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私の住む場所
「クゥゥ…」
クジラのような小さな鳴き声を上げ、首を引っ込めるデネブ。デネブって確か白鳥座の一等星の名前だった気がする。夏の大三角形を作る星の一つ。
「貴女は精霊王の導きでこの惑星シーディアへ来たのでしょう?
我々は貴女を歓迎します。この浮遊大陸に住まわれるといいでしょう」
「は、はぁ…ありがとうございます」
住むと言っても…何処に住めばいいのだろう?…ノワールの部屋とかだったりして。
「カノンの部屋はノワールの部屋の隣でいいかしら?」
「そうだな。ジャンヌが昔使っていた部屋を使うといい」
昔使っていた?
「それはありがたいのですが…ジャンヌさんはいいんですか?」
思わず聞き返せばジャンヌは微笑んで頷く。
「大丈夫ですよ。私は自分の屋敷で暮らしていますので」
「屋敷?!」
屋敷って言うのだから屋敷…よね?ノワールの屋敷だってかなり大きなものだったから…シルヴァスター家って本当にお金持ちなのね…。
「貴族の娘は成人すると自分の屋敷を持ちます。そこに殿方を迎え、新しい家族を作るんですよ。
今は誰も殿方は住んでおりませんが」




