私と颯、俺と藍里
side:藍里
「藍里、今まで本当にごめん」
「うぇ!?」
私が颯に話しかけようとしたとき、颯が私の言葉を遮って深々と頭を下げた。
いや……急にどうしたの?マジで……
「いや……」
「え、なんでそんな引いてんの?」
「だって急にシリアスな雰囲気にして謝られても……」
「あ、それはごめん」
「う、うん。……で、何のこと?」
「あ、あぁ、それはーーーー」
颯は、これまでのことを全部話してくれた。私のことをなんとも思っていなかったこと。優奈さんが秀真さんと浮気していたこと。私を利用していたこと……
うん……全部知ってたけど颯くんが謝ってれたことがうれしいな、本当にうれしい
「颯くん、私ね、利用されていることも、優奈さんとの関係も、私のことを何とも思ってないことも全部知ってるよ。私はそれを承知の上で颯くんと一緒にいたからね」
私がそうゆうと颯くんは驚いたように言った。
「じゃ、じゃあなんでこんな俺と一緒にいたんだよ。俺はお前のことなんと思ってなかったんだぞ!」
「それはね、颯くんは覚えてないかもしれないけど、私は中学時代に颯くんに救われたからだよ」
颯くんは、覚えてなさそうだ。顔いっぱいに?が浮かんでいる。
「はぁ~、覚えられてないのは悲しいなぁ。しょうがないなぁ~、仕方ないから私が一から教えてあげる。」
「あれは私が中学生の時……」
とお決まりの回想シーンが始まった。
中学時代
颯くんと出会ったのは中二の夏。あの時の私は今と違って好きな子にもアプローチをしないような地味な子だった。颯くんは今と違ってすごく明るくてクラスの中でも目立つ方だった。だから私は颯くんを眺めるだけの毎日を過ごしていた。だがある日を境に私の生活は一変した。その出来事とは母が交通事故に巻き込まれて亡くなった。私は母が大好きだった。だからそんな母が亡くなったと聞いた時、私は何もかもが見えなくなった。もう自分でも何を考えているか分からなくなった。母が亡くなってから私はまともな生活が出来なくなり、ご飯も喉を通らずまともに睡眠もとれてなかった。そんな毎日を続けていると学校で体調を崩した。廊下を歩いていたら突然
目眩がしてその場で倒れた。目を覚ますとそこは保健室のベットの上だった。
「あ、やっと起きた」
「え、た、橘くん!?」
私は飛び起きた。だってそこにはずっと好きだった人が私の目の前にいたから。
「うぉ!急に飛び起きんなよ。びっくりするだろ」
「あ、あぁ、ごめんね橘くん」
「そ、そんなしんみりすんなよ。気まずいだろ……そんで体調は大丈夫か」
颯くんは気まずそうに私に聞いてくる。
「う、うん……少し楽になったよ、ありがとう」
「そ、ならよかった」
そう言ったあと颯くんは真剣な表情になって言った。
「お前の母親、亡くなったんだろ」
「ーーっ!」
「その感じほんとなんだな」
颯くんはそうゆうと続けてこう言った。
「本当にごめん!」
「え、?」
私の理解が追い付いていないのがわかった颯くんは続けてこう言った。
「俺、お前の親が亡くなったの知ってたのに、なんにもサポート出来なかった。だからこんな結果を招いちまった。本当にごめん!」
「ぽかぁーん」
「な、なんだよその顔」
「ぷっ、あっははは!」
「な、なんで笑ってんだよ!こっちは真剣に謝ってんだぞ!」
だ、だって……!
「橘くん、優しすぎるもん」
「ーーっ!」
「普通こんなことで謝らないし、私のこと心配しないでしょ」
私がそう話すと颯くんは怒ったように言った。
「なにそれ、それじゃまるで、藍里さんが倒れても誰も助けないような言い方だけど」
「ーーっ!」
彼の怒った姿を初めて見た。すごく怒気が混ざった声で
すごく、かっこよかった
「なぁ、お前、何か勘違いしてるから言うけど俺らのクラスの奴、全員お前のこと心配してたんだぞ」
「え、……」
私はもちろん驚いた。だって誰も私のことなんてなんとも思ってないと思ってたから。その言葉が私にとっての救いになった。
「もちろん、俺も黒瀬のことが心配だった。だからさ、お前もつらい時は周りに頼っていいんだよ。もしなんかあったら俺を頼れ。俺が助けるからさ」
ポロッ
うれしかった。
かっこよかった。
救われた。
あなたのその全てに。
「ふふっ……ありがとう、颯くん!」
「あ、あぁ?」
現在
「……って感じだったけど覚える?」
「そんなことがあったようななかったような……」
「はぁ~、まぁいいや。ま、そんなことがあったから、私は颯くんと仲良くしたいと思ったの」
「そうだったんだ」
これでやっと私も覚悟決めれる。この気持ち、スッキリしよ。
「ねぇ、颯くん」
「ん、どうした?」
「私、颯くんのことが好き、ほんとに大好き!」
side:颯
「私、颯くんのことが好き、ほんとに大好き!」
藍里のその瞳は、とても綺麗だった。
既視感、俺はその瞳を見て彗さんの告白を思い出した。
あぁ、藍里と彗さんはこんなに真剣な気持ちで告白してくれたんだ。じゃあ俺もきちんと、告白の返事しないとな。
藍里、俺は……
「すまない藍里。俺は君とは付き合えない」
沈黙が続くとやがて藍里が口を開いた。
「あ~あぁ、振られちゃった」
そう言った、藍里はどこかが、吹っ切れた感じで瞼には涙が溢れそうになっていた。
「”颯”、振られちゃったけど、これからは”友達”としてよろしくね!」
本当に突然だった。急に口調や名前の呼び方を変えた。それはまるで俺を諦めて
新たな道に進んで行くように思えた。
「藍里……本当にありがとう……こんな俺を好きでいてくれて」
「ーーっ!もう!そうゆうとこがずるいよ、”颯くん”!」
「え、えぇー?」
「はい、もう行くよ颯!」
「ちょ、まてよ」
藍里はなにそれ?、と言いながら走っていく。それを見ながら俺は心の中で言った。
俺の方が藍里に救われてるよ、友達になってくれてありがとう。




