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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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2308/2324

第1985堀:調査を終えた彼女たちは

調査を終えた彼女たちは



Side:ヴィリア



「今日も一日ひま~」


そんなことを言って割り当てられた部屋でダラダラしているのはニーナさんです。

私たちは現在先日の敵出現地点の調査を終え、砦での防衛の日々を過ごしています。

流石に数日は変化がないかと慌てていましたが、それでも10回も超えれば慣れてきますし、敵を処理するのも効率化してきます。


正直、もっとサクッとやれなくもないですが、あくまでも砦の皆さんのまでは、ある程度魔物を残す程度の威力に抑えなければいけませんから、そこら辺で退屈になるのはわかります。

単調化しますからね。

変化、自分たちの暇をどうにかするために工夫をしだすともっと殲滅速度は上がるでしょうが、それこそ私たちを手放したくなくなるでしょう。


あくまでも私たちは冒険者であり、ペトラ清司教のところに行くのが目的なのですから。

とはいえ、この砦も無視することは出来ないんですが。


「暇ってな。結局、敵の出没している洞穴は手出しできなかったんだから仕方ないだろう? 下手に潰しても別が開く可能性が高いんだから」

「そうですね。最初はウィードの皆も潰せば、あるいはたどってボスを倒せばと言っていましたが、しくじれば次の手を打たれますからね。やるからには絶対に潰す気でやらないと、ほかにも迷惑が掛かります。それはニーナが一番よくわかっているでしょう?」


そうなんですよね。

私たちが冒険者としてアンドの砦を超えて山岳部の魔物出撃地点の調査をしてきたのですが、場所を確認しただけで、他には何も手を出さず戻ってきたんです。

理由はキシュアさん、スィーアさんの言う通り。

他に洞穴を作られて敵を送り込まれる可能性が捨てきれません。

それにそこに陣取って出てくる魔物を迎撃するという案もあったようですが、森の中にあり、別の方向から襲撃も受けかねないということで、3か所に分けて戦力を派遣して迎撃するよりは、砦で迎撃した方が良いと考えたみたいです。


正直、私たちもその意見に賛成でしたので、魔物が湧き出てくる洞穴を確認したあとは、何もせずに戻ってきたというわけです。

……ウィードの戦力が使えればどうにでもなるのですが、まだその時期ではありません。

敵の全容も見えていませんし、ウィードだけが手札を見せるわけにはいきません。

北部の情勢もはっきりわかっていませんからね。


「わかっている。でも暇なのは間違いない」

「まあ、そりゃそうだけどな」

「私たちが何か主導で行う権限はありませんし、効果的な作戦も思いつきません。ヴィリアは何かありますか?」


そうスィーアさんに聞かれますが、私も特に思いつくことはなく首を横に振るしかありません。


「私たちだけでことを起こすのならともかく、イオアとしての方針となると、私たちはイオアの状況をまるで知りませんし、口を出すわけにもいかないかと」

「だよな。ウィードだけで動いて良いなら、私たちだけで洞窟に入って敵を蹴散らしつつ進んで、敵の拠点を奪うというか、ダンジョンマスターを倒すよな」

「うん。それが最適」

「だから、そんな簡単に済む可能性は低いと、二人も判断しているでしょう? 相手はユキさんと同じようにダンジョンを作る力があります。形成が不利となれば逃げることも考えなくてはいけません」


そうなんですよね。

敵が逃げないのであれば、私たちが殴り込みに行って原因もろとも吹き飛ばすという手段が取れたのですが、今回はダンジョンマスターが敵であり、最悪逃亡の可能性があるのです。


「闇ギルドの下っ端が逃げたのと同じ状況。ちっ、面倒な」

「確かに言われてみると、同じだな。まあ、向こうは旧ヴィノシアにいた連中が勝手に分散したって感じだが」

「それもヒンスアで起きた大氾濫を止めたからですから、ある意味敵のダンジョンマスターの思惑を止めたということになりますよ」

「難しいですよね」


スィーアさんの指摘通り、ヒンスアの大氾濫から始まる闇ギルドがダンジョンマスターだったのと、今回の事件というには規模は段違いですが、似ていると言えば似ています。

とはいえ、敵の目的が分からないので手の出しようがないのは事実です。


「……もっと何か情報があればいいのですが」

「ヴィリアの言う通りだな。敵の情報があればそこら辺を調べるんだが……ん? 敵の情報? そういえばなんか情報が入ったとか話がなかったか?」

「ダンジョンマスターの情報が入ったなんてことは聞いたことはありませんよ? 何かの聞き間違えでは?」

「いやいや、そっちじゃなくて、なんだっけ? あ、そうそうクリアストリーム教会の要人がオーエに到着したって話無かったか?」

「「「あ」」」


そう言われて思い出す。

そういえば、ここ数日でオーエに、クリアストリーム教会の要人が到着するって話がありました。


「こっちが忙しくて忘れていた。というか、何かわかったならこっちに情報を送ってくると思うから、あまり期待はしていなかったけど」

「何を言ってやがる、暇だって言ってたくせに。しかし、情報が回ってこないのはおかしいよな」

「確かにそうですね。オーエに到着したのが昨日だったはずですし、ヴィリアさんの方に連絡などは来ていませんか?」

「いえ、私の方にはなにも。まあ、改めて考えると到着してまだ二日目です。長旅を終えて翌日ですから、まだ疲れが残っているのでは?」

「あ~、確かにそうか。しかも車じゃなくて馬とか徒歩か」

「キシュアはお馬鹿。車なんてウィードぐらいしかない」

「ああ!?」

「やめなさい。二人とも」

「あはは……」


いつものやり取りを見つつ、流石にお兄さまたちも、長旅をしてきた人たちを拘束はしても、そのまますぐ尋問とはならないはずです。

体調不良などになられて、そのまま倒れるということになれば、それはそれで問題ですから。

もちろん、相手の態度にもよるでしょうが。


「たく。じゃあ、ユキに連絡を取ってみるか」

「それがいい。こっちは手詰まり。なら、情報がありそうなところに話を聞く」

「まあ、それぐらいしかやることはないでしょう。カシア王女やクレント将軍たちは現在は私たちが持ち帰った情報をもとにどうするか連日会議ですし」

「あの情報で国としては対策を取らないといけない。増援を頼むのか、それともこちらの戦力だけでどうにかするのか。まあ、イオアの状況とかもあるだろうし、そう簡単には決着はつかない。だから、私たちは待機するしかない。あるいはユキに連絡を取って、ウィードを動かすなら乱入できるけど」

「いや~、この状況でウィードの戦力は動かせないだろ」


キシュアさんの意見に賛成です。

不確定要素が多すぎて、いまウィードの名前を出すのは意味がないとは言いませんが、逆に動きづらくなる可能性が高いと思います。

下手をすると、ウィードが混乱の原因ともいわれかねません。

その場合、北部の国々と一度戦わないといけませんし、クリアストリーム教会とも敵対となるでしょう。

……言わずもがな、そんなことになれば面倒でしかありません。


それこそ北部の魔物と、中央部のクリアストリーム教会の後手に回ることになり、多くの国々は被害甚大。

その後、まとめ役として動き回ることになり……仕事がさらに増えます。

それは、私たちが過労死するというルートなので、絶対にダメです。


とりあえず、このまま話していても仕方がありませんので……。


「分かりました。とりあえず、お兄さまに連絡を取ってみましょう。現状を報告して、クリアストリーム教会の方の話も聞けば、何か方針を示してくれるかもしれません」

「確かにな。じゃあ、連絡頼めるか?」

「はい」


ということで、私はさっそくお兄さまに連絡を取ります。


『どうしたヴィリア? 何か問題でもあったか?』


コール画面の向こうにはいつもと同じで執務室の風景です。

今日もお兄さまは、色々な人が困らないように、大事な書類仕事を一つ一つこなしているのですね。

その労働にいそしむお兄さまの顔はとても素敵です。


『おーい。ヴィリア?』

「あ、はい。問題自体はないのですが、それが問題なんです。つまり暇という感じで」

『あ~。まあ、敵の拠点ではなかったからな。予想したようにダンジョンを作っているって感じだしな』

「はい。カシア王女たちも、同じ場所が3か所もできていることを確認して、潰してもほかの場所ができる可能性を考えて、あえて潰さずという判断をしているようです」

『俺もその考えに賛成だな。敵の本拠地とか居場所がわかっているならともかく。それもわかっていないからな。で、ヴィリアたちは待機を命じられて、退屈というか、じっとしているのは性に合わないってことか』

「そういうこと。私たちはこっちにきて諜報ということで基本動いていた。防衛戦力としておいておかれるのは違う」


私が話しているところに、ニーナさんが加わって、私たちの気持ちを代弁してくれる。

確かにその通りです。

諜報として北部に行ったのに、今は防衛の戦力という扱いになっていますからね。

本来の目的を達成できない状況というのは、私も不満があります。


『確かにな。それで、何か行動を起こしたいって話か?』

「そう。具体的には情報はない? クリアストリーム教会の要人がオーエに到着したって聞いた。何か情報はないの?」

『ああ、そっちか。確かに昨日到着して、スタシア、カグラとミコスが対応に当たったな』

「ん? エノラじゃなくてか?」

『エノラは亜人って扱いになるしな。そして、前に同じような目に遭っているし、直接顔を合わせるのはってことで、そこら辺を考慮して外した』

「「「ああ」」」


そういえばそうでした。

中央部のクリアストリーム教会は亜人排斥に協力というか、寧ろ率先して色々やっていましたからね。

そして、エノラお姉さまは、ハイデンで叡智の集という、アクエノキの一派のせいでひどい目に遭っていました。

その酷いことを指示していた連中と顔を合わせるぐらいならともかく、変に挑発をしてしまえばそのままぶっこ……いえ、殴り倒してしまうかもしれません。


『まあ、エノラの参加はいいとして、クリアストリーム教会の要人の話だが、正直に言うが、なんも知らなかったって感じだ』

「「「はぁ?」」」


意味が分からず、そんな声を上げてしまいます。

お兄さまもこちらの困惑がわかっているようで、説明を続けてくれます。


『まだ向こうが嘘を吐いている、演技をしている可能性はゼロじゃないが、こちらに協力的でな。普通にオーエの北の町で普通に亜人に治療をしていたんだよ』

「えーと、どういうことだ? 中央部のクリアストリーム教会の連中は亜人に対して拷問をして魔力集めていたよな?」

『そうだ。中央部のクリアストリーム教会、そしてそれに協力している国々が存在しているのは間違いない。……だが、送られてきたクリアストリーム教会の司祭はそういう思想がまったくない。というか、理解していなかった』

「「「?」」」


本当によくわからないので、詳しい話を聞くこととなりました。

なにか、私たちの状況を打破するヒントがあるかもしれませんからね。



下手に踏み込めなくて、待ったをかけられる現場っていうのはよくあるよね。

とはいえ、上も色々対応をしているので仕方がないというのもある。


そして、北の町にやってきたクリアストリームの要人は……。

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