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狂気の妖剣士(2)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。

 そんな決心を抱く一行が乗るヘリに無線が入った。地上にいる特捜5課からからである。


 それによると、京士郎が殺人を繰り返しながら逃走しているのを目撃し、現在特殊武装部隊300人が追跡しているのだそうだ。


「了解。わかっているとは思うが、奴を見失うな。機を見計らい、殺せる状況になったら迷わず殺せ。それが無理なら、私達が到着するまでもたせろ。いいな?」

 忍はそう言い、部下から返事を受けると、無線を切った。


「大丈夫かな? あの人達」

 地上にいる特捜5課を心配した未来がそう呟くと、武文は、


「無理かもしれない」

 と、即答した。


「え?」


「実は犬飼警視と源士郎さんは、僕らより前に殺し屋団体10組、計90人に依頼してたらしいんだけど、1人残らず彼に瞬殺されたらしいよ」

 その事実を知った未来と死獣神メンバーは一驚し、覚悟を決めた。呪いと人体実験の代償によって一騎当千の力を得た妖剣士と対峙する覚悟を。



 それからしばらくして、龍達を乗せたヘリコプターは、あのあとすぐ無線で知らされた廃倉庫近くに着陸し、ヘリから降りた龍達は徒歩で現場に到着した。


 その時にはすでに、建物内で断末魔の叫びによる大合唱が響き渡っていた。


「これは、特捜5課存続のピンチだね」


「そうなってでも、奴は止めなければならない。それが、あの刀の監視を任された我が犬飼家の役目。ひいては特捜5課の責務だ」

 責任を果たそうとする忍を見て、ヘリから出た時に入れ替わったペガサスは、鳳凰と獅子の肩に手を置き、彼女達と一緒にホテルで待機しておくと伝えた。

 もしもの時の戦力温存と回復役の確保のためである。


 それを聞いた青龍らは了承し、玄武とAIも、ここで仕留められなかった時の分析のために、ペガサスに同行することにした。

 当然、分析のための離脱ということは、未来も例外ではない。


「未来さん。君も行くよ」


「え? でも……」


「気持ちはわかるけど、ここにいても僕らじゃ足手まといになるだけだ。僕らは僕らの仕事に徹しよう」

 武文にそう諭された未来は、それが結果的に事態解決に繋がるならと思い、ペガサスらと共にホテルに向かった。

 『光のセレナーデで魅力されてるはずなのに、他のところにも依頼したのか』と、思う方もいるかもしれませんが、他の殺し屋達への依頼は、なるべく死獣神の手を借りたくないと思った源士郎が独断でやったことです。

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