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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第543堀:会談はスムーズに

会談はスムーズに




Side:ユキ




ついに始まったウィード国、フィンダール帝国会談。

最初のスタシア殿下の事で少し問題はあったが、それからスムーズに事が進んでいる。

まずは経緯の説明。


バイデへの帝国侵攻に対し、キャリー姫、およびカミシロ公爵の娘、御三家の2人は現存戦力での対抗は難しく、通常手段では勝利を得られないと思い、伝説であった召喚の儀式を行い、俺たち、いや、正確には俺を呼び出したのが事の起こり。

なぜ召喚にこだわったのかというと、召喚の道具であり魔力の蓄積した国宝のモノを鹵獲されて悪用されることを恐れ、キャリー姫はカグラの魔力の補給道具として扱うことを許可しなかった。


その結果、俺たちは呼び出され、このハイデン王国とフィンダール帝国の戦いに参加せざるを得なかった。

しかし、そこでキャリー姫以外にとって、いや全員にとって異例の事態が発生する。

本来であれば、ハイデンの英雄として呼ばれた俺たちだが、複数であったこと、力がずば抜けていたことから、召喚したキャリー姫、カグラを捕縛。さらにはキャサリンを押さえバイデを制圧することに成功。

この時をもって、バイデはハイデンからウィードに所属を変えることになる。

まあ、制圧されたからな。

そして、その事実を持って、バイデへ攻め寄せていたフィンダール帝国と話し合いを求めるが、信じてもらえず、いや信じてもらえるとは思わなかったけど、ハイデン対フィンダールはそのままウィード対フィンダールへと変わることになり、やむを得ずそのまま地形操作能力(そこ掘れわんわん)を使い、バイデ全軍を地下へ閉じ込めることに成功。

これにより、バイデでの戦は決着がつき、これ以降は話し合いへと移行することになった。


後日設けられた話し合いで、ジョージ殿下が休戦を受諾。及び、フィンダール帝国の帝都へ緊急の使者として立つことになった。

その間に、ウィードメンバーは本国との連絡をとり、ゲート開通に成功。

更に、キャリー姫とカグラへの尋問を行い、双方の意見を聞き、今回の問題の解決へと動きだすことになる。

当初は、キャリー姫とカミシロ公爵の娘の滞在地へのピンポイントな狙いから、フィンダールの綿密な作戦かと思われたが、実際にはハイデン内部の権力争いにみせかけた、リラ王国の残党によるバイデの占有、キャリー姫とカグラの確保と攻め寄せた帝国軍の殲滅が目的だったと思われる。

その根拠としては、即座に帝国軍に対しての大規模な軍が動いており、バイデが保ったかどうか不明ではあるが、バイデを占領した場合、今度は逆に帝国が損耗したバイデを盾に籠城するという事態になっていた可能性が高かったことと、直接的なリラ王国残党の襲撃から伺える。


リラ王国残党の襲撃箇所は二か所。

御三家の一角であり、カグラの父親であるカミシロ公爵の排除。これは、ハイデン王国内での反発勢力を押さえるため。

そして、ウィードが参入しなければいまだに戦いが続いていたであろうバイデ。バイデの方はキャリー姫、およびカミシロ公爵の娘であるカグラの確保が目的であった。

リラ王国の残党と判断できた理由として、魔物を使役していたこと。

現状、リラ王国の残党という名称は使わず、ハイデン内に存在していた魔道具を作る部署であった「叡智の集」を名乗って活動しているが、同行していたジョージンの見解によりリラ王国の残党であることが濃厚であり、今回の会談で話すことが適切であり、今後の協力の為には必要であるとの意見を受け、話した次第である。


とまあ、これだけ色々話したが実際この新大陸に来てまだ半月ぐらいしか経っていないので、俺がどれだけ多忙だったかがわかると思う。

これに加えてウィードでの仕事もあったからな。


「まあ、リラ王国の残党の件はハイデンの方々を交えて話をする必要がありますので、まずはウィードとフィンダール帝国のことを終わらせましょう」

「はい。私もそれで構いません。いいですね、姉上?」

「……はい。まずはウィードとの友好を。そしてハイデンとの繋ぎを頼むのが筋でしょう。リラ王国の残党が絡んでいる可能性があると判明したいま、迂闊に動けばフィンダール帝国がリラ王国を利用してハイデン王国へ攻め寄せたと噂されかねません」


ふむ。

スタシア殿下はヘルメットを被ってはいるが、こういう判断はしっかりしている。

なるほど、これは顔をしかめるだけしかできんわ。

ヘルメット以外のことは完璧なんだよこの人。

挨拶の時も、自分が無作法、非礼をしているのを自覚しているのか、俺に対しては王族としてできうる限り腰の低い対応をしているのだ。

歩く姿も、まあ、お貴族様!? って感じのオーラとキビキビした動きだったし、椅子一つ座る作法もなぜかオーラが出ていたから、そういうことをしっかり行うことで、周りに文句を言わせないようにしていたのか。

無駄に完璧な奴が壊れると対処に困るってやつだな。

ま、この件には俺はノータッチで通す。

無駄なフラグは避けたいし。クソ忙しいし、そんな暇はない。

こういう問題は家族や身内が解決するべきだ。

勝手にホームドラマでもやって解決してくれ。

今やらねばならないのは、ウィードとフィンダールの停戦、及び友好交流交易条約の締結だ。

本決めはまだまだ先だろうが、足掛かりはここで作っておかなければいけない。

ウィードの立場をしっかりを認識してもらわないと、また戦争になりかねないからな。

そうなると、俺たちが更なる仕事に追われる。

というか、もうその時は加減なくやってやる。

航空戦力で一気に首都制圧じゃー!!

と、いかん。今はまだ戦争の事じゃない。まずは話し合いだ、話し合い。


「では、フィンダール帝国の方々はこれ以上ウィードとの戦争は望まないということでよろしいでしょうか?」

「はい。そちらが巻き込まれたというのは信じられますし、何より私がいまこうして生きてることや、ジョージンが健在であることからも友好を望んでいるということは誰が見てもわかります」

「では、簡易的ではありますが、こちらの書類に署名をお願いいたします」

「はい」


そういって、ウィードとフィンダール停戦合意書にサインをして、お互いに預かる。

これで、ウィードとフィンダールの戦争はここに終わりを告げた。

いや、そもそも戦争になってなかったというのは言いっこなしな。


「では、別の記録も取りましょう」

「別のですか?」

「はい。写真と申しまして、この場の姿をそのまま写し取る真のような絵を作ることができる道具です」

「ほー、そのようなものがあるのですか」


ということで、素早くセッティングしていたリーアやサマンサのおかげで、どこかのお偉いさんの話し合いでのシーンが撮影されることになる。

あれだ、お偉いさんが握手をしているシーンとか、サインした合意書をお互いに持っている、やらせ感抜群の映像。

現像の手間がかからないデジカメで撮影しているので、すぐに印刷も可能なので、直ちに印刷してフィンダールの方々に渡して、技術力を示すとともにその合意書を捨てても無意味だぞと暗に示す。

まあ、国としてはそのような事はしないと思うけど、よからぬアホなことを考える者はどこにでもいるからな。


「おおっ。これは素晴らしいですね!! この写真という技術があれば、不審者などの発見にもつながりそうです!!」

「そうですな!! やはり、ウィードの技術は素晴らしい!!」

「是非とも、交易を早く行いたいものですな!!」


うん。流石は選抜されただけはあって、軒並み写真に込めた意味は通じたらしい。


「すごいですね。……これがあの時あれば、残党を逃がすこともなかった」


と、スタシア殿下からは悔しさの声が漏れていた。

……何も言わねえよ?

慰めとか逆鱗に触るかもしれないし、こういう時はノータッチ!!

最初から決意しているけど、ノータッチ!!


「さて、ではお互い不幸な誤解は解けたことですし、こちらで捕虜となっている帝国軍は無償で解放いたします」

「え? 無償でいいのでしょうか? その、捕虜としての経費もかかったでしょうし、こちらも相応の金銭は用意してありますが?」


意外な申し出だったらしく、ジョージ殿下は目を丸くして、スタシア殿下に至ってはこちらに視線?ヘルメットを向けて静止している。


「もちろん、捕虜を拘留した経費は請求しますが、残念ながら、そちらは自前で賄ってもらいましたし、バイデの復興にもすでにジョージン殿の指揮の下手伝ってもらっていますので、ある意味すでに対価はいただいているようなものです」

「……しかし」

「幸いと言ってはなんですが、ウィードには人的被害は御座いません。その前のハイデン所属バイデの戦闘での被害の交渉はしなければいけないでしょうが、その相手はハイデンですので、私たちとしてはこれ以上の案件は存在しませんね」

「ああ、なるほど。しかし、捕虜などの身代金はそちらがもらうべき適切な報酬では?」

「そうです。こういう対応ではウィードが舐められるかもしれません。身代金は受け取るべきかと愚行いたします」


ジョージ殿下もスタシア殿下も同じ意見らしい。

まあ、そう言う文化だろうしな。

予測はしていたし、予定通りに返すか。


「はは。そちらの言うこともわかりますが、その身代金。国が肩代わりしたわけではないでしょう?」

「あ、はい。有能な指揮官など、そちらのジョージンなどは国から身代金を預かってはいますが、末端の貴族などは自前で金銭を用意したのを預かっています」

「となると、全員が全員、お金を用意できたわけではないですよね? 特に一般兵士などは?」

「それは……そうですね。一般兵などはそのまま一部を奴隷として引き渡して、残りの兵士の身代金としてもらおうと思っていました」

「となると、自前で金銭を用意したところはかなり厳しいことでしょう。さらに金銭を用意できずに奴隷に落とされた人たちなどはウィード憎しとなって、こっちも困るわけです。それなら、友好を結んだことを理由に無償で解放して、今後の問題を回避するとともに、我が国との交易に金銭を使ってもらうことの方が結果としてはいいのですよ。それに身代金をフィンダールがウィードに大量に支払ったという事実は敗北したとも取られかねませんからね。それは周りの国の不安定につながるでしょう」

「……確かに。一理はあります」

「誤解は解けた。ということを押すのですか?」

「その通りです、スタシア殿下」

「しかし、それではウィードにそこまで得があるように見えませんが……」

「それがそうでもありません。先ほども話したように、私たちウィードはこちらの国々の情勢、文化などはまったく知りません。そういった方面で手助けしてほしいのです。ウィードという国がポッと出てきたなど、誰も信じませんからね。どこかの仲介がなければ何をするにも一苦労なのです」

「……なるほど。確かに、私はユキ様とこうして出会い話していますから、分かりますが、他の国などと話し合いをするには面倒ですね」

「そこで、私たち帝国に仲介を頼みたいということですか」

「ええ。まあ、それは今後の細かい話し合いで決めてもらえばいいですよ。今はともかく友好国を増やして、情報を集めたいのです。ウィードの運営もありますからね」


そうそう。

ウィードの方でもクソ忙しいから、こっちでの事業拡大なんてのは当分先でいいんだよ。

火種になりかねない奴隷とかもいらん。

友好的にってのが一番ありがたいことなんだよ。

あとは魔力減少調査に協力をしてくれればな。


「わかりました。その旨を陛下にお伝えします。あ、それと、外にいる後詰の兵士ですが、地下の方に案内してほしいのですが……」

「ああ、構いませんよ。後でジョージン殿に案内させましょう」

「ありがとうございます」


そういって、和やかムードになっていると不意にスタシア殿下が口を開く。


「そういえば、ウィード本国との移動手段ができたと言われましたが、それが事実であれば訪問は可能でしょうか? 先ほどの写真などで記録を取れば、先ほどのユキ様の提案も納得してもらえると思うのですが」


うん。

スタシア殿下の言う通りこの後案内するつもりだったよ。

しかし、写真を使うことを利用して、帝国を説得するためにウィードに訪問する理由を作ったのは見事かな?

だが、あのバケツヘルメットでデジカメを持つのか。



なかなかシュールな姿だ。

というか、もうコスプレ撮影会みたいなもんか?




ユキは保身に走る!!

実るのか!!

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