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最下層
雨に濡れた灰色の大地には上層区のような緑なんてない。
薄汚れたようなボロボロの建物が立ち並ぶ町の外れに降り立つとアルビレオはブルブルと身ぶるいをした。
「有難うアルビレオ」
(いいよ。此処からお墓まで歩いて行く?)
「お墓?」
私は二人の会話に割って入り聞き返す。
「あぁ。
…俺の母親の墓に行くんだ」
ノワールのお母さんのお墓は上層区ではなく此処にあると前に聞いた。
私を抱き上げてアルビレオから降ろすと黒い翼を広げ、ノワールは天を睨むように見上げる。
「行こう」
アルビレオに見送られ、灰色の町に向かって私とノワールは歩き出した。
最下層の町の中はまるでテレビで見るスラム街そのものだった。
ヒビ割れた土壁の建物の間には晴れている時に洗濯物をかける為の物干しロープがかかり、軒先にはデコボコのバケツやたらいが置いてある。
「あ…」
家と家の間に雨が降るにも関わらず狭い壁と壁の間にもたれて座りこんでいる黒い翼の人影がある。
思わず近付こうとした私の腕をノワールが引っ張り、首を横に振る。




