると確信させる。


今のステータスは剣士より魔法使い向きなんですが、仕方ありません。

あの威力を魔法で出す自信はない。


敵と相対して剣を振るのは数十年ぶりだけど、身を包むバフは私に自信をくれた。


「グオォオ!!」

「おねがい!」


ドラゴンが放つブレスに合わせ、魔力を乗せた一振りを放つ。

震えた足で踏ん張って、握りしめた剣を全力で振り下ろした!


「てぇ────!!! …………あっ」


あ。



剣がすっぽ抜けた。



緊張で手汗が出ていたのだろうか。

手が震えていたからだろうか。


「グオ────」


ドラゴンが叫ぶ。


「ォ────」


だが、それは断末魔となった。


剣の軌道上にいたドラゴンは剣に触れたそばからチリになっていき、消失した。

ブレスもまとめてエネルギーの奔流に飲み込まれ、焼失。


「あ、あぁぁ!」


マズイ事になった。

しかし、剣は止まらない。


重力に従い剣が地面に落ちると魔力が劇的に膨れ上がり、剣先へと指向性を持った大爆発が起きる。


轟音。

地響き。

次いで一瞬の静寂。


────森が、開けた。


非常にマズイ事になった。

もしかして、また私やらかしました…………?


「すっごい…………!」

「あ、スズさんお怪我は」

「ないですないです! だって守ってもらいましたもん!」


ドラゴンが消滅したためかスズさんが高揚したように話す。


「ア~ありがとうございます…………」


私の眼前には削れた大地。

地表の見える茶色い道は200メートルは続いていそう。


遠い目で魔力探知を稼働させ、周囲を探る。

死者はいない。

それにこの魔力は…………!


抉れた大地の左右、森からリクトが汗だらけの顔を出した。


「良かった…………無事だったんですね!」

「しっしし、死ぬかと思った、死ぬかと思ったぁ!」


リクトも激しい戦いを乗り越えたらしい。


リクトと合流出来ましたし、スズさんもいる。

これで任務達成です、もしかしてこれ完璧な仕事ですね。


息を整えたリクトが心配そうに口を開く。


「悪いセレーネ、遅れた」

「あ……………………えと、私も今ついた所ですよっ!」

「ダウト」


あっさりとリクトに流される。


おかしい。

リクトは百戦錬磨だったりするのでしょうか。


すると驚いた様子のスズさんが背後からリクトへ援護した。


「ええ!? さっきまで守ってくれてたじゃないですか!?」

「先に着いていてもこう言うのです。これはこういう定型文。書物で見たので間違いありません」

「それだセレーネ。早く燃やせ」

「ツンデレですか?」

「…………間違ってると思うよ。部分的にじゃなくて全部」


☆☆☆


その後、スズさんを村まで送り届けると依頼者の女性に村の入り口で迎えられた。

どうやら入り口でずっと待っていたようで、こちらを見ると直ぐに駆けつけてスズさんを抱え込む。


「良かった…………! 本当に良かった…………! お二方、救っていただき本当にありがとうございます!」

「いいですとも! ね、リクト」

「はい、気にせずに。無事でよかったです」


続々出てきた村の方々に頭を下げられ、下げ返す。

あんまり褒められて少し照れてきた。


報告書も貰ったしそろそろ帰りませんか、とリクトに耳打ちすると頷いた後村の方々に向き直った。


「えー、皆さん少し良いですか? 申し訳ないのですが、今しばらく森への出入りは控えて欲しいんです!」


その言葉にみんなの感情が不安に傾き、代表者として村長が質問した。


「ドラゴンは倒せたとの報告では?」

「はい。ドラゴンは彼女、セレーネの一撃により消滅しました」

「えっ、あ、はい! 倒しました!」

「しかし、その時の戦闘により森がかなり危険な状態でして、戦闘職の方を含めて誰も入らない様にして欲しいのです!」


リクトの言葉で、辺りを覆っていた漠然とした不安が少し和らぐ。


「村長、少し依頼書の繊細についてご報告したいことが」


報酬の交渉でしょうか。

あるいは森の破壊について責任問題にならぬよう話をつけているのかも。


なんて言えば良いんですか?

いえ、まずはそう。


「すみませんでした」

「な、何のことですかな?」

「戦闘跡で森が破壊されたのも嘘じゃないんだよ、村長」

「そんなことでしたか」


村長さんは不思議そうに眉を下げ、リクトの一言でやっと森の一件だと理解した様子で反省する私に笑いかけてくれた。


「どうかお気になさらずに、お礼を受け取ってください」

「…………はい。次は気を付けます」

「ありがとう村長。んじゃ早速、セレーネも聞いてくれ」


リクトは親しげに村長さんと笑いあう。

いつの間にか村長さんとはあらかじめ打ち合わせをしていたらしい。


森の破壊でいちいち侵入を禁止する程この人達は弱くはない、とリクトは内緒話を始めた。

まず、魔族の出現と討伐。


「魔族…………ですか」


それは高い確率で私に関連している。

私の人生において、魔族とは私の引き連れた厄介事だと相場は決まっていた。


「え、え!? セレーネ殿の反応からして、リクト殿は単独で倒したのですか?」

「そうです」

「…………ドン引きですね。流石です」

「言葉を選ぶ間はあったでしょう、村長」


じゃれ合う様に話す二人でしたが、村長さんの感情の色が急にガラリと変わった。

真剣な顔つきで一呼吸。


「リクト殿、死んだ魔族は進入禁止の直接的な理由にはなりますまい。それ以上のなにかが村の近くにある…………そういう事ですかな?」

「はい。上位魔族が隠れ住んでいる可能性があります」


上位魔族と聞き、恐怖で冷や汗が流れた。

歴史上たまに現れる魔族(強者)の中の魔族(強者)


s級冒険者を複数人そろえて、良くて相打ちの化け物。

そいつの狙いが、もし私だとしたら。


「それは…………どうしようもありませんな。この村は早いうちに捨てて逃げ出すとしましょう」

「ギルド長に街で受け入れられるか聞いとくよ」


村長は悲しい色をしていた。

覚悟を決めた顔をしていた。


内緒話はおわり、私たちは馬車に乗り村の方々から手を振られつつ街を目指した。


☆☆☆


馬車の中で寝てるリクトを見ながら、今日を思う。


村の方々から感謝された。

綺麗な感情の色に溺れそうになる経験は長い冒険者経験でも珍しい事だ。


きっとリクトの才能だ。

『助ける』あるいは『巻き込まれる』才能。


リクトの自己犠牲精神には相性が良すぎる嫌いがある。

今では振り切れたが私も『迷子』や『魔力感知』よりもっと良い才能ならと思った事も多い。


心配です。


もし、もしも叶うならば、そばで支えたいけど。

魔族に追われる私が近くにいたら逆効果でしょう。


「あれ?」


あれ、リクトが居ない。

また私は迷ったらしい。


無意識のうちに馬車を降りていたらしく、私は野原に一人立っていた。


リクトは寝る前にこう言った。


「俺に命令しておいてくれ「街に着くまで10分おきに3メートル以内に近づけ」ってな具合に」


────ふわり。

精霊さんのジャッジで魔力パスが軽く揺れる。

つまりリクトが来てくれる。

馬車はどうなるのでしょう。


リクトは寝ていましが、起きて来るのか寝たまま操られて来るのか。


「申し訳ないです」


迷惑とは理解している。

でも、すこしだけ頬が緩む。


「ああ、良くない感情です」


呼びつければ来てくれる事が、心の底から嬉しい。


いつだって『迷子』で一人になった。

いつだって一人は心細かった。

でも魔力パスが繋がっている限り、私の心は満たされる。


ひどい迷惑だろうけど。ひどい女だろうけど。


「もう少しだけ、一緒に居たいなぁ」


これでは性悪女ですね。

…………鞭とか持った方がいいのでしょうか?

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