ジャンヌの新しい婚約者
ノワールが空を飛ぶ練習を始めてから1カ月が経った。
「ノワールったらほんと、変わりましたね」
今、屋敷にはジャンヌが来ていた。
来るなり開口一番そう言われたノワールはジャンヌの隣の人物に怪訝な視線を向けている。
「あ、紹介しますわね。彼はアーヴァイン・バルセフォン。私の婚約者です」
「……」
いかつい顔にがっしりとした身体。翼は真っ白だ。
「初めましてノワール君。君がジャンヌの弟だね。我々を祝福してくれたまえ」
少し嫌味っぽい笑顔を浮かべ言うアーヴァイン。ノワールの方を見ると少し顔が青い…。知ってる人なのだろうか?
「ノワールったら驚いているのですわ。
それじゃノワール、またね。行きましょうアーヴァイン」
「あぁ。ではノワール君、失礼するよ」
ジャンヌとアーヴァインは肩を並べて去って行った。
「……」
ノワールは相変わらずアーヴァインを見ているがその表情が次第に憎しみを帯びた物に変わって行く。
「ノワール…あの人は?」
「アイツは……昔の騎士団長だ」
「そうなんだ…」
ノワールの怒りが空気をピリピリとさせる…あの人が昔何かしたのだろうか?
ガタン
後ろから何かを落とす音がし、振り返るとニードが床にバケツをぶちまけていた。
「ニード?」
「……ぁ…す、すいません……今片付けます…」
ニードもさっきのノワールのように顔面蒼白だった。
どうしたんだろう二人共…。
なんだか立ち入っちゃいけない雰囲気で聞けない。
「ノワール、飛ぶ練習にいこ?」
ひとまず話題を変えよう。
「…今日はいい」
そう言ってノワールは背を向け自室へ向かって歩いて行く。
「……」
残された私は床を拭くニードを手伝う。




