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最弱スキル《使い捨て》で最強を目指す 〜死ぬたび強くなる俺の異世界リスタート〜  作者: 釣鐘銅鑼


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第9話 「初依頼に無愛想な監視付きなんだが?」

「ではこちら、仮登録証になります」


カウンターに置かれたのは、小さな指輪だった。小指サイズ。内側に刻印がある。


「へえ……カードじゃないんだ」


「魔導刻印式です。紛失しても再発行可能ですが——」


「悪用したら即バレるやつね」


「その通りです」


にっこり。


(便利だけど怖いなこれ)


指にはめると、わずかに温かい。内側には、確かに自分の名前が刻まれていた。


「ユウキ様の現在ランクは“F”です」


「一番下か」


「当然ですね」


即答だった。


「本来であれば講習と試験を経て昇格しますが……」


「外来者だからショートカットとか?」


「いいえ」


にこり。


「監視しやすいからです」


「正直だな!」


思わずツッコむと、受付嬢は楽しそうに笑った。


(この人、割と遠慮ないな……)


「では、早速ですが初依頼を受けていただきます」


「もう?」


「はい。あなたの場合、“放置する方が危険”そうですので」


「評価が辛い」


「血だらけで転がり込んできた方への妥当な判断です」


「ぐうの音も出ねえ」


差し出された紙に目を落とす。


【依頼:外縁部の小型魔物駆除】

▶ 対象:スモールラット数体

▶ 危険度:低

▶ 報酬:銅貨数枚


「……ネズミ?」


「はい。最も基本的な討伐依頼です」


「まあ、初心者っぽいな」


「そして——」


受付嬢の視線が横に流れる。


「今回はこちらの方が同行します」


「はい?」


振り向く。


「よろしく」


短く言ったのは、黒髪の少女だった。軽装、短剣、無駄のない立ち姿。


「監視役ってやつ?」


「半分正解」


壁にもたれたまま、淡々と返す。


「もう半分は?」


「回収役」


「何を?」


一拍。


「暴走した場合の、あんた」


「物騒すぎるだろ」


「冗談じゃないよ」


無表情で言い切られると、笑えない。


「彼女はCランク冒険者です」


「え、強くね?」


「もしもの時の最低限の保険です」


「俺の扱い、地味に重くない?」


「むしろ手厚いです」


にっこり。


(逃げ道ゼロだなこれ)


「名前は?」


「リズ」


「俺ユウキ」


「知ってる」


即答。


(だよな)


「じゃ、行くよ」


リズはさっさと歩き出した。


「え、もう?」


「日が落ちる前に終わらせる」


「了解……」


慌てて後を追う。



門を抜けてすぐの草地。街はもう背後だ。


「この辺りに出る」


「ほんとにネズミだけ?」


「基本はね」


「基本は?」


「たまに違うのも混ざる」


「嫌な言い方やめろ」


ため息を吐く。


(まあいい)


初依頼。実質チュートリアルだ。


(しかも——)


《焼却付与》残り2回。


余裕はある。


「来た」


草むらが揺れる。ガサッ、と音。


現れたのは——


「……でかくね?」


犬サイズのネズミ。赤い目、むき出しの牙。


「スモールラット」


「スモールとは」


「基準が違う」


「だろうな!」


突っ込んでる間に飛びかかってくる。


「っと!」


ギリギリで回避。


(速いな……でも)


いける。


ナイフを握る。


「《焼却付与》」


刃が赤く染まる。


「……ふーん」


リズの視線が刺さる。


(見られてるな。まあいい)


ラットが再び跳ぶ。


「遅い」


今度は合わせる。


踏み込み——斬る。


ザシュッ。


同時に炎が走る。


「ギィッ!?」


燃えながら暴れ、やがて沈黙。


「……あっさり」


「まあな」


軽くドヤる——が。


「もう一匹」


「え」


横から突進。


「うお!?」


転がって回避。


「油断してる」


「うるせえ!」


立て直す。


(二体か。ちゃんと確認しろ俺)


でも問題ない。


「来い」


構える。


ラットが跳ぶ。


その瞬間、踏み込む。


「終わりだ」


斬撃。


炎。


直撃。


ラットは燃えながら地面に叩きつけられ、そのまま動かなくなった。


静寂。


「……クリア?」


「クリア」


リズが頷く。


「初依頼にしては上出来」


「お、褒めた?」


「事実言っただけ」


「素直じゃねえな」


軽く笑う。


(でも——)


ちゃんと戦えてる。


死に戻りは無駄じゃなかった。


「帰るよ」


「あいよ」


歩き出す。


少しの沈黙。


風の音だけが通り過ぎる。


「でも」


リズが前を向いたまま言う。


「さっきの動き」


一拍。


「悪くなかった」


「……そりゃどうも」


ほんの少しだけ、口元が緩む。


(評価、ちょっと上がったか)


夕日が街の壁を赤く染めていた。


(ここが拠点になる)


そう思える。


けど——


(まだ、何かある)


ギルド。外来者。監視。


全部、まだ終わってない。


そして。


この街も——


ただの安全地帯じゃない。


《To be continued》

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