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第8話:晩酌と、書斎の机

夕方、仕事から帰ってきた旦那さんは、居間の畳にどさりと重い鞄を置くのがすっかり日課になっていた。結は冷たい麦茶を差し出しながら、その横顔を眺める。

「いつも遅くまでお疲れ様。今月も、やっぱり大学の方は忙しいの?」

「ああ。後期の講義の準備と、論文の査読が重なってな。家に持ち帰った資料も山積みだよ」

旦那さんはそう言って苦笑いしながら、居間の隅に積まれた、難しそうな外国の文献や手書きのノートの束に視線をやった。大学で教える旦那さんの周りには、いつも出所も分からないような古い紙や資料が溢れている。

「結も、体調はどうだ? 辛いときは無理せず、すぐに言うんだぞ」

「ありがとう。でも、最近は朝の気だるさも、あの妙な胸のムカムカもすっかり落ち着いてきたの」

結は微笑みながら、そっと自分の下腹部に手を添えた。

つわりが少しずつ治まり、お腹の中の小さな命が、自分の身体にしっかりと根付いていくような静かな変化を感じる日々。身体が軽くなったお祝いにと、今夜は旦那さんの大好きな煮物を作ったのだ。

旦那さんが今日の出来事を穏やかに話す声を聞きながら、結は「この人と一緒に、これからこの子を育てていくんだ」と、ごく普通の、ささやかで温かい未来を思い描いていた。

第8話をお読みいただき、ありがとうございました。

結のつわりも落ち着き、夫婦の穏やかな日常が戻ってきたお話でした。

それでは、また第9話でお会いしましょう。

[SYSTEM_LOG: NORMAL]

Subject_YUI biological synchronization high.

Fetal growth within expected parameters.

No environmental data corruption observed.

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