3/4
吸血鬼 暁:迷う
最後にこの街に来たのは、春。
約一年前までさかのぼる。早いな。
森を駆け抜け、国道に出た。しんしんと降る雪は、
粉砂糖のようで、街は砂糖をかぶってゆく。
マフラーをする者がちらちらと見え出した。
こんなに寒い中、登校してたのだろうか。
冬服に身を包んだ学生が、寒そうに足を出し、
「寒い寒い」と言わんばかりに、手をこすっている。
それを見ていたら、寒くなってきて、俺は少し手をこすった。
じんわりとあったかくなる。
こういうときは、ホワイトシチューが食べたいな。
久しぶりに、街に来たわけだから森でとれる食材でシチューを
作るのではなく、街で買った食材でシチューを作ろう。
アツアツの、シチュー。
「…スーパーはどっちだったっけな。」
交差点で立ち止まり周囲を見渡す。
たった一年しかたっていないのに、街の風景は
がらりと変わってしまった。
再開発都市として、さまざまな話し合いを重ね、
今の街ができた。
実に、スピード工事だ。
たった一年で変わってしまったのだから。
…ということは、スーパーもなくなっているかもしれない。
それは、困る。本当に困る…。
「…冒険するのも、悪くないな。」
そう言って、マフラーをきつく巻きなおし、
交差点の指さす方向に走り出した。




