鉢合わせ
「あの兄っ…橘先生」
「ん、なんだ?」
あぶねー、いつもの癖で兄貴っていうとこだった。前に兄貴呼びしたときはすげぇ怒られたからな......
まあ、いいや。てか、今はそんなことよりも明日のアポ取らないと。
「明日の体育祭作戦会議のアポ取りに来ました」
「あぁ、そのことか」
その後は明日やる体育祭作戦会議のアポ取りをして終わった。
「あ、言い忘れていたが、橘お前うちのクラスのリーダーな」
「え、なんで」
突然告げられたことに驚いてつい、いつもの口調で話してしまった。
やっちまった………
「何でって………はぁ、体育祭実行委員からクラスのリーダーをきめないといけないからだろ。前に説明しただろ」
「す、すみません」
「まあ、とりあえずお前リーダーだから。よろしくな」
「は、はい……」
なんか俺の意見振る無視で、どんどん色んな仕事任せられるんだけど......
そんなことを考えていると不意に誰かに抱き着かれた。
「颯!!アポ取り終わった?」
「うわぁ!?って梨花!?急になんで抱き着くんだ」
「だって、ほら、あれ見てみなさい」
急にいつもの口調に戻る梨花に少し違和感を抱いたが、梨花が指を差した方を見るとそんなことはどうでもよかった。
「彗!?」
「颯君...」
クソ!!梨花が抱き着いてきたのはこれが狙いか!にしても流石にこれはやりすぎだ!
「彗これはっーー!」
「ごめん、玲奈……私ちょっと急用思い出した」
そう言うと彗さんは一人でどこかに行ってしまった。
「糞野郎、お前ついに浮ーー」
「浮気なんてやるわけないだろ!」
「でも、今のは流石に言い逃れできないぞ」
「違う!嵌められたんだ!おい梨花!!流石にこれはやりすぎだ!!」
「あら、ごめんなさいね。つい意地悪したくなってしまって」
ニヤニヤと笑う梨花に殺意を沸かせてしまった。
「とりあえず、俺は彗を探しに行く」
「あっそ、浮気男」
「いくらでも言っとけ」
中略
やばい、彗さんどこ行った?
あぁ!!梨花の奴、余計なことしやがって
流石にこれはやりすぎだ!
「あれ?屋上の扉が開いてる」
階段を上っていたらいつもだったら絶対に空いていない屋上の扉が開いていた。
まさか!彗さんが………
「彗!!」
「え?、颯君……」
屋上には今にでも涙が溢れそうになっている彗さんがいた。
「彗、あれは誤解っーーー!!」
「わかってるよ、颯君が浮気なんてしないこと。颯君は自分がされて悲しいことを人にするような人じゃないってことを」
そのあと彗さんは悔しそうな表情を浮かべて言った。
「ただね、私は颯君が藍里さんやさっきの女の子と話してるときは気を遣わずに話していたとこを見て、悔しかったの。確かにこの前言ってた通りだよ、今の関係のままじゃ本音を語り合えない、”ただの形だけの関係”になっちゃう」
「ーーっ!」
「私はそんなの嫌だ。私は颯君のことが大好きだからこそ対等な関係を築いていきたい。だから私も心の整理をして待ってる」
あぁやっぱり彗さんは優しいな。
そう言い切った彗さんの瞳にはもう涙などはなかった。
俺はとりあえず今言いたいことを言葉にした。
「俺はあなたのそんなとこに惚れました。ありがとう彗。俺、頑張るからさ、きちんと見ててね」
「うん、浮気はしちゃだめだよ」
そう告げたあと俺と彗さんは、二人一緒で並びながら教室に帰った。




