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ノワールを抱き締めるカノン
コンコンッ
「ノワール…入っていい?」
ノワールの部屋を訪れた私はドアをノックし、声をかけたけど…やっぱり何も返ってこない。
ガチャ
勝手にドアを開けて彼の部屋に入ると…ノワールはベッドの上で膝に顔を埋めていた。
「ノワール…」
近くに寄り、彼の肩に手をかける。
「カノン……」
辛そうな顔で見上げるノワール。きっと頭の中ではシオンさんの事でいっぱいなんだ…。
肩を抱いていた手を彼の後頭部に回し、抱き締めた。
今…私にしてあげられることはこのくらいしかない。
暫く、私はノワールの銀色の髪を優しく撫でながら抱き締めていた。
(ガルーダも人間も一緒。辛い時は誰かにいてほしいし、こうして抱き締めてほしいのもきっと一緒…)
「…有難う、カノン」
涙こそ流していないが、きっと泣いていたのだろう。ノワールは掠れた声で礼を言うと一度私を強く抱き締めた。
「いいよ…。
それよりも、何処かへ行こう?此処にノワールがいると…このまま、また引きこもっちゃいそうで嫌なんだ」
部屋に散らばっていた羽根は全部片付けた。ニードさんと一緒に掃除もしてこの部屋も明るくなったのに…また暗くなったら嫌。
「何処か…か。
……ついてきてくれるか?」
「うん…」
何処へ行くのだろう。まさかジャンヌの家とか言わないよね…。




