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キエナイ傷跡
ドボボボ…
後ろから水の出る音がする。
「…蛇口、硬く締めすぎてるだけだ。姉さんの握力は半端ないからな」
「そ…そうなんだ…」
すっ…
「ひゃっ?!」
突然背中を触られ、ビクリとする。
「……これはどうした?」
「こ…これ?」
これって……
「この丸い火傷の跡はなんだ?」
「……」
丸い火傷の跡…それは……パパと別れた母親が酔って私に押し付けたタバコの跡。
「答えられないのか?」
首の後ろや肩、背中やお腹にいっぱい押し当てられた…。
次の日、酔いが覚めた母親は私に謝ったけど…病院には連れて行ってもらえなかった。だから自分で消毒した…。
「…って……」
「は?」
「出てってよ!」
思わず私は叫んでいた。
「…悪かった」
ノアが閉まる音がし、私は顔を膝に埋めたまま…泣いた。




