↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤き神狼イグニス、今日も全力!  作者: 石火


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/33

第十七話 赤き神狼とサジタリウス

『十一番あった!』


 冒険者ギルドへ戻り、自分の貰った整理番号と同じ番号を発見した。


「イグニス様。お待たせいたしました。お話があるので奥へ……」


『おやじが待ってるのに―』


 受付奥の応接室へ案内されたが、肉が気になって落ち着かない。


「お話というのは、ワイバーンの買取り金額なんですが、大金貨五枚になります」


『オッケー』


「いえ、あの……一度に大金貨五枚は払えませんので、大金貨一枚以内なら払えます!残りは手形での支払いにさせて頂きたいのです」


『おやじの肉が食える分は欲しいな』


「町での値段としては、パンが一つ銅貨一枚。屋台の肉なら銅貨三枚から五枚あれば大丈夫だと思います」


 フムフムと頷くが……肉が食べられるのか気になって、頭に入ってこない。


「町にいて不自由のない金額で今日はお願いします。使いやすいように色々な硬貨で大金貨一枚分をお渡し致します」


 別にすぐに使うのなんて肉代だけだ。


『オッケー。貸し一つね!』


「もちろんです!では用意をしてきますので、お待ちください」


 受付嬢は足早に部屋から出て行き、すぐに戻ってきた。


「お待たせ致しました。こちらが金貨四枚と小金貨が五十枚、銀貨が九十八枚、銅貨二十枚で御用意しました。革袋はお持ちください」


『分かった。手間を掛けさせたな』


 そう言って、そそくさと冒険者ギルドを後にした。


『待ってろよおやじ。すぐに行くからな!』




 なんだか、おやじの屋台が賑わってる……。


『お、おやじ……。金は用意できた……ぞ』


 見上げると、おやじは汗だくで肉を焼いていた……。


(肉焼きマシーンになっとるやないかい!肉くれなんて言えない……)


「おっ!イグニス様。御活躍は聞きました!肉も焼いてますから、もう少しだけお待ちくださいね!」


『おやじー!最高だよあんたわ!』


 ほどなくして出された肉に舌鼓を打った。


『おやじ、いくらだ?』


「銀貨三枚になります!」


『俺でも泊まれる宿ってあるか?』


 支払いをしながら聞いたが、良い答えは返ってこなかった……。

 どうやら人じゃないとダメらしい。


『人か……』


 うーん……。


 うーん……。


 うーん……。


 なるほどなるほど、人になれば良いんだ!


(ってか、俺天才かもしれない!)


 イグニスは開拓町ハージマーリングを後にした。

 神狼なんだから人化なんて簡単にできるでしょ?なんて思ってた時もあった……。


 なんで出来ないんだよ!


(走りながらなのがダメなのか?ながら走りだめ!絶対!)


 このやるせなさは、あのオレンジ色の飛んでるヤツにぶつけてやる!

 この辺りに巣があんだろ?目星はついているんだからな!


(いつも、あの山と山の間を通るんだから狙うはあそこか!)


 ふんふんふーん。狙いも定まったし鼻歌も出るってもんだよな!


 遠くから空気を切り裂く音がする。


(来たっ!せ~のっ!)


『止まれ――――!!!!』


 近くで見るとオレンジ色したヤツは、ドラゴンだった。

 暴走ドラゴン!?


「この間から、我を呼び止めるのは貴様か……」


『この暴走ドラゴン!!スピード違反です!期日までに罰金払って!』


「な、なに!?」


 罰金?期限?と困惑しているドラゴンをよそに、俺は話を進める。


『いけませんねえ。どこで免許とったの?更新してる?親御さん泣いてるよ?』


「め、免許?親御さん?貴様は何を言っているんだ?……ん?その気配、お前は神狼ではないか!」


『はいはい。必殺話題替え作戦ね。そういうのこっちは慣れてるから、ほら免許証出して!』


「月と太陽に愛されし者……。世界樹の元を離れ、防衛圏最果てで何をしておるのだ?」


『こっちも、忙しい身なのよ。ゴネてないで免許証出してねー』


「話が通じん……。神狼よ血の記憶を思い出せ!」


 ドラゴンから眩い銀色の光が発せられ、辺りを銀色に染めた……。


『うわっ!眩しっ!』


「どうじゃ?」


『何が「どうじゃ?」だよ!眩しいだろ!……って、お前はサジタリウスか?』


「そうだ。我は第六のドラゴン、サジタリウスじゃ」


『俺。なんか知らないけど、お前のことが分かる~』


「貴様の中に眠る、血の記憶を呼び起こしたのじゃ。貴様は誰じゃ?」


『俺は足が速い神狼イグニスだけど……なんか、なんか今なら出来そうな気がする!』


「な、なにがじゃ!?」



【ポンッ!!】



 音が鳴り、煙が消えるとそこには神狼イグニスの姿は無く、長い赤髪を靡かせた全裸の少年がいた……。


「!?」

『やったー!人化成功だ!』


 『やったー!』と喜び走り回るイグニスに、サジタリウスは短く溜息を吐き飛び去った。




***




「な、なんじゃったんだあやつは……」


 自分に割り当てられた地域の巡回に戻ったサジタリウスは、イグニスのことを思い出していた。


 何日前からだろうか、遠くから魔力の乗った声で『止まれ!』『どこ行くの?』『そっち怖い人いるよ』など、よく分からない事を言われていた。


 そして先ほど……ある程度、腑に落ちた。


「あやつは巣立って間もない……ただのクソガキってやつじゃ。じゃが、これからは神狼としての働きも思い出していくじゃろう……たぶん……」


 一抹の不安を覚えながらも、サジタリウスは巡回に戻った。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

評価やブックマークをいただけると、執筆の大きな励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。