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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1993堀:お届け物の使い道

お届け物の使い道



Side:ヴィリア



「やっ、元気そうだね~」

「はい。リエルお姉さまもお元気そうで何よりです」


私たちはリエルお姉さまを迎えて、砦の中を案内しているところなのですが、相変わらずニコニコしているというか、元気いっぱいという感じです。

まあ、今朝もウィードで顔を合わせてはいますが、こうして、仕事をしている現場で顔を合わせることはあまりありません。

何せ、私は海軍で、リエルお姉さまは町の治安を守る警察官ですからね。


もちろん、軍を率いることもあるので将軍としての教育も受けているリエルお姉さまですから、演習などで相手をすることはあるのですが、仕事となるとやはり一番に来るのは笑顔でウィードの人たちと接しているリエルお姉さまです。


そして、それは……。


「やっ、元気~」

「おう、元気だぜ。姉ちゃんも元気だな!」


私たちだけでなく、砦にいる人たちに声をかけて、お互い笑いあっています。


「……すげえな。相変わらず」

「いや、キシュアも同じタイプだと思うけど?」


ニーナさんの言う通り、キシュアさんはどちらかといえば、人当たりの良い方です。

とはいえ……。


「流石に比べるのは間違いですね。リエルはそれを飛び越えていますよ」


スィーアさんお言う通りですね。

リエルお姉さまは気心が知れた既に顔見知りのように初めての人たちに振る舞いますからね。

もちろん嫌がる人もいないことはないのですが、悪意が全くなく、屈託のない笑顔を邪険にするというのは、傍から見ても相手が悪く見えますからね。


「よし、到着だ。この先にカシア王女たちがいる。まあ、問題ないと思うが、失礼は無いようにな」

「あ~、そこらへんは分かんないや。僕は僕のやり方だしね~」


あはは、リエルお姉さまもちゃんとする時はちゃんとするので、心配はしていませんが、キシュアさんたちは苦笑いですね。

まあ、砦の責任者であり、イオアの王女様に会うのだからそれも仕方がありません。


「この扉の先だ」


そう言って、キシュアさんは扉を開けると、そこは会議室で、奥にはカシア王女とクレント将軍、そして護衛の人が数人います。

予定通り会議室での対談というわけです。


「よく来てくれた。私はこのアンドの砦を預かっているカシアという者だ。君がキシュア殿が言っていた援軍で間違いないか?」

「はい。キシュアからの要請により、こちらに参上いたしました。私はキシュアと同じようにドドーナ大司教の命により、独自に動いているチームの一人であるリエルと申します」


会ってすぐにリエルお姉さまは先ほどの対応とは違い、相応の礼をもって挨拶します。

うん、ちゃんとできるんですよ。


「チームか。ほかにもいるのか?」

「はい。現在中央の混乱はもちろん、北部での魔物の攻勢も聞き及んでいますので、ワイダウ、キジシオにもチームを送って秘密裏に対処させる予定です」

「秘密裏に?」

「流石に私たちもイオア同様の支援をと言われると難しいのと、行動を制限される可能性があるのは避けたいので」

「ああ……なるほど。確かにな。リエル殿の言っていることは間違っておらん。実際私たちはキシュア殿たちをこの場に縛り付けているというのは間違いない」


カシア王女は申し訳なさそうにそう言います。

私たちはそこまで束縛というのは感じていませんが、傍から見れば、私たちを利用しているというのは間違いないですね。


「いえ、今回のカシア王女たちとの出会いは此方にとっても僥倖でした。北部での少数の活動にはどうしても、有力者とのつながりは必要不可欠でした。カシア王女は今も私たちに配慮をしてくださいます。キシュアたちの態度からもそれは分かります」

「そう言ってもらってありがたい。とはいえ、私たちとの繋がりというと、どのようなことを望んでいる?」

「流石に秘密裏に動き続けるというのは不可能ですからね。どこかでばれた時に、安全だと一声添えられるだけでも違うのですよ」


確かに、リエルお姉様の言う通り、秘密裏に戦うにしても限界があるでしょう。

統治者などは多くの魔物を少数で倒してしまう戦力を無視できないというのは当然です。

なので、その時に逐われるのではなく、説明してもらえる信頼できる存在がいれば、私たちを疑われることもないと。


「そういうことか。流石にキシュア殿たちのような腕の持ち主たちが、善意で助けるといっても、素直に信じるわけにはいかない。裏に何があるかわからないからな。だからこそ、私たちが助言というか、一言添えるわけだな?」

「はい。それが一番無難かと。クリアストリーム教会とは違う魔物退治、原因調査の独自の組織だと。イオアが承認しているのであれば、下手に介入することはなくなるでしょう」


しっかりと受け答えをするリエルお姉様は、いつものお姉様を知っている身としては、違和感がありますね。

あはは……。


「なるほどな。確かにイオアが口添えすれば、警戒は解くだろう。魔物を討伐する独自組織はどこの国でも存在する。クリアストリーム教会が最大組織なだけで、他がいない訳ではないからな」

「そうなのですか? 北部のことは知らないもので」

「ああ、キシュア殿たちの様子からすると、調べる間もなく、最北端のこの砦に来たのだったな?」

「ええ。冒険者がいることと、こうして、魔物を押し留めるための砦と人員がいるというのは知っていましたが。あとはクリアストリーム教会ですね」

「まあ、組織力で最大手というのは間違ってはいない。とはいえ、それだけでない」

「というと?」

「言い方は悪いかもしれないが、クリアストリーム教会、冒険者とは違うが、国の兵士もある一定水準以上の実力がある。それにあぶれた者たちも魔物を倒したいと願う者たちはいるのだ。あるいはそういう組織に属するのをよしとしない者たちもな」

「なるほど」


そういうことですか。

確かに、そういう方々はいて当然です。

力が足りないなどで、一流になれない者は当然います。

その人たちが力を合わせて魔物を退治する組織を作るというのはあることです。

村の自警団などが最たる例ですね。

力は無くても組織しなくては、村を守れないというただの事実がありますからね。


まあ、そういう方々よりはマシかもしれませんが、正規軍やクリアストリーム教会等よりは劣るという感じですか。


「なので、その手の組織として、私の方から認識をさせてもらおう。そうすれば他国の者たちもそこまで警戒しないはずだ」

「その程度で良いのですか?」

「もちろん、引き抜きなどの話は来るだろうが、敵とみなすことは無くなるはずだ。裏にクリアストリーム教会の暴走もあるからな。下手な接触は問題だというのは理解している。この程度が良い落とし所だろう」

「確かに。手出し無用などといえば、イオアの子飼いと思われて、それはそれで色々な問題が出てきますね」

「そういうことだ。まあ、引き抜きをされない方法は考えていたのだろう?」

「それは考えていましたが、連絡をしてもらえれば、もっとやりやすくなるのは間違いありません。ありがとうございます」


そういって、一旦リエルお姉さまとの話は終わる。

色々、話すことはありますが、ずっと話すわけにもいきませんし、今は……。


「では、軽く話が終わったところで、物資の提供に関してなのだが……」

「はい。ご用意しています。場所はどちらに?」

「案内しよう。私が自ら検分する必要もある。ないとは思いたいが、砦はもちろん、町の物資もギリギリだ。思わぬところで影が差すこともあるだろう」


リエルお姉さまがこちらに振り向いて視線を向けてきます。

カシア王女の話は事実なのかということなのでしょう。


「今のところは、盗難、紛失の事件はないな。とはいえ、増援や物資はまだ本国から来ていないからな。とりあえず、肉の心配はしてないけどな」


キシュアさんがそう肩をすくめてそう言うと、合わせるようにカシア王女もやれやれと言った感じで


「ああ、確かに肉なら、向こうからやってくるからな。今はさっぱりとした野菜の方が好まれているな。実の所私もそうだ。リエル殿が持ってきたものに、野菜などはあるかな?」

「はい。持ってきています」

「そうか、楽しみだ」


そんな感じで、カシア王女とリエルお姉さまは和やかに会話をしつつ、物資保管庫へと向かいます。


「まあ、おいているものは少ないが、ここが物資保管庫だ」


案内された保管庫は薄暗い倉庫でした。

食べ物を保管するのですから、暗所だというのは当然ですね。

日に当たっては劣化が早まりますし。

中身はカシア王女が言ったように、ガラガラでそこまで物資はありません。

とはいえ、先ほども言いましたが、肉は自らやってくるので、食糧難にはなり辛いですね。


飽きますけど。


「では、まずは、冷凍庫を。配置して」

「はっ」


兵士の一人にそう指示を出すと、すぐに兵士がやってきて、すぐに冷凍庫を壁際に設置します。

アイテムボックスから出したので一瞬ですね。


「アイテムボックス持ちとはな。まあ、それはいいか。この箱は?」

「私たちの所で開発した、冷凍して置ける箱です。魔力をこちらから補充することで、常に一定の温度で保管できるんですよ」

「は!? そんなことが可能なのか!」

「はい。こちらをどうぞ」


そういって、カシア王女やクレント将軍は冷凍庫を確かめていく。

業務用だからデカいんですよね。

とはいえ、一つでは入れられる量はたかがしてれているので、冷凍庫はもちろん、冷蔵庫や小麦粉などの常温で保管が利くものをどんどん置いていきます。

砦にはおよそ300人が勤めていますので、まだまだ足りないと言えば足りないのですが……。


「ひとまずはこちらを使ってください。補充に関しては、状況を見てですね」

「……補充もしてくれるのか?」

「困っていればです。カシア王女は本国に物資の要請を送ったのですよね? それをないがしろにするわけにもいかないでしょう」

「ああ、確かにそうだな……。というか、物資が満杯にあるのもまずい」


ですよね。

物資が足りないから頼んだのに、満杯でしたとか、虚偽申告と言われてもおかしくありません。


「なので、頑張って消費してください。まあ、キシュアたちを受け入れてくれたお礼ということで」

「ふっ、なるほど。確かに連日の激務に対しての、労いは必要だな」


ということで、その日の食事は豪華になって、砦の皆は交代ではありましたが、つかの間の宴会を楽しむのでした。





まずは食料品などは景気よく使って、つかみは良し。

あとは、イオア王都からの増援がどれほどのモノかで、対応を決めるということになりました。


……リエルもちゃんとできるんだね。

驚きだ!


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