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ソロ攻略と「静電気」の応用術

Fランクのハンターカードを懐に忍ばせ、俺は深夜の「第3未登録ダンジョン」のゲートを一人で潜り抜けた。

ここは危険度が低いとされながらも、入り組んだ地形と多様なモンスターのせいで攻略効率が悪く、ハンターたちから見捨てられたエリアだ。


(さて……俺の『超高周波パルス』がどこまで通用するか、実戦で検証してみるとしよう)


薄暗い洞窟の奥から、凶暴な肉食獣型モンスター『ラグドール・ウルフ』が三頭、唸り声を上げながら飛び出してきた。

俊敏な動きで一斉に襲いかかってくる。普通のハンターなら距離を取って広範囲魔法を放つ場面だ。


だが、俺は逃げるどころか一歩踏み出し、前方の空間に向けて右手を軽く払った。


バチッ。


「『並列パルス送信』――範囲内の生体シグナルをジャック」


Plaintext

[Multi-Target_Hack: Ragdoll_Wolf x3]

Executing: Motor_Nerve_Block (Pulse_Frequency: 120Hz)

Result: Signal Intercepted.

――ピクンッ!


空中で飛びかかってきた三頭のウルフが、まるで糸の切れた人形のように示し合わせたように一斉に落下し、地面を滑って俺の足元でピタリと動かなくなった。

全身の運動神経へ微弱電流を送り込み、シナプス伝達を完全にブロックしたのだ。


「次は……心臓の脈動シグナルへの干渉だ」


俺が倒れたウルフの一頭に指先で触れ、心臓の電気リズム(心電図シグナル)へほんの僅かな乱れ(ノイズ)を注入する。


――トスン。


苦しむ素振りすら見せず、ウルフは一瞬で心不全を起こし、静かに息絶えた。


(外側を物理的に破壊するより、何百倍も静かで、何千倍も効率的だ……。消費する魔力(スタミナ)もほぼゼロ)


さらに奥へ進むと、ダンジョンの防衛システムとして設置された古代のセキュリティ機械(監視ドローン)が赤く目を光らせて立ち塞がった。

銃口がこちらを向き、弾丸が放たれる――直前。


「機械のメイン基板なら、生物の神経よりさらに簡単だ」


バチッ。


Plaintext

[Machine_Hack: Drone_Security_v1]

Overriding_Control_Unit...

Command: Friend_or_Foe_Data -> Invert. Target: Monsters.

ドローンは銃口を旋回させ、奥から現れた巨大な岩石モンスター『ゴーレム』に向かって銃弾を乱射し始めた。

混乱するゴーレムの関節部分に、俺はさらにパルスを打ち込んで関節の駆動モータ(魔法動力)を暴走させ、自滅へと追い込む。


「運動神経の麻痺、脈動の強制停止、機械のハッキング……。どれも『出力0.02KW』の静電気で完結する」


わずか三十分。

高ランクパーティーが数時間かけて攻略するダンジョン最深部まで到達した俺は、ボスの魔石を手に入れて静かに口元を緩めた。


「よし……これなら一人で幾らでも稼げる。妹の薬代どころか、最速で成り上がれるぞ」


最弱の仮面を被った男の、圧倒的な「ソロ無双」がここに完成したのだった。

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