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…絶対怒る
私はニードに浅く会釈してからノワールの背を押し、階段を一緒に上がる。
(ノワールは…とても辛い別れをしたんだね…)
隕石からこの世界を守るために命がけで戦ったノワール。
その時、大切な親友を失った…。
私はまだ、そんな大きな別れをした事がない。両親の離婚は心に大きな傷を作ったけど、二人共生きているし。
大っ嫌いだけど…親がいるだけでも私は幸せなんだ。
親のいないニード…
お母さんがいないジャンヌとノワール…
そして、大切な友さえ失ったノワール……
「…後で、飛ぶ練習しようね?シオンだって今の貴方を見たらきっと怒っちゃうよ?」
会った事のない人だけど。彼が言うには私に似てるそうだ。
なら…私はこう思うよ。もし私が死んで、それが原因でノワールが自分自身を苦しめたら……絶対怒る。
「そう…だな……」
ノワールの部屋のドアを開け、彼と一緒に入った。
「……」
無言で机の引き出しから、古びた紙を取り出しノワールは私に渡す。
「これは…?」
二つに折られたその紙。広げて見ると凄く上手に男の人の顔が描かれていた。
「俺の…死んだ友人だ」




