俺と覚悟
side:颯
「さようなら颯。あなただけは絶対に殺す」
梨花は言葉を吐き捨てるように言って、その場を立ち去った。
「ごめん、梨花……」
そう、つぶやいたがその言葉は風の音で消えていった。
その後、僕たちは下山したあと、夜に行われるキャンプファイヤーの準備をしていた。
『さようなら颯。あなただけは絶対に殺す』
ずっと頭から離れない。ずっと仲良くしていた人から言われた。梨花との関係がこんなにすぐ終わるとは思ってなかった。心の中に空いた穴、が喪失感をかきたてる。秀真の時と同じだった。大切な人が亡くなった感覚と全く同じ。
「あぁ、俺、梨花のこと本当に大切だと思ってたんだ」
ポロッ
ポロッ
あ、あれ、俺、泣いてる。
なんで俺は、人付き合いがうまくいかないんだろ。
なんでよ……な、なんなん…だよ
そんなに、俺はみんなにひどいことした?
つらいよ
きついよ
どうすりゃいいんだよ
なんで俺は、こんなに惨めなんだよぉ
「はいはい、立って。もうこれ以上、情けないところ見せないで」
「ーーっ!……あ、藍里、なんでこんなところにいるんだよ」
「なんでって…はぁ、あのね颯、もうキャンプファイヤー始まる時間だよ。そりゃあ時間になっても颯が来なかったら探しに行くよ。しかも颯、すごく泣いてるから話しかけにくかったし」
「うぐっ……そ、それはすまなかった…」
「謝るぐらいなら泣いてた理由、私に話してスッキリしてよ」
そんな藍里の言葉を聞いて俺は情けなかった。だけどこの時はそんなことどうでもよかった。とにかく誰かに寄り添ってもらいたかった。
「お、俺は………!」
今まであったことを藍里にすべて話した。藍里はすべての話を真剣に聞いてくれた。そのときの藍里との会話は妙に安心感がある落ち着いた、雰囲気だった。その落ち着いた雰囲気が俺の中にある毒を抜いていく。
「……て、感じで今に至るって感じ。我ながら馬鹿な高校生活っ…!」
ぎゅっ
「辛かったね、強がらなくていいんだよ。私の前では、素の自分を出していいんだよ。だからお願い、強がらずに颯くんの本音を聞かせて」
藍里は俺の全てをつつみこむ様な、優しい声で俺の耳元で囁く。そんな藍里の声に
俺の中でずっと押さえ込んでいた本音が口から飛び出していた。
「お、俺は……ずっと優奈とか秀真のことが心の底から好きだった!なのに優奈と
秀真は2人で俺のことをずっとだましてた。その現実が俺を絶望のどん底に、落としていった。ずっと辛くて、気持ち悪くて、吐き気がして、いっその事、死んだほうが楽になるんじゃないかなとまで思っていた。梨花との関係だって最初は嫌な出会いだったけど、それでも仲良くなって、ここまで一緒に歩んでいたのにあんな縁の切り方はあんまりだよ。俺はこのままの関係でいたくない。またみんなで遊んだり、話したりしたい……俺は、みんなで一緒に楽しく過ごせる学校生活を送りたい!」
はぁ、はぁ、言いたいことは全部言った。すごく心地がいい。何もかもが吹っ切れた。俺の中で胸の中に押さえ込んでしまっていた、気持ちをすべてさらけ出した。自然と、心が軽くなった気がする。そんな事を考えていると藍里が大事なことを俺に言った。
「颯くんには本音を話せる人が必要だったんだよ。」
「ーーっ!」
「どう、スッキリしたでしょ?」
「あぁ、ありがと、藍里。色々とスッキリしたよ」
本当にスッキリした……
「それならよかった。で、覚悟は出来たの?」
「まだできてないかも」
俺には最後にやらないといけないことがある。
「わかった。じゃあ私はもう行くね……”颯”、頑張れよ!」
「あぁ、本当にありがとう藍里、大事なことに気づけたよ」
ほんとにありがとう……
「さぁーて、そろそろ俺も覚悟決めますか」
俺はそう独り言をこぼし、覚悟を決め、優奈と決めた待ち合わせ場所に向かった。
本当に大切なのは相手と向き合う勇気だけ




