第7話:梅干しと、白いご飯
昨晩のサンマの匂いがまだほんのりと残る台所で、結は昼下がり、棚の奥からガラス瓶を取り出した。中に入っているのは、去年の夏に実家から送られてきた自家製の梅干しだ。
いつもなら、お茶請けにするには少し酸っぱすぎると思うほどの代物だが、なぜか今は、その強烈な酸味を身体が激しく求めていた。
炊きたての白いご飯を茶碗に盛り、その真ん中に、ぽつんと赤い梅干しを乗せる。箸で柔らかい果肉を崩し、ご飯と一緒に口に運んだ。
きゅっと酸っぱさが広がり、じわりと唾液が溢れてくる。その瞬間、ここ数日ずっと胃の奥に居座っていた、あの不快な重みが嘘のようにすうっと引いていくのが分かった。
(おいしい……)
結は小さく息を吐き、自分の下腹部にそっと手をあてた。まだ痛みも膨らみが変わり始めたわけでもないけれど、身体の奥がどこかいつもと違う、不思議な充足感に満たされている。
「今夜は、旦那さんにも酸っぱいおかずを作ろうかしら」
窓の外から聞こえるのどかな虫の声を聞きながら、結はもう一口、白いご飯を口に運んだ。
第7話をお読みいただき、ありがとうございました。
体調が優れないときでも、すっぱいものを食べると少しすっきりしますよね。
それでは、また第8話でお会いしましょう。
[SYSTEM_LOG: NORMAL]
Subject_YUI vital signs stabilizing.
No logic conflict detected in active consciousness.
Monitoring baseline parameters.




