僕と過ち
僕たちは山頂にて昼食をとっていた。食事を済ませた後、山頂からの
景色をぼんやりと見ながら僕は考えていた。彗さんからの告白について。
『颯くん、私はあなたのことが好き、大好き』
今でも頭の中でずっとよぎるあの言葉。優奈に告白された時とはまた違った感覚だ
った。
あぁ、優奈と彗さん告白の違いが全く分からん。そんな風に答えがわからず困っていると不意に誰かに声をかけられる。
「大丈夫?颯、あんた顔色悪いわよ」
「あ、あぁ、梨花か。大丈夫だ、問題ない」
「そ、そう、何故急にイケボに?」
「これは一種のノリだ」
「ふ~ん……意味がわからないわ」
そんな、おふざけ話をしていると梨花が、「それで」と言い、話の話題を戻して
言った。
「何を悩んでいるの?」
「ーーっ」
真剣に聞いてくる梨花に目をそらしながら、抱えていた悩みをこぼしてしまう。
「実は……」
side:梨花
山頂からの景色を見ていると一人の男が視界に入る。
『橘 颯』私の友達であり、私の初恋相手。
彼と出会ったきっかけは、私をいじめている遠藤寺 秀真の命令からだった。
『おいゴミ女、お前これから颯との会話を録音してこい』
今思えばなんでこんな奴の言うこと聞いてたんだろ、と思う。まぁ、そのあとの
展開は早かった。颯と復讐同盟みたいなのを組んだりスパイごっこしたり、自分たちの気持ちを語り合って気持ちを再度確認した。ま、まぁ、この感じだとこのまま仲が良い方向に向くと思って浮かれていたけど、現実はとても冷たく儚いもの。全てが
上手くいくとは限らない。
「実は俺、復讐を実行するか迷ってる」
「ーーっ!」
その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
なんで……なんでなの。急に何を言ってるの。あんなに準備一緒に
頑張ったじゃん……何があなたを惑わせてるの?
あなたと私はあいつらにあんなことをされたのに、それを許せというの?
そんなの絶対に嫌!
「今更そんなこと言っても遅いわよ。私たちは、もう戻れ……」
「戻れなくてもいい、それでも”俺”はやっぱり、復讐はやりたくない!復讐をしたら俺は、本当の俺を失う気がするから!」
「ーーっ!」
颯の真剣な目を見て、その覚悟を決めた言葉を聞いて、私は気持ち悪く感じた。
私はもうとっくに狂ってたんだ。
現実から逃げて、
都合の悪い話しは聞こうとせず
全てを諦めて、
自分を見つめなかった。
私はあなたと似ていると思ってたけど、全然似ていなかったわ。あなたは自分を
見つめ直せる強さがある。私にはない、一生出来ない事があなたには出来る。
その現実が憎くて、悔しい。そして、何とも言えない感情が押しをせてくる。
嫌悪。この感情を一言で表した言葉。
この感情が私を動かす動力。
その感情を感じ取った瞬間、私は颯……いや、"裏切り者"に吐き捨てるように
言った。
「さようなら颯。あなただけは絶対に殺す」
私は決めた。
必ず、橘 颯に復讐する。




