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 男は布団を被っていた。既に午後三時を過ぎている。

 一つ、深い溜息を吐いた。男は布団を蹴って飛ばした。ベッドの下へ布団が落ちた。ゴミだらけの床だったことを思い出し、男は急いで梯子を降りた。床を踏んだ。踏みつけた何かを足から剥がした。教科書の紙片だった。


 男は階段を下り、リビングに出た。誰もいない。猫もいなくなった。代わりに大きな窓からは庭の様子が見て取れた。何羽もの鳥がモミジに、モッコウバラに留まっていた。


 大窓を開けて、壊れかけた網戸を動かした。レールから外れて金属音が鳴る。高い音が滑った後、男の耳には虫の声が聞こえた。


 もう夏に近かったのだ。

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