過去にウジウジしてても仕方ない
(ぅ…ヤバ…なんで濡れてくるのよ…)
こんなイケメンの前で全裸で…それも背中にキスされて…私のはしたないそこはぬめりを帯びる。
人間のサガだから仕方ないけど…今はまずいよぉ。
パパの部屋にあったエッチな本をこっそり読んだ時にもおもらししたみたいに濡れて…男と女の愛し方は知ってる。
…何考えてるんだろ私。今、ノワールが私を抱いたとしてもそこにはなんの感情もないんじゃないかな?ただの性欲処理…それだけじゃん。馬鹿…みたい。
「泣くな…その、朝の事は謝る」
「……朝?」
「お前に剣を向けただろ…あれは悪かった。すまない…」
あぁ~…。
「全然気にしてないよ」
全然気にしてないというのは嘘だけど…タバコの跡をノワールに見られた事の方がショックが大きかった。
「そうか…」
「……」
振り返ると彼は暗い表情で下を見ていた。どちらかと言うと…涙こそ出てないが、ノワールのが泣いているように見える。
「あ、あのさ……傷、治してくれてありがと」
お風呂で考えていた事…私の醜い傷。胸元が大きく開いたドレスや背中が丸見えのドレス…とても綺麗だけど、傷がある私には着られないものだった。さっきまではそんなこと忘れてたのに…。
「いい。俺が好きでやったことだ」
意外と、優しいんだね。ちょっとキュンとした。
「そろそろ部屋に戻って服を着ろ。もうじきニードが飯を持ってくる」
「うん…分かった」
私は裸のまま彼のベッドを下りるとさっと浴室の中に入った。
「……」
鏡の前で背中や首筋、お腹を見るけどもう傷跡はない。
(生まれ変わって…みようかな。もう過去にウジウジしてても仕方ないよね…)




