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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第607堀:よくわからない噂

よくわからない噂




Side:タイキ




さてさて、ボッチ少女も加えたことで、さらなる戦力の増強?になったと思うが、まだ3つの不思議の内、1つが解けただけである。

残る2つを、今回のように解決しなければ、この学院での諸国会談、会議は無理だろう。

ということで、今回のトイレ調査では、トイレ一室のドアが破損しただけの被害でおわったので、俺たちはそのまま次の噂の話へと移ることになる。

その過程で、ボッチ少女こと、ソロは俺たちがなぜこんなところをうろうろしていたのかを聞いて驚いていた。


「へっ!? 御三家の1人であるカミシロ家初代様が残した不思議ですか!?」

「そうよ。すでに3つ発見されているの。残り3つの内、1つがソロ。あなたがいた所」

「というか、あそこの噂聞いたことないの? ミコスちゃんはそこらへんびっくりなんだけど?」

「えーと、噂があるのは知っていました。だから、静かに食事ができたんです。誰かが来ても泣き声を出せば逃げていきましたし」

「なるほど。噂の場所を利用していたってことね」

「となると、ユキ先生が言っていたように、この噂はソロちゃんが作ったって感じかな?」

「まあ、ここ最近のは確実に私ですけど、昔からあったのはまた別だと思いますよ?」


あ、そういえばそうだ。

ソロが活動していたのはここ1、2年で、その前からある噂はどういうことだということになる。


「ユキさん。トイレの噂。終わってないんじゃ……」

「その可能性もあるけど、今の所あのトイレ以外からは変な話はないってミコスは言ってるからな。案外取り壊したりした場所だったりしたのかもな。まあ、今の所実害はないから、後回しだ」

「なるほど。じゃ、予定通り夕方に見知らぬ教室が現れるって噂ですか」

「ああ、時間帯が限定されているからな。まずはそっちだ」


俺とそう言ったユキさんは席をたち、みんなに向けて話をする。


「ソロの言う通り、元々のトイレの噂は別の可能性があるが、今の所ミコスや学院長たちの話から、別のトイレでの話は聞かないのでトイレの調査は一旦やめて、残り2つの噂の真相解明を優先しようと思う。これに何か反対意見がある人は?」


特にみんな反対はないようで何も言わない。


「では、予定通りというか、ソロのおかげで早まった、夕方に見知らぬ教室が現れる方の調査に力を入れようと思う」

「夕方に?」


その言葉を聞いて首を傾げるのはソロだ。

どうやら、ソロはこの噂話は知らないようだ。


「あれ? 聞いたことない?」

「す、すいません」

「謝らなくていいわ。私も知らなかったもの。本当に噂があるのか怪しいんだから」

「むっかー!? カグラ、このミコスちゃんの情報を疑うわけ!?」

「でもそうでしょう? 学院長やお姉様も首を傾げて、ソロも知らない。一体どこから仕入れてきた話なのよ」

「いやいや、学院長やカンナ先生は首を傾げただけで、噂自体は知っていたでしょう。ねえ、そうですよね?」


話を振られた学院長とカンナは頷いて答える。


「ミコス君の言う通り、確かにそういう話はあったのだが……」

「そうなのよ。あったんだけど……。私だけのことだと思っていたから、ミコスさんはどこでこの噂を仕入れたの?」

「えーっと、去年卒業した先輩ですよ。しかもカグラと同じ特位生の。確か、卒業式の時にある場所に来てくれって言われて行ってみたけど、その場所がなかったとか」

「ああ、確かそんな話だった」

「私も同じです」

「ん? どういうこと? その場所に行ったのになかった?」

「えーと、指示された場所に行ったけど、廊下だけで教室がない位置だったんだよ」

「学院長やお姉様も?」

「うむ。その通りだ」

「ええ。私もそうだったわ」

「じゃあ、その場所に行ってみればいいじゃない」


なんだ、場所がわかっているならやりやすい。

そう思っていたんだけど、話には続きがあった。


「ちっちっちっ。それがね、学院長、カンナ先生、そして去年卒業した人も指定された場所が全部違うんだよ」

「はい?」

「これが、指定された場所ね」


そういって、ミコスが地図を広げ、視線が集まる。

確かに、印が5つほどつけられている。


「全部でえーっと、5つあるのは?」

「ほかの人に聞いたところ。で、その人たちも以前の成績優秀者だったらしいの」

「ふーん。誰かが意図的にって感じね。じゃ、今年は私に声がかかったのかもしれないの?」

「たぶんね。でも、カグラは最近学院にいないからね」

「あー、最近忙しいから。で、印は全部バラバラね」

「とりあえず、この5か所を調べるのがいいんじゃないかなーって」

「なるほどね。ユキはこの話はどう思うの?」

「正直よくわからん。場所がバラバラだし、秘密の教室って話にどこがどうつながるのかも不思議なんだけどな」

「そうよね。ただの告白とかじゃなかったの? ほら、成績優秀者は将来有望だし」

「でもね。どれも同じ文句があるんだよ。秘密の場所に案内するって」

「それも、告白場所ってことでしょう。この位置、人通り多い場所だし」


確かに、ここは東女子トイレのように外れにあるような場所ではなく、日中であれば人を見かけるような場所だ。

カグラの言うことはもっともだと思う。

でも、そこでソロが声を上げる。


「あ、ちょっと待ってください。その噂なら聞いたことがあります。成績優秀者は毎年秘密の組織に誘われるとか」

「なにそれ?」

「あー、そんな話あったね。そっか、この話がソロのいう話に切り替わったのかな? ほら、信憑性でない? 優秀者を引く抜くために、こう、暗躍する秘密組織!!」

「でも、学院長やお姉様の時も誰もいなかったんでしょう?」

「いなかったな」

「いませんでしたね」

「やり方がお粗末じゃない。偶然ミコスが聞いた人5人が無事に戻れたってこと? なんで?」

「うっ、それは……よくわかんないけど」


なんか、話が違う方向に行ってるな。

ここは軌道修正が必要か。


「まあ、そういう感じで、色々不確定すぎるから、しっかり調べましょうって話ですね。ユキさん」

「そういうこと。別にただの噂なら噂でいいんだから。そこまで噂の真偽は気にしてないんだよ。カグラが言っていた誰かが告白の為に呼び出していたって結末なら万々歳だ。それを調べるためにも、その5つの現場には調査に赴く。でも、気を付けてくれって話だな。昔というか創立当初からあるとされている話だからな」


ユキさんの言葉で、カグラとミコスの話は無事終わる。

あのままだとなんか喧嘩になりそうだったからな。

本当だもん、嘘だもん、はよくある喧嘩のきっかけだからな。

空気が悪くなるのは事前に回避されたわけだ。


「今回は、まずは呼ばれた現場を調べるということで、私やポープリ殿、エージル殿も一緒に調査をすることになるので、よろしく頼みます」


タイゾウさんも不穏な空気を察したのか、畳みかけるように参加宣言をする。

不思議空間内の調査というわけではないので、そこまでのリスクもなく、今回はタイゾウさんたちも一緒に来た方が何かと発見があるだろうということは先に話し合われていた。

俺としても、タイゾウさんたち技術班が現場にいる方がありがたい。

こういう調査で専門家がいないのがおかしいもんな。

というか、タイゾウさんや技術班のメンバーを不思議空間に放り込んだ方が早期解決できたんじゃねーの? というのが俺とユキさんの共通認識だが、外交の問題上無理であった。3人とも他国の人員だからな。

というか、ヒフィーさんに殺される。

それを言うと、俺は勇者で王様なんだよ。という話もあるが、俺の場合は俺が国のトップだからいいのだ。

部下からのお咎めはあるが、今のランクスの情勢の中、新大陸やイフ大陸と繋がりを作ることの重要性は理解しているので、問題はあるが黙認してくれている。

まあ、その実、ユキさんに色々協力しておいた方が、ロガリ大陸内の立場的には安泰なんだよな。

ついでに、同じ日本人だし、個人的にも楽しいんだよ。冒険しているって感じで。

この世界に来た時は切羽詰まってたからな。周りが敵だらけで、お姫様もビッツという貧乏くじ。

と、別のことに意識を持っていかれたが、俺たちは話を終えて、まずは夕方になる前に、成績優秀者が呼び出された場所の確認に赴く。


「あれ? 学院長にカグラ様、それにウィードのお客様たち?」

「なんでこんなところに?」

「学院の見学じゃないか?」

「うわ、抜き打ちってやつ!? いいところを見せれば成績あがるかも!!」


今は休憩時間のようで、学生たちが行き来して、視線がかなり集まる。

こんなところに告白で呼び出すか?

最初から、告白する場所を指定するのが普通だろう?

わざわざここに呼び出して、場所を移動する理由はなんだ?

そんな風に、現場を見て、カグラが言っていた告白説はないなーと考えていると……。


「というか、なんか俺たちと同じ中位生がいないか?」

「んー? 確かにあのブローチは中位生のよね。でも、あの子見たことが……」

「ちょっとまって、あの子、ソロだよ。ほら、いつも気が付いたら教室にいる子」

「ああ、中位生の幽霊か」


……ちょっとまてや。

ソロさん、あんた幽霊認定されてるぞ。

そんなに影が薄いんかい!?

こりゃ、友達とか人付き合いとか無理そうだわ。

コミュ障MAXとまでは言わないが、俺だってオタクで、多少のいじめはあったりしたが、クラスに話せる友達の一人二人は居たぞ。

俺はそんな感想を抱いていると、ソロもそんな話し声が聞こえているのか、顔を伏せてしまった。

だが、そこへエオイドとアマンダが近寄る。


「ソロさん。ブローチで中位生ってわかるのかな?」

「え? あ、はい。こんな感じで、中位生のブローチは三角で作られているんです」

「へー、かわいいわね。で、上位生だとまた変わるわけね?」

「はい。カグラ先輩の特位生ブローチは六芒星が金で作られています。ミコス先輩の上位生ブローチは六芒星で銀で作られています」


ソロがそう説明していると、カグラとミコスが話に加わってきた。


「ちょっとまって、そういえば、中位生も成績上位者は金で作られているわよね?」

「そのはずだよ。カグラもつけてたじゃん。って、ちょっとまって!? ソロ、そのブローチ金じゃん!?」

「そうね。金のブローチをつけられるのは上位10位以内のはずだけど」

「ほほー。ソロは中位生では期待の新人ってところなんだねー。あの、ジーマンだって銀ブローチだったのに」


おっと、思ったよりも勉強はできたのか?

あれか、ユキさんの言っていた通り、ソロを叱った先生はなんとかソロを助けようとして厳しく言った感じかな?

下手に庇うと逆にソロの今までの学歴に傷がつきかねないと思ったのかな?

それとも、本気で上位10位以内ぐらいで成績優秀者にはならないというタイプだったのかな?

というか、ジーマンは金ブローチでもないのに、カグラに喧嘩を売ったのか。

頭でっかちとでもおもったのか?

ああ、先生が叱った意味がわかった。こっちが平民に対してどういう反応するかわからなかったからか。

ジーマンとの演舞を見たらそりゃ警戒するわ。

そういう風に納得していると、アマンダがソロに話しかける。


「なんだ、ソロさんって勉強できるんだ」

「あ、いえ」

「何謙遜してるのよ。私たちにも色々教えてよ。せっかく友達になったんだし、この学院の中位生の勉強は聞いてないから、ソロに聞くのが一番だよ」

「と、友達!?」

「あれ? いやだったかな?」

「い、いえ!? わ、私ごときでいいのかなーって。だって、入学してそうそう、ドムノ様に、近寄るな平民。って言われて……それで……」

「「「あー」」」


それで、なるべく人と関わらないように、ボッチでいるようになったのか。

というか、ジーマンが原因か。理由は自分より優秀だからって所か?

あいつ、ポープリさんに止め刺してもらった方がよかったんじゃないか?


「平民とか貴族とかにこだわるバカはほっときなさい。というか、あの決闘の時に再起不能にしておけばよかった」

「それ同意。というか学院長に報告しておこうよ。金ブローチの子がこんなのでやめたら社会的損失だよ。あと、私やカグラはそんな身分とか気にしないからね」

「僕も気にしませんよ。というか、平民だしね」

「そうそう。私も平民よ。だから大丈夫。カグラやミコスよりは親しみやすいから」

「ちょっと2人とも、あのバカと一緒にしないでよ!? 私も友達になるから!!」

「ミコスちゃんももちろん友達でよろしく!! これで中位生上位者と繋がりができたね!!」

「ミコスは情報が欲しいだけでしょう。気をつけなさいソロ。ミコスは……」

「えっ? えっ? えっ?」


そんな風に仲良く話し込んでいると、横から鋭い声が突き刺さる。


「カグラ、そして学生たち!! おしゃべりをしに来たなら帰りなさい!!」

「「「はい!? すいませんでした!!」」」


と、仲良くカンナさんに叱られるのであった。


「青春だねー」

「だなー」

「タイキ君、ユキ君、君たちの意見には同意だが、そろそろ手伝ってくれないか?」

「「はい。すいませんでした」」


俺たちもあまり変わりはないらしい。









よく分からない噂。

読者諸君はどういう予想を立てるのでしょうか?


ソロは平民としての視点、意見を言えるこのメンバーの中では稀有な存在となりました。

そして、ドムノとかいうのは、色々やっておりましたとさ。


さて、それはさておき、11月となりました。

寒さも本格的になってきて、皆々様も風邪などをひかぬようお気を付けください。

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