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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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797/2207

第667堀:相変わらず元気

相変わらず元気



Side:ユキ



「あらよーっと」

「こら!! ブレード、待て!! ロンリ!!」

「ブレード陛下を追え、追え!!」


俺たちが、ノーブルの所で面倒なことを聞いて、少し憂鬱になっていたのだが、そんな気分はローデイに来て霧散した。

というか、四散した。


なぜかというと、俺たちがゲートを通って、ローデイの王宮に直通で来たのだが、そこにローデイの王ことブレードのおっさんが、3階の窓から飛び出して、見事に着地を決めて、こちらに走ってきていたからだ。

何やってんだ、あのおっさんは……。

俺たちがそんな感じで呆れていると、俺たちがやってきたことに気が付いたのか、手を振りながら声を出す。


「おー、来たかー!! 今見ての通り、逃げてるんでな。詳しい話は、ベータンで話そうじゃないか!! ゲート衛兵、ベータンへ開門!! 通るぞ!! 緊急事態につき、使用許可証の確認はなしだ!! というか、確認するまでもないだろう?」

「は? ははっ!!」 


一気にまくしたてられた、雇われの一般兵はブレードの言葉に逆らえず、ゲートを起動して、ブレードは止まることなくゲートを駆け抜けてしまう。


「はっ!? しまった。あまりの馬鹿な急展開に頭が追いつかなかった!! ベータンにあれを放し飼いするわけにはいかない!! 戻るぞ、みんな!!」

「「は、はい!!」」

「……ふふふ。なんで、ブレード陛下はこんなに」

「……ん。どんまい。私の所よりマシ」


なんか、サマンサとクリーナの精神が最近削られてるなー。

あとでフォローがいるかな? 

まあ、今はそれよりも、うちの領地に、野生の王様が解き放たれてしまった。


「サマンサはこっちに待機!! 今追いかけてきている、親父さんとロンリに事情を説明して追いかけてきてくれ。領主館の方で合流!!」

「りょ、了解ですわ!!」


サマンサにローデイの重鎮たちへの説明を任せて、俺たちは一足先に、ベータンへと戻ってくる。


「あ、ユキ様……」


そこには、先ほど見送りをしてくれたホーストがお化けでも見たような感じで立ち尽くしていた。


「今しがた、なぜか、ローデイ王らしき人がお供もつけずに、ゲートから飛び出してきたような気がしましてな。いや、疲れているのでしょうな。姿はみすぼらしかったですし」

「いや、夢じゃない!! ロンリ宰相たちから逃げてきたみたいなんだ!! あの恰好は素!!」


俺は、ホーストに夢じゃねえよと、肩を揺すりながらそういうと、うつろだった瞳に光が戻り始める。


「本当ですか!?」

「そうだ、今サマンサが、ローデイの宰相たちにこっちに逃げたと説明している。おそらく、ロンリ宰相にサマンサの父親であるヒュージ公爵もこっちに来る。俺たちが、ローデイ王を追うから、サマンサたちと合流してくれ。領主館の方でもてなしてくれ。ベータンであっちの兵士が王様捜索とか、色々問題がありすぎる」

「わ、わかりました!! し、しかし、ローデイ王の捜索に私たちが加わらなくてもよいのでしょうか?」

「大丈夫だ。ここはウィードの領地だからな。マップ機能で堂々と探せる」

「ああ、そうでしたな。では、お任せいたしますぞ」


そういって、俺たちは即座にマップを開いて、逃げ出したブレードのおっさんを探す。

幸い、ブレードのおっさんはステータス隠ぺい能力も持っていないし、レベルも高いので簡単に検索ができたので、すぐに後を追えた。

まあ、要人の行動監視は当たり前にやっているから、既に登録されていたんだが……。

とりあえず、どこに行ったのか分からないという最悪の状況は避けられたので、ほっとして追いかけようとすると、コールで連絡が来る。


『あのー、ベータン監視のゴブリン隊からっすけど。なんか、ベータンにローデイ王が単独で出現したって報告が来てるっすけど? どういうことっすか?』


どうやら、監視に引っかかったようだ。

スティーブの部下はよく働いているというのがよくわかったが、こういうときに畳みかけて連絡が来るのは面倒だな……。

とりあえず、みんなに目配せをして走り出しつつ、スティーブへの説明を始める。


「なんかよくわからんが、ローデイ王が部下から逃亡して、ベータンに逃げ出した。ちょうど、俺たちがローデイ訪問した時な」

『はぁ? 何かローデイで反乱でもあったっすか?』

「いや、そんな殺伐とした雰囲気じゃなかった。というか、何度かベータンに逃げる……じゃなくて、訪問してたみたいな話があっただろう?」

『ああ。そういう方向っすか?』

「そうそう。まあ、部下は生真面目に報告して働いているだけだから、褒めてやれ。後始末はこっちがするから、下手に人を集めるな。騒ぎになる」

『了解。まあ、手に負えなくなったら連絡よろしくっす。待機はしておくっすから』

「助かる。じゃ、目標を発見したから、またな」


そういって、コールを切る。

後詰も万全だから、いざというときも問題なしと。

しかし、王が気軽に出入りできるのは、喜ぶべきことなのか、悲しむべきことなのか?

どうにかして、各国の王が好き勝手出入りできないシステムを作るべきか? いや、なんかそれは、移動簡略化の為にゲート設置した意味がないよな……本末転倒のような気がするな。


「あそこですね」

「屋台だ」

「ん? この香りはラーメン屋!! っていうか、あの屋台をやれるのは、ウィードでは……」

「俺かキユぐらいだな。今日はこっちで商売してたか」


ブレードのおっさんは、どうやらラーメンの香りにつられて屋台に入っているようだった。

背中がしっかり見える。

そして、その屋台を経営しているのは、最近霧華とは別で、領内の治安維持のための諜報活動をしているキユだ。

いや、正直な話。俺が忙しくなりすぎて、ラーメン屋の運営を押し付けたというか、頼んだのだ。

ついでに、奥さんのコヴィルと仲良くラーメン屋をやっている。

ああ、キユとコヴィルもイフ大陸でノーブルの拠点制圧した後に式を挙げて結婚している。

さらに、その結果驚愕の真実がでてきたのだが、それはまた別の話で、今はブレードのおっさんだ。

だが、屋台で食事をしている他の一般人たちに迷惑をかけるわけにもいかないので……。


「……ブレードの両脇は俺とジェシカ。後ろをリーアとクリーナで固めろ。いいな?」

「「「了解」」」


嫁さんたちは俺に指示に素早く従い、屋台へと向かう。


「いらっしゃいませー。お好きなお席……に?」


暖簾をくぐると、コヴィルが和服スタイルで飛んでいた。

サイズ的に人の利用を主にしているからな、妖精族用ではないからコヴィルが手伝うなら飛ぶしかない。

そこはいいとして、俺たちを視認したコヴィルは目が点になる。

騒がれてもこまるので、口の前に人差し指を置いてしーっとしておき……。


「ラーメン2杯。堅麺で」

「あ、うん。ラーメン2杯。堅で!!」

「はーい」


裏の調理場所から、キユの声が聞こえてくる。

この屋台は色々改造を加えて、ワゴン車ぐらいのサイズがあり、客席テーブルと、調理場所は分けているのだ。

ここまで巨大化した理由は、客が増えて入りきらなかったことと、子供が料理場に顔を出すことが度々あったので、それを防止するために調理場を隔離したのだ。

前に、子供が遊び半分で入ってきてやけどしたからな。

お母さんは平謝りな上に、子供に大説教で大泣き。

反省しているので、俺たちとしては穏便に済ませたけど、他のお客は苦笑いをしていたので、やはりこういう管理はきちんとしないといけないと、こうなった次第である。

誰だって、人が謝る姿や、子供が泣いている姿を見ながら楽しく食事とはいかないからな。

と、そこはいい。今は隣にいるブレードのおっさんだ。


「ん? なあ、コヴィルちゃん。隣の客が言ってた堅ってなんだ?」

「え? ああ、ブレードさんは知らないわけよね。ラーメンの麺は、硬さを選べるのよ」

「麺の硬さ? それで味が変わるのか?」

「うーん。味というより触感ね。こればかりは食べてみないと分からないと思うわ」

「なら、替え玉だ。堅麺で」

「はい。替え玉堅1」

「はーい。堅1。ラーメン二杯堅おまちど……う?」


注文を復唱しつつ、俺たちのラーメンを持ってきたキユがこちらを見て目をまん丸にしている。


「兄さん。どうしたの?」

「隣の、親父を捕まえに来た」

「ああ」


どうやら、キユの方はこのおっさんの正体を知っているようで、苦笑い。


「ん? キユ兄ちゃんの兄ちゃんか、いやー、良い腕をしているぞ、このキ、ユ……は……」


そう笑顔でキユを褒めていたのだが、俺の顔を見た瞬間に固まるブレードのおっさん。


「よお。うちの弟の店を褒めてくれて感謝だ。だがな、一体何があったか、聞かせろ。な? 話次第では、ヒュージのお義父さんや、ロンリさんにはフォローは入れてやる。今すぐは連れ出さないから、ラーメンの心配はするな。しっかり食っていけ」

「ほ、本当か!? 助かる。チャーハンお代わり」

「まだ食うのかよ!?」

「え? 食っていいんだろう?」


うわぁ。このおっさん、本当にスゲー。

いや、元々傭兵で暴れまわっていただけあって凄いな、自分のペースに持っていく力は。

間違いなく、上に立つ者だよ。

そんな感じで、逃げないことがわかり、後ろで待機していた、リーアとクリーナも注文して、とりあえず食べることにする。

あ、ちなみに、サマンサとホーストには連絡を取って確保して説得しているという風に連絡した。

まあ、間違いじゃないからいいだろう。


「で、なんでまた、いきなりこっちにきた?」

「ん? いきなりでもないぞ? ユキが来るって聞いたが、ユキたちが忙しいのは百も承知だからな。ユキを移動させるより、俺たちから訪問するべきだろうって言ってたわけだ」

「それで、なにがどうなったら追いかけっこになる」

「ほかの国が訪問を受けているのに、ローデイが訪問を拒否するわけにはいかないだとさ。メンツの問題だとよ」

「ああ……」


確かに、ローデイだけ訪問していないという事実が世間に広まるのはよくない。

俺たちは特に悪意などないが、悪意がある連中はウィードがーとか、ローデイがーとか言うのにはいいきっかけだ。

だが……。


「それが理解できない、あんたじゃないだろう?」

「はい。餃子でーす」

「ありがとう。おっさん、餃子食うか?」

「おう。もらう。まあ、理解はできるが、今はユキと仲良くしてるというアピールの方が大事だって言ったんだけどな。あの2人は反対してな」

「……もっともらしいことを言っているが、本音は?」

「ベータンで出回るウィードのモノが楽しくてたまらん。このラーメンもそうだな。というか、ユキの弟が出してるなら、俺の所でも出さないか? 権力でごり押しするから。絶対人気でるぞ?」


そういって、サラっと俺の弟を勧誘する。

だが、できたキユがその程度で話に乗るわけもなく……。


「お気持ちは嬉しいですけど。そういう話は、ちゃんと兄さんたちの仕事をまとめてからでないと厳しいですね」


と、至極当然のことをいう。

これで大人しくなるかと思いきや……。


「そうかー。よしっ!! なら、さっさと話を聞いてまとめるか。飯は食ったし、どうせヒュージたちはもうこっちに来てるんだろう? 話し合いに行くか!!」

「まてまて!! 俺たちもまだ食ってるから、もうちょっとまて」

「ああ、すまんな。じゃ、替え玉、次は普通で」

「はーい」


くそー、なんでこうもペースが乱されるかな、このおっさんは……。






ローデイのブレードはこんな感じで元気です。

真面目な話は次回に。


そして、重大発表!!

いや、別にそこまででもないんだけど、今年の春、というか4月に転職で仕事のペースがかわります。

投稿ペースが落ちる可能性があるのでご了承ください。

まあ、まだ分からないけど、とりあえず宣言だけしておきます。




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