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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第611堀:噂が終わり真相へ

噂が終わり真相へ



Side:ユキ



これで、一旦準備が整うまでは、ここで適当に授業をしつつ、ロガリとイフの繋ぎに力を入れるかなー。


と、思っていた時期が私にもありましたよ。

ええ、見通しの甘いことで、こういう厄介事というのは人の意表を突くのが得意だと知っていたんだけどね。


「というか、網張って、正解だったな」

「まさか、来るとは思いませんでしたけどねー」

「バカなんだろう」

「バカなんでしょうね」


そう話すのは、学院の警護監視を任せていたスティーブたちだ。

DP消費の緩和がされて2倍程度になったので、学院や周りの地上げをして、敵の強襲に備えていたのが幸いした。

ちなみに、ハイデンの王都の監視はジョン隊。


「ったく。人の仕事ばかり増やしやがって」


俺はそういいながら、簀巻きになっている自称叡智の集の残党を見つめる。

ハイデン王都の叡智の集は一掃されたが、実の所、元となった研究室の連中は見つからずで、捜索はされているが、ハイデン王宮もフィンダールとか諸国への説明で色々手が回っていない状況だ。

というか、どこから調べていいものやらという感じでもある。下手をしなくても、魔物が使われているのだから、リラ王国の一件から、全部フィンダールが仕組んだことなのでは? という意見から、攻め込むべきでは? という話もある。

まあ、そうなると、叡智の集の思惑通りになるんじゃないかということで、動いてはいないが、そういう火種もあるから、先にフィンダールと話を詰める必要があったわけだ。

そんな矢先にくるとは、いや、狙ってきたか?

でも、それだと可笑しな話だな。なんで、ソロを狙った?

俺がそんなことを考えていると、アマンダとエオイド、カグラ、ミコスに付き添われて、ソロがこっちにやってきた。


「あ、あのー」

「ん? ああ、ソロか。怪我とかは特になかったんだよな? ルルア?」

「ええ。指輪の防御機能がちゃんと動いていたおかげで、傷一つありませんよ。ですが、ソロさんには精神的に辛かったようですが」


そういわれて、改めてソロを見て見ると、小刻みに震えていたし、涙の跡も見て取れた。

しまったな。こっちのフォローが先だったか。

この馬鹿共に邪魔されて、当たり前のことを忘れていたな。


「あー、すまん。助けるのが遅くなったな。怖い思いをさせた」

「い、いえっ!! こ、怖かったのは事実ですけど、た、助けてもらいましたから。その、ゴブリンさんたちに。本当にありがとうございました!!」


こっちの大陸というか地方では、ゴブリンは精霊の巫女と呼ばれる亜人の一種とみられていて、魔物という枠ではなく、普通に良き隣人という扱いみたいで、こうしてスティーブたちが怖がられることがないのはいいことだと思う。

で、お礼を言われたスティーブは一瞬驚きはしたものの、すぐに返事を返す。


「いえいえ。ソロさんもしっかり応戦してて、ご立派でしたっすよ」

「応戦してたのか?」

「ええ。それはもう、5対1で大立ち回りを」

「え? ソロって強いの?」

「い、いえ。あの、正直勝負になりませんでした。完全に押されていて、でも、この指輪の力のおかげで、なんとか戦えたんです」


あー、なるほど。

渡しておいてよかった、秘密道具的な?


「でも、なんでこんなところに盗賊がでたんですかね? しかも身なりはいいですし……」


ソロがそう疑問を口にして、俺たちは顔を見合わせた。


「しまった。ソロは何も事情を知らなかったな」

「でしたね。どうしたものか……」

「とりあえず、この場にいるハイデン側の責任者はカグラだ」

「ですね。聞いてみましょう」


この緊急の出撃に学院長やカンナはついてこなかった。というより声を掛けていなかった。

向こうも向こうで、監視に忙しいからな。

カグラとミコスはウィード外交官とその補佐であったので、俺たちの方に戻ってきていて、連絡を受けて慌てて、ソロの救出に向かったわけだ。

俺としても、ただの盗賊に襲われたものかとばかり思っていたら、スティーブの報告で叡智の集の残党じゃね?という話がでてびっくりしたぐらいだ。

ということで、この場でハイデンのトップであるカグラにどう説明するべきかと聞いてみる。


「……私じゃ判断できないわ。叡智の集のことはウィード外交官の仕事とは別の話なのよ」

「それもそうか……」

「というか、この件、姫様に報告することになるから、また上は大騒ぎよ」

「だろうな。こいつらの尋問とかはこっちで勝手に先にしていいか?」

「……こいつらを拘束したのはユキたちだから問題ないわ。というか、ユキたちの方がそういう尋問は得意そうだから、私としては任せたいわ。姫様はまた借りがとかいうだろうけどね」

「ま、そこはまた話し合いで詰めていくってことになるか。あとは、ソロとミコスをどういって納得させるかだが。まあ、適当にいうけど良いか?」

「お願い。私がこいつらに関して何か言えば、ミコスが勘繰るから」


確かに、何も知らないミコスが勝手に深入りするのは避けたいな。


「ソロの言う通り身なりがいいのでただの盗賊とも思えない。いま要人が集まっている学院の近くでの活動だ。どっかの回し者と考えるのが妥当だな。ソロやミコスはこいつらのことは今の所は忘れているほうがいい」

「え?」

「あー、なにかお国がかかわってる可能性があると。了解しました。ミコスちゃんは何もみませんでした。ソロもそれでいいよね」

「え? ええ。先輩がそういうなら……」


ソロはよくわかっていないようだったが、ミコスは俺が言ったことを察したようですぐに頷いた。

こういう嗅覚は鋭いから、今まで無事だったんだろうなと思う。

ソロもミコスが説得して引き下がってくれたのでこっちは問題ないが、捕縛した連中は問題ありだ。

俺たちが仲間に引き込んだソロを狙ったのは偶然だと思いたいが、偶然でないとしたら内通者がいるってことだからな。

何としても口を割らせないといけない。


「よし、カミシロ公爵の屋敷に連れて行け」

「了解」


簀巻きにされた連中は五体満足で捕まっているから、色々聞き出すのには支障はないだろう。

俺たちの拠点に連れて行きたいところだが、カミシロ公爵の屋敷の方があとあと楽なのでそっちを使わせてもらうことにしよう。


「取り調べのほうは任せる。あと、町の方も調査しておけよ」

「わかってますって」


わざわざ町に行ったソロを狙ったのだから、拠点は町にあるとみていいだろう。

身なりもいいということから、拠点が近くにあるということだ。

ずっと森の中に潜伏しているなら汚れるからな。


「こっちは関係各所に報告しておく」

「がんばれーっす」


はぁ、正直尋問は俺がしたいぐらいだ。

というか関係各所への連絡を誰か代わってと言いたいぐらいだ。


「よし。現場の撤収はスティーブたちに任せて、俺たちは学院に戻って関係各所に連絡だ。カグラはキャリー姫たちに、カミシロ公爵の方は俺から連絡をとる。学院長の方も俺からしておく」

「わかりました」


ということで、戻ってソロが叡智の集に襲われたと報告をすると、予想通りの大騒ぎ。

カミシロ公爵の方は、連日の激務に加えてこの報告で、目をもんでいた。まあ、ちゃんと地下牢の方は貸してくれたが、ハイデン王に報告しなければとげんなりしていたし、学院長は俺たちの手を煩わせて申し訳ないとペコペコ状態になった。

カグラの方も、キャリー姫に連絡をしたらそのまま呼び出されて、王宮のほうで、親子仲良く事情を訊かれていることだろう。

で、そんなことをしている間に、捕縛した連中からある程度情報を引き出せたということで、カミシロ公爵の屋敷に移動する。

ちなみに、カミシロ公爵とカグラは今王宮での説明で忙しいので不在。

なぜか、お客の俺たちが執事さんたちに直接指示しているという不思議な状態だったりする。


「ユキ様。スティーブ様たちより送られてきた報告書でございます」

「どうもありがとうございます。しかし、夜分にすいません」

「いえ。ユキ様たちのおかげで、私が仕えるカミシロ家は救われました。この程度のこと、何ら苦労になりません」

「でもなー。家主不在で我が物顔っていうのもね」

「なにをおっしゃいますか。ユキ様はカミシロ家と同じ日本の血筋であることは、私も存じております。なれば、ソウ様たちが不在の間のこの家の主はどう考えてもユキ様であります」


……この執事。優秀なんだけど、日本人万歳よいしょなんで怖い。

それだけ、信頼があるってことなんだろうが。

と、そこはいい。

まずはスティーブからの報告書に目を通して、問題がないなら、関係各所にこの報告書を送らないといけない。

叡智の集はなんでソロを狙ったのか? その理由をあっさり吐くとは思えないが、何かヒントでもあればいいんだが……。


◆ソロ・フィンドウ襲撃事件報告書 報告者スティーブ

 状況説明:ソロ・フィンドウ中位生(以下ソロと表記)がウィード外交官補佐に任命された事に伴い、町での仕事を辞するために赴いた帰り、叡智の集と名乗る集団に襲われた。

 対応:当初は叡智の集とは知らず、ただの盗賊の類と思い、襲撃を察知したユキ王配の独立部隊がこれを制圧。 

 結果:制圧は問題なく完了。ソロに負傷などは見受けられなかった。相手が叡智の集だと知ったのは、ソロを保護後のことであり、至急関係各所に通達が行われることになり、叡智の集と名乗る盗賊はカミシロ公爵の屋敷へ収監。そちらで尋問を行うこととなる。

 

・尋問結果一次報告

 盗賊の詳細:構成は5人。その全員が盗賊、夜盗の類とは思えない身なりであり、貴族からの照会を求めたい。

 襲撃理由:上記の整った身なりから、狙ってソロを襲ったとみている。本人たちもそれを認めてはいるが、ハイデン上層部や、学院への混乱を狙ってやったわけではないと言っている。詳しくはこれからだが、話を聞く限り、これが初めてというわけではないという発言から、毎年学院の生徒をさらっていたという可能性も否定できない。こちらも学院に照会を求めたい。


内容は良いともいえるし、悪いともいえた。

捕縛した相手の話を信じるのであれば……。


叡智の集と名乗る盗賊集団は特に、俺たち要人を狙ってきたのではないというのは、良い点だ。

これは、学院で行おうとしている諸国会議のことで内通者がいないということになる。

さらに、学院生などから俺たちが訪問していて、要人がいるのはばれているのだが、俺たちを狙ったものではないという、安全もある意味立証されたわけだ。近くに盗賊が出たというのは由々しき問題ではあるが。


次に悪い点だが、先も言った通り、近場に盗賊がでたということで、要人の危険があるかもしれないということ。

さらに尋問をしたところ、その叡智の集と名乗る盗賊たちは、ハイデンでの叡智の集の一網打尽劇をしらないということだ。これは、叡智の集は各所に散らばっていて、末端に情報が届いていないか、あるいは、ハイデン王都にいた集団が排除されただけで、大本は残っているという可能性があることが示唆される。

前者で末端に情報が届いていないだけならともかく、大本が残っているというのは今後の問題にしかならない。というか、叡智の集の元といわれる研究室の室長などは行方不明なので、大本が残っているという線が硬い。

そして、一番の問題点は、ソロが狙われたという理由。いなくなっても構わない人材が狙われ、これは昔からやっていたという証言で、スタシア殿下の妹であるアージュ殿下が生贄にされたように、これまでも学院から生徒をさらっていたという事実があったかもしれないということだ。

まあ、ある意味、マジックギアの魔力をどうやって集めていたのか? という疑問に答えがでたわけだが、真相がわかってよかったね。ということにはならない。

前の学院長を絞り上げるとともに、行方不明になっている生徒の洗い出しを始めることになるだろう。

その過程で、グロイものを見ることになるだろうなーと、気が滅入るのであった。



ちなみに、この報告書自体には特に問題がなかったので、そのままハイデンの上層部に送り付けたら、全員目を剥いて事実確認の調査に乗り出すことになったのは言うまでもない。




「最後の最後で、ソロが言った秘密結社に勧誘ってのが、本当でしたね」

「マジで、本当にあってほしくないことがおこるよな。まあ、学院の妙な噂は片付いたし、マジックギアのことも含めて、ダンジョンコアのことや500年前に何があったかを聞かないとな」


ということで、俺たちもこの新大陸における、次なる一歩を踏み出すことになるのであった。






 

 



そして、新大陸で何が起こったのか、500年前、その時何が。

いよいよ学院での雌伏時は終わり、姿の見えない敵に動き出す!!


そのまえに、ソウタからの昔話が入ります。


「昔、昔、あるところに、おじいさんが川へ芝刈りに、ばあさんが山へ洗濯干へと……」


というやつです。



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― 新着の感想 ―
583掘で前任の学院長は処刑されたってなってた 前回読んだときには読み流してたから一気読みしてないと違和感に気付けないもんだねこういうのって こういう設定って細かいのまでキッチリできるもんじゃないし、…
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