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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1960堀:町はまだまだ元気

町はまだまだ元気



Side:ニーナ



『……ということで、何とか陸上戦艦を稼働できる人員は確保している感じだな』


ユキからそう報告が来たのは、冒険者ギルドでの現状説明が終わって2日後。

正直に言って。


「早すぎ」

『早いか?』

「昨日の今日でどうにかなるような話じゃない」


総員120名前後で動かせることも驚きだけど、その人員だって素人ではなく、プロの軍人。

簡単に120名の人員を5隻分も集められるのがおかしい。


『だが、ニーナたちは今日にでも戦線投入だろう?』

「別に私たちだけで敵を押さえろってわけじゃない。砦に行って、城壁の上から攻撃をするだけ」

『話は報告書で聞いているが、それで済むか?』

「むぅ」


そこを突かれるとちょっと自信はない。

砦の上からの攻撃だけで様子を見ろとはギルド長やチノクからも言われている。

幾らなんでも突撃に交じっても多数に囲まれてしまえば、パーティー単位の連携など無意味だからと。

なので、最初は全体として戦うことを上から覚えろと。


言っていることは至極まっとう。

だから、普通であればその言うことを聞くべきだけど、私たちは既に軍での戦いには精通している。

ユキを中心とした軍師タイプになると負けるけど、セラリアやジェシカたちといった将軍たちには良い勝負をしている。

なので、集団の指揮はもちろん、その指揮下で戦うことも慣れている。


あと、一番大きな理由は……。


「もちろん有事の際にはその言うことを聞いている暇はない。友軍が減らされるのは避けるべき」


城壁の上だけで救えるのなら別に問題は無い。

だが、こちらの戦力が減るような事態になれば、それは今後私たちの負担が増えるという意味でもあるので、なるべくそれは避ける。

当然の話。


『まあ、それはわかる。だから早期の陸上戦艦の投入を考えているわけだ。今のままだと、戦が上手い冒険者ってことで戦場を渡り歩くことになる。俺たちウィードとしては、そういう便利屋扱いではなく、国の上層部に食い込んで、影響力を増してほしいわけだ。冒険者ギルドやクリアストリーム教会と中央のことで連携を取りたいしな』

「それは理解している。でも、初めての戦いでそこまで望まれても無理」

『わかっている。だが、いざという時に陸上戦艦の人員が足りません、あるいは信用されていないから出せません。っていうのは避けたいからな』

「確かに。でも、そこら辺とのコミュニケーションをとるためにもしっかり活動しないといけない」

『だから、変にぶっ飛んだ行動はやめろよって話だ。言うことを聞かない相手とは距離を置くものだしな』


ああ、そっちか。

私たちが活躍しすぎると、変に敵視されるというわけか。

まあ、自分自身でそれは身に染みている。

ベツ剣を使いすぎて迫害されたから。


「わかった。そこらへんは上手くやる」

『頼んだ。ヴィリアに関しては俺たちが色々教えたりしているせいで、そこら辺の手加減は難しいから、見本は任せた』

「なるほど。ヴィリアのことはこっちに任せて」

「え? どういうことでしょうか? お兄さま?」


今回は全員でユキの相手をしているわけではなく、宿で休みながら私が報告をしていて、ヴィリアは自分の名前を言われて顔を出す。


『これから、大規模戦闘だからニーナたちの指示をよく聞いてな。って話だ』

「わかりました。私にとっては初めてに近いことですからね。軍隊のとはまた違うでしょうし」

『ウィードの軍と比べるとがっかりするかもしれないぞ。というか、そういうギャップがあるからよく見ておけって話だな。下手にヴィリアたちが活躍すると、そのままリーダーとかに押し込まれる可能性もあるからな。まあ、そうなったらそうなったで動きようはあるんだが……』

「いまは大人しくして情報を集めるべきだと思います。二日三日では冒険者ギルドはもちろんクリアストリーム教会の実態はわかりませんから」


うん、ヴィリアの言うことはもっとも。

下手に頑張れば、冒険者ギルドやクリアストリーム教会と面倒になる可能性もゼロじゃない。

まあ、話を聞いてみる限り冒険者ギルドは問題ない。

クリアストリーム教会も活動を聞く限り真摯に魔物退治と治療や復興に当たっているけど。


『確かにな。今目立つと変な横やりが入りかねないか。まあ、そこら辺のバランスは基本現場のニーナたちに任せる』

「うん。こっちに任せて。何かあれば援軍を頼む」

『ああ、そこは用意しておく。で、今話に出たが、冒険者ギルド以外の組織との接触はあったか?』


そのユキの言葉に返事をするのは、部屋のテーブルでスィーアと一緒にお茶を飲んでいるキシュア。


「いや、ここ二日はちびっこ冒険者たちの案内で町の説明をしてもらったぐらいだな。道具屋とか、武器屋とか、おすすめの飯屋、宿って感じでな」

『あ~、流石に利用しないっていうのは変か』

「変ですね。だから、そういう基礎的なことを聞いていました。ですが、そのおかげで町の賑わいについては間違いなく本物であると確信しました」


スィーアの言うように、アンドの町の賑わいは無理やり国の支援でにぎわっているのではなく、これから発展していく、そんなことを人々が感じて賑わっているようだ。

もちろん、領主をしている王家の支援なども賑わいの理由の一つではあろうが、それでもできることに限りはある。

滅びるとわかっている町に人は集まらないし、人々は笑顔にはならない。

無理やりで成り立つことはない。


『そうか。なら、一応現状は保っているか。品数については?』

「平均的な値段を調べる暇はなかったけど、まあ、旅路でよった町々よりは安い」

『安いのか? 値段が高騰するんじゃないか?』


ユキもびっくりした声を上げている。

なにせ激戦区。

物資はいくらあっても足りないはずだ。

だから必然的に軍需品はもちろん、民用品も値上がりするはずだが、それがないのだ。

驚くのは当然のこと。


「安いと言っても二桁違うぐらいだから。おそらく王国直轄地ってことでそこらへんの調整をしている」

『あ~、なるほどな。そうでもしないと高騰を続けるからな。軍も物資の調達に困ることになる。そこはちゃんとしているわけか』

「おそらく。まあ、それだけまだ安定しているともとれる」

『だな。本当にギリギリなら何もかも足らなくて、人も物資も足りなくなるしな。いまだに町の人たちが普通に生活しているという事実がまだ安全な証拠か』

「そう。とはいえ、いつ崩れるかはわからないから、注意は必要。そのために砦に行ってくる」

『わかった。ま、さっきも言ったが様子見だからな。自重しろ』


ということで、ユキへの報告が終わり、私たちは砦防衛の準備を整えて、冒険者ギルドへと向かう。


「お待ちしていました。準備は整ったようですね」


ギルドの中ではチノクが受付の格好ではなく、冒険者の装いで待っていた。


「本当にチノクがくるんだな」


そのことにキシュアが思わずそう口を開く。


「おや、気に入らないことでも?」

「いや、私たちが言えたことじゃないが、見た目若いだろ? それにほかの受付もいるようには見えないからな」


そう、チノクは見た目は幼い、そしてほかに冒険者ギルドで働いている人がいるようには見えない。

というか、一人で対応できるのかという疑問もある。


「あ~、見た目については仕方がないですが、受付に関しては、一応ほかの職員もいますので」

「いるのか」

「流石に私とギルド長だけじゃ回りませんよ」


確かにそうだ。

とはいえ、表にここまで見ないのも珍しいというか。


「今度ご紹介しましょう。私がいない時に対応トラブルがあっては面倒ですし」

「そうだな。頼む」


確かにこの冒険者ギルドにやってきて顔を合わせたのは、このチノクとレウギルド長、そしてちびっこ3人だけだ。

これだけじゃ、ギルドに来たときにトラブルになる可能性はある。

なにせ、私たちもチノクほどではないにしても冒険者というには綺麗すぎるから。

いや、自慢とかではなく、毎日風呂とかそういうので手入れをしているのでそのせい。

入浴とかいう文化は余程町や村に余裕や温泉などの資源がないとできない。

なのでせいぜい濡れた布で体を拭くぐらいしかできないし、お金もかかるので余程余裕が無いとやらないわけだ。

だけど、私たちは衛生面の大事さなども知っているので、毎日体を洗う。

その差で普通の冒険者と比べると身綺麗で冒険者にしては……となるわけ。

と、そんなことを考えているうちに、私たちはアンドの町の門に立っている。


「さて、これから砦へ向かいますが、弱い魔物などは出ることが普通にありますので、道中も油断はしないでください」


チノクがそう私たちに忠告をする。

まあ、当然だ。

完全に北への道は封鎖は出来ていないし、内側、領内にも魔物が生息している地域がある。

なので、普通に魔物が出てくる。

とはいえ、領内の魔物は軍が出て討伐をこまめにしているから、そこまで遭遇率は高くない。

なにせ、領内の移動が滞ると、それはすなわち最前線に物資が届かないということになるから。

そんなことを考えながら道を進むと案外すぐに砦が見えてくる。


「意外と近いんだな」

「そうですね。優秀な冒険者であれば走って10分もかからない程度の距離です。一般人が歩いても精々1時間かかるかどうか。まあ、荷物などを含めた移動は相応にかかりますが」


データ上の直線距離は5キロだったっけ。

そうなると多少なりとも道は蛇行しているから倍とは言わないまでも8キロ近くはあるだろう。

それに丘など隆起したり陥没とまではいわないが、盆地のようになっているところは人の足ならともかく、物資を大量に積んだ馬車や荷車などはかなり時間がかかる。

まあ、いざとなればたった5キロ先ではあるから、無茶な撤退はできるとは思うけど。

その代わり、砦と防壁が抜かれた時は迎撃準備を整える余裕はない。

いえ、その前に伝令が出るから、敵が戦略を練って動いた場合ぐらいしかそういう事態にはならないか。


「そういえば今日の私たちの役割を改めて聞いてもいいか?」

「ええ。歩きならがら、今一度確認いたしましょう」


今回、私たちが砦に向かうのは、戦場を実感してもらうことと、私たちの攻撃がどこまで敵に通用するのかを確認すること。

まずはこれを行わないと、どういう風に部隊に組み込むかを考えられないから。

当然の判断だと思う。

実戦の場でどれだけ使えるかを確認しないと、味方の足を引っ張りかねない。

それは自分自身の死よりも、多くの仲間の命を危険にさらすことにもなりかねない。


「なので、皆さんのことを戦場で戦う人たちに知ってもらうためにも、今回は私の指揮下で戦ってもらいます」


ということで、私たちはチノクの指揮下のもとで砦での戦いに臨むのであった。



今のところ敗戦の雰囲気はなしなので、まだまだやれる。

とはいえ、こういうのは一つのほころびで崩壊するのがお約束なので油断はできません。

まあ、ユキたちの監視もあるので安全と言いたいですが……。

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― 新着の感想 ―
こちとら時速4キロなのに倍とは、異世界の一般人ぱねぇな。
緻密なモノほど蟻の一穴ほどに、もしくはそれよりも小さい穴やホンの少しの綻びで崩れ易い。それでも人は緻密を求めてしまうモノ………。まぁ中途半端ならともかくそうとうに緻密であるなら中々弱点を見つけ難いです…
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