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空飛ぶ守護神竜
「どうだろ。筋肉が落ちていそうだな」
翼を持ち上げバサリ、バサリと羽ばたく。
「どう?」
「やっぱりかなりなまっているな。これじゃ相当練習しないと飛べそうにない…」
それは仕方ないけど…翼のない私にはよく分からない。
近いと言えば、たぶん足を骨折した後のリハビリだろう。骨折った事ないけど。
ひたすら羽ばたく練習をしているノワールを見ていると雲が晴れ始めた。
「あっ」
晴れた空の向こうに巨大な白いヴァルカーンが飛んでいる。
「デネブ…」
6枚の純白に輝く翼を動かし、優雅に空を舞う守護神竜。
「何故こんな所に?」
まるで私達を見に来たような感じ。だけど、すぐに遠くの雲の中に消えて行った。
(お母さんは…僕の事が嫌いなんだよ)
「えっ?」
ゆっくりとこちらに歩いて来たアルビレオが呟く。
「どうして?」
その前にお母さんって…アルビレオって守護神竜の子供なんだ。
(僕は兄弟の中で自分だけ黒いから…お母さんは僕を遠ざけるし、近付くと唸るんだ)
黒いからいじめられるなんて…まるでノワールみたいだ。
「大丈夫よ。お母さんに嫌われているのは…アルビレオだけじゃないから」
小声で言ったつもりなのに、ノワールが勢い良く振り返った。
「あ、私の事だから」
アルビレオの鼻筋を撫で、デネブが去った空を眺める。




