俺と呼び捨て
午後の授業も終わり、俺が帰りの準備をしていると声をかけられた。
「颯!一緒に練習に行かないか?」
「あぁ、蓮君か。いいよ一緒にいこ」
今、俺に声をかけてきた男は『松島 蓮』
蓮は周りからの人望があり先生や色々な生徒からも好かれている。俺と一緒に体育祭実行委員をやっており、今は俺の友達だ。
実際、俺もこうやって誘われると、とても嬉しい。
「あ、てか今日知ったんだけど颯と月城先輩って付き合ってたんだな」
「うん、そうだよ。でもそれがどうしたの?」
「いや、今日姉ちゃんが言ってたからさ」
「え、姉ちゃん?」
「あぁ、言ってなかったな。俺姉ちゃんいるんだよ」
「ちょっと待って、下の名前教えーーー」
「おーい、蓮そんなとこで何やってんの?」
俺の言葉を遮り蓮君に話しかけてきた人は『松島 玲奈』
彗さんの親友?であり、俺のことをなぜか嫌っている人だ。
「あ、玲奈姉。こんなとこで何してんの?」
「質問を質問で返すな。私は二人三脚の練習をしに来たんだ。で、お前の隣にいる根暗そうなやつは誰だ?」
なんか言葉にとげがあるような……やっぱ俺にきびしいな......
「あぁ、こいつは橘 颯。俺の友達だ!!そして、黒瀬 藍里と二人三脚をする噂の男がこいつだ!」
なにその噂、とツッコミをしたいとこだが今はやめとこう。てか、蓮君!余計なこと言わないでよ!
あぁ!松島先輩が今にでも、俺のこと殺しそうな目で睨んでくる!!
「チっ、彗という存在がありながら他の女と浮気か」
「いや、浮気なんてーーー」
「浮気?」
「え、彗さん!?」
うしろからとても冷たく冷徹な声が聞こえてきたので振り返ってみると、そこにはとても怖くて今にでも逃げ出したくなるなるような顔をしている彗さんがいた。
いや、なんでここに彗さんがいるんだ?
「ねえ颯くん、浮気ってどうゆうこと?」
「いやいや!!浮気なんてしてませんよ!松島先輩が勝手に言っているだけです!」
彗さんは一度俺の顔を見て急にため息をつく。え、俺なんかした?
「まあ、颯くんが私に噓なんてつくわけないよね」
「は、はい。俺には彗さんしかいないので浮気なんてしませんよ」
「そう言ってもらえると嬉しいな」
そんな感じで彗さんと話していると藍里が話しかけてきた。
「颯~二人三脚ーーー」
「ん?あぁ、今行くよ」
「彗先輩、なんでここにいるんですか?」
「え?なんでって、颯くんを応援しに来ただけだよ?」
あれ?なんか彗さんも藍里もなんか、言葉にとげがあるような……
気のせいか?
「てか、颯くん」
「はい?」
「なんで、私はさん付けなのに藍里さんは呼び捨てなんですか?」
「なんでって、颯は私の”友達”なんですよ?呼び捨てぐらい普通ですよ」
やっぱりなんか、二人って仲悪い?だれかこの雰囲気を何とかしてくれ!!
「まぁまぁ、お二人さんそこまでにしといて。とりあえず藍里さんと颯は二人三脚の練習をするんでしょ?早くいってきな」
ありがとうございます松島先輩。今はあなたが天使に見えます。
「まぁ、玲奈が言うなら......」
しゅんと、してしまった彗さんを見て、自分に情けなさを感じた俺は、気づけば彗さの前にいた。
「大丈夫ですよ、俺は”彗”が大好きだから」
「ーーっ!」
「じ、じゃあ!!行ってくるね彗さん!」
「ふふっ、いってらっしゃい、”颯”」
そう言って微笑んだ彗さんの笑顔は、俺のモチベーションをぶち上げるには十分すぎるぐらいだった。




