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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第608堀:世の中曲解して伝わることもよくある

世の中曲解して伝わることもよくある




Side:タイゾウ




「ふむふむ。見た目は普通の廊下だね」

「そうですね。タイゾウ殿はどう見えますか?」


そう、ポープリ殿とエージル殿に意見を求められるが……。


「いえ、私もただの廊下としか見えませんな」


私の目の前に広がるのは、ただの廊下、校舎と校舎をつなぐための渡り廊下というやつで、特に変わったところは見受けられない。

ああ、日本とは違って木造ではなく、レンガ造りという所か?

いや、木造なのは予算的な問題であって、予算があるところはしっかりした作りだったから、レンガ造りも日本でもそう珍しくもないか。

ここは、ハイデンが誇る魔術学院。木造などの火事に弱い作りなどにはしないだろう。

下手をすれば火事で貴重な資料が灰となりかねないからな。


「しかし、カグラ君の言う通り、人通りが多いね。ここに呼び出す意味がよく分からないね」

「確かに。多くの学生たちが授業での移動で普通にいますからね」


2人の言う通り、この場所は人の行き来が盛んで、ここに呼び出してから秘密の部屋に移動するという話の意図するところが分からない。


「そういえば、学院長、カンナ殿、その話を持ってきた人物の顔などを覚えていますか?」

「そうですなー。見かけない男子生徒でしたな」

「私は女子生徒でした」

「んー? となると、カグラ君が言った告白の線は薄いね。だから最初から告白ではないって思ってたわけか」

「そうですな。カグラ君に言われるまで、そういう線があるのを失念しておりました」

「ですが学院長。私も学院長も同性ですから、これで告白という可能性を推測するのは困難では?」

「まあな」

「ミコス君。もう1人の性別はわかるかい? 誘った相手も」


私がそう聞くと、ミコス君はノートを広げて確認を取る。


「えと、去年の卒業生の先輩は男性で、誘われたのは同性、男性のようですね。やっぱり、カグラのいう告白の線は薄いかと」

「その情報を先に言いなさいよ」

「いや、聞かれなかったし、流石に3件だけじゃなんとも断言できないからね。ミコスちゃんは悪くないよー」


そんな感じで再びミコス君とカグラ君は仲睦まじく話をしているが、それをよそに私たちは話を続ける。


「ミコス君の言う通り、情報が少なくて確定するのも困難だね」

「ほかの人は異性だったかもしれませんしね」

「というか、この手の勧誘の類は卒業近くになると沢山ありますからな……」

「そもそも記憶に残っているかということもあります」


なるほど。

優秀者の勧誘はあって当然。

学院長やカンナ殿、そしてミコス君が聞いた卒業生から話を聞けたのも僥倖と思うべきか。

実際はこの噂はもっと沢山あったのかもしれない。が、それを認識できなかった。


「秋天。何か感じるか?」

「ううん。ここには何も感じないよ。とと様」

「水龍は?」

『いや、こちらも何も感じないな』


どうやら、大妖怪君に水神様も何も反応なしか。

うーん、状況的にはただの勧誘だったと思うべきか?

いや、結論を出すのはまだ早い。

ミコス君の情報からの1つでしかない。

まだあと4か所存在しているのだ。

そこで何か見つかるかもしれない。


「ユキ君。この場はこれぐらいにして、まずは残りの現場の確認を先に済ませよう。詳しく調べるのはまた後でもできる。他の場所との相違というのもデータがあれば見つけやすいはずだ」

「……そうですね。みんな。とりあえず、この場はこれぐらいで別の場所に行こう。夕方までに残り4か所の確認も終わらせておこう」



私の提案を受けて、他の場所の確認へと向かうことになったが、結果は芳しくなかった。


「ここも何も感じないかい?」

「何もかんじないよ。タイゾウおじちゃん」

『すまぬな。ここも何も感じぬ』


このように、霊感組が全く反応せず、私たち科学探索組もまた……。


「特におかしい点は見つからなかったね」

「そうですね」

「どこも人通りの多い廊下であるという共通点だけで、他には類似点はないな」


5か所の現場を見たが、廊下というだけで、他の発見はなかった。


「どこもあまり変わっているようには見えませんね。というか、この学校渡り廊下多くないですか?」

「いや、どうだろう。ここは魔術の学院だからな、建物同士を離して作るって言うのは合理的だと思うぞ。日本の学校にしても、教室や職員室など日常的に使う場所と、特別教室や体育館がある場所は別だったろう? その場所をつなぐために渡り廊下があるってところは多いぞ。特に2階3階建ての建物は階数がある分、渡り廊下も多くあったりする」

「あー、そういえばそうでしたね。別に意外でもなんでもないのか」

「ふむ。私は田舎の学校でそういう経験はないのだが、そういう物なのだな。しかし、そうなると、廊下という状況だけが共通というわけか」


学校という特異な場所を知っている日本人組も特に何も見つけられないでいる。

やはり、噂ということか?


「うーん。あとはそうだ。他の魔術学校を知っているエオイドとアマンダは何か感じたことはないか?」


そうだ。

彼らはこの世界での別の魔術学校に通っているのだ。

私たちとはまた違う見解を見いだせたかもしれない。

そんな期待をしていたが、そんなに都合のいいことはなく……。


「え? いえ、すいません。特に何も……」

「私も何も感じませんでした」

「そうか。いや、気にしないでくれ。全員分からないんだから。こりゃ、一旦夕方を待ってもう一度かな?」


ユキ君の言う通り、それぐらいしかやることがない。

ここは大人しく、引いて一旦夕方まで集めた情報の整理をする方がいいかもしれないな。

一度落ち着いて、情報を整理すると見えてくることもあるかもしれない。

そう思っていると、不意にルルア君がエオイド君に話しかけていた。


「エオイド君、大丈夫?」

「はい? 大丈夫ですけど……? 何かおかしいですか?」

「あれ? 自分では気が付いてない? それとも、デリーユと訓練でもしたの? いや、でも、私たちとは今朝からずっと一緒にいたわよね? 昨日の夜?」

「えーと、ルルアさん。私たちは昨日の夜は普通に休んでいましたよ。というか、この学院にいる間は特に師匠たちから訓練は受けていませんよ。ユキさんをしっかり守ってくれってことで」

「んー? でも、エオイド君が……」


なぜか、ルルア君がなぜかエオイド君にこだわっている。

私から見ても、そう変な感じはしないのだが……。


「ルルア君。エオイド君がどこか具合が悪そうに見えるのかい?」

「タイゾウさんもわかりませんか? じゃ、ユキさんも?」

「俺も見た感じはよくわからないな」

「あれ? 私の勘違いですか? 妙にエオイド君の魔力が少なくなっているんですが……」

「「魔力?」」


私とユキ君は同時に首を傾げている。


「ちょっと、待ってくれ。鑑定……」


ユキ君がエオイド君の情報を収集する。


「……本当だ。減ってるな。全体の半分」

「半分? かなり減っているな。それだと疲労感があるんじゃないか?」


魔力の消費は頭にくる。

こうふらふらするとかめまいとかいう感じだ。


「あ、いえ。デリーユさんとかエリスさんに扱かれているから、この程度じゃなんともありませんよ」

「そうよねー」


なるほど、今までの鍛錬により耐えられるようになっているわけだ。


「ですよね? 減ってますよね? でも、なにかをしたわけじゃないんですよね?」

「ええ。とくにはなにも……」


その会話を聞いてピンときた。


「ユキ君」

「ええ。とりあえず、タイゾウさん。良いですか?」

「ああ。構わない」

「じゃ、失礼をして……」


ユキ君やタイキ君はこの世界の鑑定という能力を持っていて、人を鑑定をすると、その人の力を数値化してみることができる。

まあ、あくまでも目安であって、数値、レベルが高いからといって、無敵だというわけでもない。

何事もやりようというやつで、あくまでも参考程度にしかならない。

その数字だけにこだわるのは危険だということだ。

だが、参考になるのは確かだ。

私も魔術の研究では魔力などの数値化は助かっている。

そんなことを考えているうちに、私の鑑定が終わったユキ君が頷いている。


「タイゾウさん。こっちの鑑定では……」

「ああ、私も自分で確認してみたが……」


私も自分自身でステータスを開いて確認していたが、やはりという感じだった。

ユキ君の鑑定からの情報を聞いて、どうやら、予想通りだったようだ。

だが、まだ情報が足りない。


「ルルア。というか、みんな一旦、ステータスで魔力の状態を確認してくれ」

「「「え?」」」


ユキ君のいきなりの言葉にみんなついていけないでいる。


「ああ、ごめん。エオイドの魔力が減っているってルルアが気が付いただろう? 何もしていないのにだ。もしかしたら、俺たちも減っているかもしれない。確認してみてくれ」


そういわれて、みんなも確認するが様子は芳しくない。


「……半分も減ってないね」

「私もちょこっとは減っているけど、この程度はね」

「だね。その時の調子でこの程度は増減するし、怪談探索で最初はゴリゴリ魔力を削られた気がするし」


誤差程度の増減らしく、みんなはユキ君が聞いてきた意図に気が付いていないのだ。

いや、タイキ君はその意図に気が付いたらしく、ルース殿のステータスを鑑定して、本人の報告を聞いていた。


「タイキ君。固定数減ってないか?」

「あ、はい。減ってます。50ほどですけど」

「俺も50以上減っていた」

「私もだよタイキ君」

「そういうことですかね?」

「たぶんな」

「おそらくそうだ」


私たちが確信していると、他のみんなも私たちの話を聞いて、魔力の数字が一定以上減っていることに気が付いたようだ。


「えーっと、これってどういう事なんでしょうか?」


ソロ君が恐る恐る私たちに聞いてくる。


「まだ断定はできないけど、恐らくこの渡り廊下には魔力を吸収する仕掛けがあるんじゃないかな。ほとんど気にならない程度で」

「え? 私たちが噂捜査の過程で減ったとかじゃないんですか?」

「全員が均等に50以上? おかしくないか? この程度の減少値はすぐに回復するレベルなんだ。まあ言葉で言うほどすぐってわけじゃないが、トイレの探索からすでに一時間以上は経っている。男の俺たちも減っている理由が分からない。となると、原因は一緒に捜査した、この廊下しかない」

「なるほど……。でも、なんで?」

「この学院には魔力を集める必要がある施設があるからねー」

「?」


ソロ君はソウタ殿のことを知らないから分からないだろうが、他のみんなはユキ君が言いたいことが分かったようだ。


「もしかして、初代様?」

「たぶんな。こうやって長時間とどまった俺たちですらこの程度の減少量だ。普通の通過する生徒たちだとスズメの涙だろう」

「しかし、私や学院長の処に現れた人は……」

「まあ、まだソウタさんが犯人と決まったわけじゃないが、秘密の部屋ってのは図書室のあの場所で、魔力集めと人探しを同時にやってたとしたら説明がつくんだよな。成績優秀者に絞って、その時に一気に魔力を吸い出す。効率的だと思う」

「「「ああ」」」


そう、この噂の真相はソウタ殿が仕掛けた魔力回収だという可能性だ。

まあ、本人に聞いてみなければわからないが。

で、その後すぐに確認に行ってみたのだが……。



『ああ、渡り廊下での魔力回収はしているよ。卒業生を狙って、一気に回収もやってたな。ついでにこの部屋への誘導もしてみたけど成功しなかったな。でも、それがそんな噂になってたとはね。いやー、人の口伝はあてにならないねー。あははは……』


と、笑っていた。

本人も、夕方に見知らぬ教室が現れるなどと、魔力集めと図書館への誘導が誤って伝わって妙な噂になっているとは思わないだろうからな。

というわけで、残る噂はあと1つ。

ある意味順調であると。

私としては物足りなくはあるがな。






青田買いももちろんあったでしょうが、噂の元はソウタが魔力集めにやってたのが原因でした。

事実がわかれば、噂なんてこんなもんだという話。

伝言ゲームが妙な形になるはどこでも一緒という話。


さて、残る噂はあと一つ!!


君はこの謎を解くことが出来るか!!

次回をまて。




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― 新着の感想 ―
[一言] てっきり他国の卒業生を囲って戦争を誘発の話が噂の原因かと思った(迷推理
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