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俺は疫病神だ…
「……」
ニードは首を横に振って俯く。
「…お前にそんな過去があったとは聞いてないぞ」
突然上からノワールの声がし、見上げると三階の階段から身を乗り出している。
「ノワール様?!」
サッとノワールが階段の手摺りを飛び越え、私達の前に降り立つ。
どんな運動神経してるんだろ…昨日私を助けた時もそうだけど。
「ニード…その…すまなかったな」
「何故…貴方が謝るのです?」
私も同じことを思った。ノワールはニードに何も悪い事はしていない。
「俺は貴族だ…お前の母親を殺した…同じ貴族だ……」
「それは違うわ。ノワールはノワールよ」
ニードの親を殺した貴族は別人。ノワールは関係ない。
「そうですよ。ノワール様はノワール様です。
私は知っています。貴方は誰よりも優しい……貴族であっても騎士に志願し、命を張って我々を守って来た」
「だが!そのせいで……俺は最愛の友を…シオンを失った……俺は疫病神だ…」
彼のグッと握りしめた拳から血が滲む。
「ノワール…」
私はハンカチを取り出し、ノワールの手に巻く。
「部屋に戻ろう?ね?」
「……」




