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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
果ての大地 召喚編

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第533堀:女神の協力

女神の協力




Side:ユキ




平日の昼時。

街は仕事をしていた人たちが食事を求めて外へ出て賑わいを見せる。

まあ、一日三食という文化は地球でもかなり最近の話である。

中世ヨーロッパに限らず、日本でいう応仁の乱以降の戦国時代と呼ばれる時代も基本的には一日二食が一般的だった。

元々、食料充足率が非常に低かったのも問題であり、栄養という概念がなかったので、ただ食べればよいという認識があったからである。

それは、戦国時代というか、明治時代まで贅沢病、貴族病と妙な呼び名の多い、脚気が国全体で広がっていることからもわかる。

脚気とはビタミンB1不足により心不全を引き起こす、きわめて危険な病気であるが、原因はいたって簡単で、当時の贅沢品と言われる白米だけを食べる習慣が主な原因である。

玄米などはビタミンB1が含まれていたが、白米にはそれがなく、上流階級の皇族や将軍家はビタミンB1の補給することが少なく、その結果、脚気となり命を落とすこととなった。

何が言いたいかと言えば、偏食はよくないということだ。

色々なものを食べて、体の栄養バランスを保とう。


過ぎたるは猶及ばざるが如し


何事もほどほどにということだ。

体にいいものだと言って、そればかりを取り続けてはやがて毒になる。

永遠に走っていては、いずれ疲れて走れなくなるのと同じだ。

まあ、体の内部を息が切れるなどわかりやすい症状がないからわからないのが原因でもある。

そういうことで、我がウィードでは、ちゃんと一日三食を推奨し、こうやって仕事の合間の昼食時には選択肢の幅の広い、商業区での飲食店街で多種多様な食事を楽しめるようにしている。


「へい、目玉焼きハンバーグです」

「ふぁいふぁい!!」


そういって、大将がすでにルナに3皿目を持ってきて、ルナはそれを普通に受け取って、そのまま、食べ続ける。

これはこれで、過ぎたるは猶及ばざるが如しに該当することだろう。

ルナの奴は、五目チャーハン餃子付きに始まり、うな重、そして今、目玉焼きハンバーグを掻っ込んでいる。


「なんで、3食もくってるんだよ」

「いいのよ。どうせ家では、カップラーメンか袋ラーメンなんだし、外に出てもスーパーのお弁当だしね。こうやって作り立てを食べられる幸せ。夜また外に出るのも面倒だし、食い溜めってやつよ。食い溜め」


まあ、言わんとすることはわかる。

働いている一人暮らしの食生活なんて、ルナの言う通りだろう。

が、それは一般的な人の話であって、そこにいる駄目神は適用外だ。


「太るぞ」

「私は太らないからいいのよ」


全世界の女性を敵に回すような発言が飛んできた。

いや、食べても太らないっていう人は結構いるし、いいすぎだとは思うけど。


「逆に聞くけどさ、クリーナやサマンサは女だから仕方ないとして、あんたはそれだけで足りるわけ?」


ルナはそういって、俺の目の前に置かれている空になった皿に目を向けている。


「いいんだよ。徹夜明けで重たいものを食うと胃が死ぬからな」

「だからって、素うどんとか、学生か」

「学生時代の素うどんは財布に優しかったよな」


安い、早い、美味くない!! が三拍子で安定の学生食で安定した美味しさというのは間違いだが、味を保つ食べ物である。


「ま、ちゃんと栄養は取っておきなさいよ。不老とは言え、不死身じゃないんだから。意図的に栄養素を取らない行動は普通に死ぬわよ」

「わかってる。というか、元々はお前のせいだろうが」

「あー、あー、聞こえなーい。と、デザートのいちごパフェよろしくー」

「あいよー」


気が付けば目玉焼きハンバーグは食べ終わって、デザートを注文しているルナ。


「あー、食べた食べた。で、あの大陸の話ねー。500年前何があったか……」


ルナはそういいつつ、コップを手にもって、水を喉に流し込む。


「んぐ、んぐ、んぐ……」


一気にコップを空にして、ルナが真剣な目になって告げる。


「分からないわよ。いきなりあそことは交信途絶。こっちからの能力干渉ができなくなったし、わざわざ危険地帯に行く必要はないしー。私がわざわざ現地に行って調べるとか思ってるわけ?」

「思ってないが、わずかな可能性に賭けた。まあ、期待してないから、500年前にいた神様とかダンジョンマスターの資料とかないのか?」

「あそこのー? あるにはあるけど、参考にはならないわよ。何せ、この世界では1,2の大きさを誇る大陸だからね。あの特定の地域にいたなんてのはわからないわよ」


そういわれて、資料を渡されるが、ルナの言う通り、今までとは段違いで神様もダンジョンマスターも互いに100人近く名前が記されていた。

これじゃ特定は厳しいか、まあ、もらえるだけありがたいし、あとで精査してみるか。


「しかし、特定の地域っていうと、ルナの力が使えないのは、範囲があるわけか」

「当然よ。あの大陸全域で力が行使できないんじゃなくて、ユキが呼ばれたあの一帯、土地だけよ。まあ具体的な範囲はわからないけどね」

「なるほどな。そういえば、ハイレって神様に聞き覚えはあるか? あそこでメジャーな神様らしいが」

「ハイレ? うーーん、聞き覚えはないわね」

「500年前に出てきた神様らしいが……ってちょっとまて、そういえば、日本人が500年前に召喚されたのは知ってるか?」

「しらないわよ。今時どれだけの数が異世界に呼び出されてると思ってるのよ。私の管轄じゃないわよ、そんなのは。そういうフォローは地元の土着神とか呼び出した側の神の仕事なのよ」


まあ、そうだろうな。

だが、これには続きがある。


「ルナの言う通り、土着神が付いてきていたぞ。俺のことを見て、天照大御神の使いとか言ってた」

「あら、それは珍しいわね。異世界にきて顕現できるのなんてそうそういないし、そういうのに限って日本ではクソ忙しいはずだけど」

「ご神体ごと一緒についてきただとよ」

「ふーん。まあ、ありそうな話ね。で、それで私に何をしろってことなのよ?」

「結局、500年前のことは何にもわからないなら、現地に行ってみないかって話」

「わざわざ? あのねぇ、確かに私の極小の不手際はあったけど、結局はあの土地もどうにかしないといけないのは変わりないのよ? それで私が手を貸すとでも思うわけ?」

「馬鹿だろ。元々ルナがよこしたダンジョンシステムが機能不全を起こしているんだから、そこら辺でのアフターケアはしろよな」

「ちっ。そういわれるとそうね。でも、何でもかんでもは手伝わないわよ。そうなると、あんたがいる意味がないからね」

「そりゃな。具体的には、ダンジョンDPシステムの緩和してくれ、あそこだけ5000倍ってのは明らかに異常だろう」

「そうねー。流石にそれを強いるのは……酷なの? あんたの貯蓄量なら問題ないでしょうに」

「あほか、DPだって元々国民の魔力なんだよ!! ある種の税金!! お前、それを勝手に湯水のごとく使われて納得できるか!?」

「ぬぐぐぐ……」

「確かにルナの言う通り魔力関係の調査は俺たちの課題ではある。しかし、あそこに俺たちが自主的に乗り込んだんならともかく、今回は偶発的な事故だ。その解決がいつするかもわからない。いつ、DP倍率がさらに上がるかもしれないという状況だ。こんな爆弾の中でサポートを頼める相手に頼まないと思うか?」


そう、まだ耐えられるというだけだ。

これ以上の負荷がかかれば撤退しなければいけない。

しかし、それを放置してその負荷が拡大しないとは言い切れない。

結局調査はしなければいけないというのは、ルナの言う通りだが、そもそもその調査の中核となるダンジョンシステムが使えなくなれば本末転倒だ。


「というより、あの5000倍のDP消費はルナの懐に入っているのかという根本的な疑問の解決もあるんだよ」

「は? 何言ってんのよ。魔力が枯渇している地域では、負荷がかかるって……」


そういって、ルナの顔に理解の色が浮かぶ。


「もしかして、私の力が阻害されているのは極度の魔力枯渇が原因じゃないってこと?」

「やっぱり、お前は具体的な阻害理由を知らないんだな」

「わざわざ現地に行って調べないわよ。交信途絶で終わりよ」

「別にそっちを責める意図はない。しかし、ダンジョンシステムだけが阻害を受けている。というか、ルナの力だけが阻害されているって言っていいだろう。向こうの地域は行動した範囲の魔力消費量は今のところロガリ大陸と変わりない。魔術師の質も下手をすればロガリを超える。飛行魔術を使用する航空部隊っていうのがあるからな」

「それ、本当なわけ?」

「嘘を言ってどうなる」

「……つまり、私の力が著しく制限されているのは、魔力枯渇の自然現象ではなく、現地の何らかの力が意図的に働いているからってことか。だから、私に現地に来いって話なのね。そういえば、日本の土着神も顕現してるっていってたし、やっぱり魔力が枯渇しているってことはなさそうね」

「そういうこと。ルナが来た方が感覚的にわかるものもあるだろう。別に、解決まで全力で手を貸せとかいわないから、ある程度の方針を立てるのに手伝ってくれって話だ。まあ、死ぬっていうなら、無理は言わないが」

「はっ、分かっていて言ってるでしょう。力が制限されるだけで、私が消滅することなんてありえないわよ。元々分霊みたいなものだし、本体であり本体でないってやつなのは理解してるでしょう。万が一、消滅してもすぐに復帰できるぐらいのバックアップはあるわよ」


でしょうな。

天照大御神をも名乗ってるんだから、それぐらいのことはできるだろうさ。


「じゃ、来てくれるんだな」

「いいわよ。話を聞く限り、私に喧嘩を売っている奴がその地域にいるってことだしね。私に成り代わり、成敗するのよ!! 助さん!!」

「だれが助さんだよ」

「そんなに変わらないでしょうに。まあ、そこはいいわ。で、いつ行けばいいの? 今からってわけじゃないでしょう」

「まあな。まだ結構先だよ。でも、DP倍率の件は早急にフォローしてほしい。バイデの方で帝国と会談もあるし、そもそも調査をする下地がまだできてないからな。下手を打つと戦争勃発」

「……なるほど。だから、向こうのDP緩和をしてほしいわけか、輸送するにしても限界があるからね。向こうで現代兵器を呼び出すと、DPは文字通り湯水のごとくか。わかったわ。DPの方は一旦向こうに行って負荷のかかり方を確認して、なるべく20倍ぐらいまでに収まるようにするわ。魔力が還元されてないのなら意味がないからね」

「頼む」

「とりあえず、さっそく行ってこようと思うのだけれど、他に話はないわね?」

「今話すことはないな」

「そう。私はさっさと終わらせて、家に戻って寝るわ。あんたはしっかり仕事に励みなさい」


そういうとルナの姿は掻き消える。


「いつもこうだとありがたいんだけどなー」


今回は例外に近いからな。

はぁ、一応これで今日の仕事は終わりか……。

とりあえず、ここは会計を済ませて、家に戻るか。


「へい、毎度」


腹は膨れたし、予定も終わった……。

が、報告書の山か。

ああ、めんどい。

そんなことを考えていると、ルナが戻ってきた。


「やっほー。DPの倍率は2倍まで落としてきたわよ」

「早いな!?」

「まあ、私の魔力に反発するようにしているだけだったからね。ちょっと魔力を変えればいいだけだったわよ。簡単簡単」


いや、それって血液を変えるようなことだろうが。

と、言いかけたが、駄目神に何を言っても無駄か。


「で、初めて向こうの地域に行った感じはどうだ?」

「あー、たぶん。前任者の中級神の部下でもいるんじゃない? あからさまにピンポイントで私の魔力阻害とか、あいつらしか考えられないし。残党ってどこにでもいるものねー」


くはー、聞きたくないことをまたペラペラと……。


「ま、今回は残党の捜査は手伝うわよ。私のミスだしね。あからさまに喧嘩を売られているし、買うわよ」

「勝手に暴れまわるなよ。まだあっちは安定していないんだからな」

「わかってるわよ。そっちが安定したら連絡頂戴。じゃ、リリシュ、ヒフィー、ノノア、帰るわよ」

「「「はい」」」


そういって、家路につく駄目神たち。

と、思ったら、全員こちらに振り返って……。


「「「お昼。ごちそうさまでした」」」

「いや、戻ってきたなら、払えよ!!」


というと、ダッシュで帰っていく駄目神たち。


「……本当にユニークな女神様たちですわね」

「ん。ルナは楽しい女神様」


と、フォローをするサマンサとクリーナだが、俺にとってはただの集り屋である。





そして新たなる事実判明!!

今回の裏には、ルナの前任者、中級神の部下がこの状況を作り出したことに一枚かんでいるようだ!!

やったね!! ユキは神でもぺらんぺらんの紙に呪われている!!


まあ、当分前の話で、忘れていると思うけど、中級神自体はルナが来る前に、現地の人たちに討伐されているから、その能力とか、頭の中身はお察しください。ついでにその部下だから……。


あと、第2回、必勝ダンジョンのオフ会について、また細かくしましたので、興味のある方は活動報告をご覧ください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なにげにこの2人いい夫婦になりそうだな、、なんつって
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