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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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2303/2324

第1980堀:調査隊出発

調査隊出発



Side:ニーナ



「……なんか気が付けば予定当日ね」

「特に変わったことは無かったな。それでよかったんだろうが」

「ですね。これで攻勢が強まったり弱まったりすれば、さらにこちらも警戒をしなくてはいけませんでしたからよかったです」

「ですが、やはり魔物は集まって襲撃してきますね」


そう、ヴィリアの言う通り、この10日の魔物の襲撃は相変わらず、400から600近くの襲撃一回に変わったままだ。

戦術を変えろよというか、すでにこの10日で6000近くの戦力が消し飛んでいるというのに、向こうには動きがない。

こっちは毎度毎度、後方に配置されて魔術をぶっぱするだけで退屈している。


いや、私たちがいなければこの砦の状況はかなり悪くなっていたと断言はできるけど。

だけど、ここに拘束される原因にもなっているのは面倒。


「それを解決できれば、何とかなると思おう」

「だな。敵の出現地点を調べて、原因を叩ければどうにかなる。……と思いたいな」

「普通に考えれば、北部は全体的に魔物被害が増えているとのこと。ここを押さえただけでは無理でしょう」

「ですね」


スィーアの言う通り、ここを押さえられたとしても他がまだまだある。

目の前の問題を片付けただけでは終わらないとわかっていても、すべて解決すればと思ってしまうのは仕方がない。

何せまだまだ面倒が続くってことだから。


「そういえば、ユキの方は中央部で動くって言ってなかったか?」

「言ってた。というかギアダナ王国と冒険者ギルドに頼んでいた情報収集がいったん終わって、報告を聞くらしい」


そう、私たちが北部で動いている間に中央部でも動きがある。

なぜ、中央部のクリアストリーム教会が変に暴走しているのか、なぜ各国が賛同しているのか、亜人を差別、排斥して何を望んでいるのか。

そこら辺が分かれば、色々対応のしようもある。


「何かわかればいいですね。このままでは下手をすれば北部と戦争です」

「否定できない状況ですね。とはいえ、魔王とかがいたとして、それが離反を促しているということでしょうか?」

「ヴィリアの言う通り、人の敵対者である魔王みたいなのがいれば、人の連携にヒビを入れるというのはわかるんだけどな~」

「その割には何もない。魔族とか、その魔王の部下とかが出てきていないし、兵力の無駄遣いもある。となると指揮官がいるのかというのも疑問」


ここまで大規模な戦いになれば、魔王がいたとしても、国として機能していなくても、部下の一人ぐらいは出てきていてもおかしくはない。

いや、実は接触しているところはあるけれど、北部の誰かが情報封鎖をしている可能性もあるか。

とはいえ、こちらに情報が来ていないから動きようもない。


「ま、そこらへんはユキたちに任せるさ。私たちがやるより、その手の情報は引き出すだろうさ」

「それは間違いありませんね。あの人は本当に色々規格外ですから」

「お兄さまはすごいんです」

「……まあ、ユキはそう」


考えていないようで、色々考えているし、情報も多角的に集めているから、答えにたどり着く可能性も高い。

というか、山ほど可能性を上げて、一つ一つ潰していくやり方だから、当たって当然というか、それを全部確認していく方法を思いつくっていうのもおかしいんだけど。


と、そんなことを話していると、チノクがやってくる。


「お待たせいたしました」


彼女も今回の攻勢というか出現地点調査に加わっている。

まあ、私たちのサポートがメインだけど。

記録もとって冒険者ギルド側も情報が欲しいということなんだろう。


「よし、なら行くか。スィーア、ヴィリア、砦の方頼む」

「ええ。任せて」

「気を付けて、キシュアさん、ニーナさん」


今回私とキシュアが敵が出てくる場所へと向かい、スィーアとヴィリアが砦の守りに付く。

この振り分けには特に文句はない。

傍から見てスィーアは回復魔術が得意と思われているし、ヴィリアも私たちの中でも最年少。

砦サポートに回る方がよいというのは何も間違っていない。

対してキシュアは炎の魔術が得意で攻めがメイン、私は斥候で風の魔術が得意。

まあ、回復魔術が使えないわけじゃないけど、これがベストだと思う。


そんなことを考えながら、私たちは砦の門の方へと歩いて行く。

ああ、町の方面じゃなくて、山岳部の方へ。

そこには私たちと同じように選ばれた調査隊たちが並んでいる。


「遅れたか?」

「いいや、ちょうど集まったところだ。何より、キシュア殿たちにはぎりぎりまで英気を養ってほしいからな」


そういって出迎えたのはカシア王女だ。

横にはクレント将軍もいる。

今回の調査隊はイオアの威信もかかっているから当然か。


「どうだ? 体の不調などは無いか?」

「問題ない。ニーナは?」

「普通」

「そうか、ならよかった。お前たち二人が今回の調査の要だ。ほかの2カ所の調査隊もいるが、戦力的にはお前たち二人がいる隊が一番上だからな。それが不調なら取りやめる所だ」


普通なら大げさというべきだろうけど、私たちがいるからこそ調査に踏み切ったという話だし冗談じゃないというのはわかる。

そしてそれを迷わず判断できるカシア王女はまともだということも。

そういう才能というか、力がある人物を見極める力がある。

得難い才能で、上に立つ人ならあるとありがたい。


実際こうして、私たちが普通に調査隊に組み込まれているんだが、この調査隊が全滅する可能性はかなり低いだろう。


「よし、では出発の前に、改めて作戦を説明する。クレント将軍頼む」

「はっ」


そして、今回の作戦の説明が始まる。


「いまから私たちはアンドの砦より出撃し、魔物出撃地点を調査。そしてできれば原因を排除する。目標地点は3か所であり、距離的にお互いサポートできる距離ではない。部隊は一つにつき10名前後であり、森の中ということもあり、かなり厳しい調査になると予想される。だが、ここで無理はせず、生きて情報を持ち帰ることが最優先となる」


うん、これは正しい。

今は少しでも情報が必要。

迷ってたどり着けなかったというのも情報の一つ。

それだけ、目標地点は面倒な場所にあるということがわかってくる。

魔物が多くとか強力だったということは、それだけ目標地点は防衛を固めているということでもある。

問題はそれが分からず全滅してしまうこと。

それは情報も持ち帰れないので一番だめなパターンともいえる。

まあ、全滅するようなトラップというか、備えがあったともいえるんだけど。


「調査時間については目測の距離と貴君らの移動速度を考えて1日と考えている。が、日をまたぐようなことになれば、帰還すること。明日になれば明日の砦を攻略するための魔物部隊と遭遇する可能性が高い。その場合は言うまでもないが、10人程度でどうにかなる数ではない」


そう、今回の調査期間はなんと、たった一日。

普通ならありえない期間だが、敵の出現場所はここから3時間ぐらいの場所というのは私たちからも目星がついている。

まあ、だからこそ、変な拠点、あるいはダンジョンでもあるんじゃないかと警戒しているんだけど。


あと、クレント将軍も言っていたけど、毎日の襲撃はまだ続いていて、その集団とぶつかる可能性もあるという、ほぼ確実に明日になれば、その集団とぶつかる可能性があるので、調査期間は一日となっているわけ。


「だが、気にすることは無い。生きて情報をもちかえれば、次の機会を設ければよいのだ。焦らず確実に敵を追い詰めればいい」


そう、クレント将軍は兵士や冒険者のことを気遣う言い方をする。

それも当然、今のところ、戦力の大幅な補充は望めない状態。

この調査で高々30人とはいえ、一応砦の相応な実力者たちを失えば、相当な痛手になり、補充にも時間がかかるのは目に見えている。

なら、生きて帰ることを優先して、砦の戦力を維持するのは当然のこと。


カシア王女たちとしては、情報を持ち帰れれば良しぐらいに思っているかもしれない。

まあ、たかが30人、いや調査場所一か所10人で敵の出現場所を潰せるとはまず思わないか。

あとで目的を明確にしてから、大部隊を送り込んで潰すっていうのが無難。


で、説明が終わったのか、クレント将軍は後ろに引いて、カシア王女が再び前にでてくる。


「ではこれより作戦を開始する。各々無事に戻ることを祈る」


そう宣言をした後、門が開いて、私たちは山岳部へと足をむけると、本日の魔物を退治して処理をしていた兵士や冒険者たちがこちらを見て手を振ってくる。


「がんばれー!」

「無理するなよー!」

「敵の拠点を吹っ飛ばせー!」

「こっちは守っててやるからなー!」


そんな声援と供に、私たちは中央の敵拠点があると思しき場所へと向かっていく。

ああ、上手く行けばそこから左右のフォローに行けるからという理由らしい。

もちろん、左右が先に終わって中央に合流できるようにという思惑もある。


「キシュア殿、大丈夫か?」


森に入ってから先頭を歩いていた騎士がこちらに確認を取る。

なんで今更と思ったが……。


「ん? ああ、問題ない。意外と魔物が歩いているのか、そこまで草木は邪魔にならないしな」

「ああ、ちっさいからか」

「あん?」


なんか切れてくるキシュア。

とはいえ、別に怒らせるつもりはない。


「いちいち反応するな。事実を言っただけ。顔に草がかかってれば気にする」


そう、キシュアの身長だとちょっと背の高い草でもキシュアの視界を覆う。

とはいえ、キシュアの言うように獣ではなく、魔物が毎日あれだけ歩いてきているのだから、踏みならされていて、そこまで邪魔という印象は無い。

だが、傍目から見ればキシュアはまだ成人してない子供の姿だ。

大人である騎士が気にかけるのは当然。


「ふん。というか、敵がどこから来ているかっていうのは露骨にわかるな」

「ああ、この道をたどるだけだからな。とはいえ、今まで斥候は最後まで行けなかった」

「魔物と遭遇したってこと?」

「ニーナ殿の言う通りだ。毎日三回程に分けて襲撃をしていたころでな。隙をついても相応に魔物が溜まっていた」

「今回はそれがないと踏んでいるわけだ」

「ああ、最近はまとめてだからな。そして、それを撃退したばかりだ。溜まっていても少数だと判断したわけだ」


騎士の説明に納得する。

確かに私たちは本日の敵の襲撃を退けて少し休憩したあとの出撃だ。

敵の戦力補充はまだされていないはず。

というか、私たちの察知能力でも精々20匹ほどしかいないのがわかっている。

もう20匹いるのが逆に驚きではあるし、何かやっぱりあるという確信も持てる。


はぁ、面倒にならないといいけど。



敵の襲撃を撃退してから返す刃で調査へと。

さあ、森の奥には何があるのか。

魔物はどこから湧いてきているのか。


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