15話。1994字。じゅんって何よ! べっ、別に! 本当に勘違いしないでよね!
「ソロs級試験合格だねー」
「まったまった、筆記とか合ったでしょうよ」
「知識や経験の積み方、学科は問題ないと知ってるからね。ギルド長権限でパスしていいよ」
なんだそれ、英語の資格を取ると受験が楽になるって話か?
そういった資格を取った覚えないんだけども。
貸しを作るためってのは流石に違うだろうしな。
意図が掴めずギルド長を見れば、ため息が返ってきた。
「ふぅ、やれやれ」
「喧嘩ですか? 買いますけど」
「違う違う。いいかい? s級を舐めさせるな、が今回の趣旨。そして君は元s級パーティーのサポーターなんだぜ?」
実績で免除って事か。
「────そんなの当に認めてる、って話だよ」
…………俺の実力不足を確信していたと同時に、実力以外は疑っていなかった、と言いたい訳だ。
なーんかキレにくい話してきたなぁこの人。
禿げれば良いのに。
「禿げれば良いのに」
「相変わらず好感度低いね~」
つかオッサンのツンデレに価値なんてあるのか?
いや、ない。ないないマジでない。髪と共に失せろ。
「まぁ良かったよ、晴れてリクト君も準s級だ。実績を積み重ねたら正式にs級に認可出来るよー」
「えっ? s級じゃないの!?」
ギルド長が深くため息を吐く、見せつける様に2回。
「あのね、s級に必要なのは3つ。ギルド長の承認、s級試験、実績の提出と認可」
俺のいたパーティーは実績を積み重ねてからの試験だったから、知らなかったのかな。
仕方ない仕方ない。
「s級はね、ギルド長権限だけじゃ決められないんだよ」
うん、呆れられて仕方ない失態だ。ちくしょー。
s級は俺の夢みたいなものだったのに。
夢だけ語ってなる為の経路を知らない子供みたいな事をしてしまった。
知る方法も機会も合ったのにな。ちくしょ。
「それにしても試験官のドット君もご苦労様だねぇ」
ギルド長は、平静をいつの間にか取り戻したドット先輩を労っていた。
「リクト君が全力でバフかけるから見ててヒヤヒヤしたよ」
「ですがs級とs級代理の試合です。どちらが勝っても良かったのでしょう?」
「まぁね。でも今が最善だよ。剣ふくめ、ボーナスは弾むさ」
「ええ、期待していますね。良い剣を」
なんか嫌な会話だ。
ほとんど悪代官だろうこの二人。
「ほら行くよリクト君、準でもs級なんだ。ギルド長室で渡すものがあるからね」
「はーい、了解です」
☆☆☆
ギルド長室へ、二人で舞い戻るとギルド長が手のひらサイズの魔道具を持ち出した。
懐かしい道具でガチャリと金属板が挟まれる。
完成したのは一枚のネームタグ。
表面にはギルドの刻印が。裏面には自身の冒険者ナンバーが刻まれていた。
「はいこれ、ギルド長専用魔力活版で作ったやつだから失くさないでね」
ギルド長からs級のみ所持を許される金色のネームタグを頂戴した。
早速もともと首に掛けていた紐に二枚目のネームタグを通し、首にかける。
一枚目は銅色でソロc級の証だ。
s級パーティーの時はリーダーだけに渡されるので、個人のネームタグが金色なのは感慨深い。
「よし、じゃあ君はさっさとs級で観覧できる資料室に行きなさい。」
準とは言えs級合格に浸っていると、ギルド長が感慨を断ち切ってきた。
資料室ぅ?
今度は何をさせる気だ?
「まだきみはs級パーティーの一員として名前が残っている。そこで、君の隣にいた褐色肌のエルフについて調べなさい。準s級としては入れない資料に記載されていた筈だから早く行きなね」
…………ギルド長が言いたい事は分かった。
セレーネのエルフとしてのチグハグさの答えがそこにあるのだろう。
俺に利のある事だとも思う、が。
「…………いやぁ、その」
「どうした。知ってるだろうけど精霊さんの契約魔法を噛ませてるから資料室の出入りに融通は利かないし、ギルド長として内容を直接言う訳にも…………」
『色ボケのカス』と心で罵った相手に、俺は告げた。
「いやね、さっきそのエルフの子とパーティーの登録申請しちゃった」
「…………馬鹿なんじゃないの? 確かに美人だったけどさぁ、普通次の日に新パーティー結成する?」
当日じゃなかった分褒めてほしいくらいだよ。
「つくづく予想外だなぁ…………これ書類が前倒しになってs級権限にセーフティかかるよぉ? 僕は急いで書類回収して遅らせてくるから、急いで資料室行きなね? そんな持たないだろうから」
「ありがとうございます、ギルド長」
さて、資料室に行くか。
振り返り扉を出ようと足を進めるとギルド長が小さく声をかけてくる。
「やる事はやってねー」
「…………はーい、了解ですよギルド長」
セレーネが何か厄介ごとを引き連れるなら、俺が責任を持てと言う事だろう。
言われるまでもない。
「勘違いしないでよね!? 報告しっかりして欲しいだけなんだからね!!」
バカでかい声のツンデレを背後に俺は資料室に向かった。
まったく心外だ、流石に報告ぐらいするってのに。
森の件は隠ぺいしたが、もうバレた以上しっかり巻き込む心持ちだよ俺は。
☆☆☆




