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シャロンの喫茶店  作者: Toru


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19/26

番外編 翔子のうたた寝

「お、終わった〜」


一学期の試験を終えて、翔子がテーブルの上に突っ伏しました。


ここは東京の路地裏にある喫茶店「樹」

試験を終え学校から帰ってきた翔子とリサが、バイト先である「樹」の店内で、ぐったりとしています。


「ご苦労さま、はいこれ」


シャロンが紅茶と焦がしバターのフィナンシェをテーブルに置きました。

挿絵(By みてみん)

「シャロンさん、ありがとう〜

美味し〜い…この焦がしバターの香り…シャロンさんのフィナンシェは最高だよ!」


翔子がフィナンシェを頬張る


「…シャロンさん…私にも…何か…甘い物を下さい…」


テーブルにはリサも同じ様に突っ伏してます。


「その様子だと、今回のテストは相当大変だったみたいね」


シャロンがリサにもフィナンシェを置きながら二人にそう言いました。


「日本史が壊滅的にダメ…あたし半分フランス人よ!分かんないわよ〜」

「あぁ…確かに、今回の試験は難しかったね〜」


リサがキッと翔子の方を向き


「翔子はいいじゃん!成績トップクラスだし!」

「何言ってんの、維持するのが…どんだけ大変か…知らない…でしょ……………」


「あれ?翔子?」

「寝ちゃったわね」

「ほんとだ、珍しい〜」

「お店が忙しくなるまでには時間があるから、暫く寝かせてあげましょ?」

挿絵(By みてみん)

そう言ってシャロンとリサは、翔子をそのまま寝かせてあげる事にしました。







「…さま」

「う〜ん…」

「…姫様!」

「え…誰?」

「翔子姫様!」

「は、はい!」


翔子姫と声を掛けられ、思わず飛び起きた。


「連日の合議でお疲れの所、申し訳ございませんが、城内に賊が入ったとの知らせがございましたので。」


障子戸の向こう側に控える家臣がそう告げる。


「分かりました、大広間に家臣達を集めなさい。」

「はっ!」


ふう…とひとつ息を吐き、着物の乱れを整える


「いけないわね、いつの間にかうたた寝をしてしまったわ…

父上、母上の留守を狙って隣国が仕掛けてくるなんて。」


翔子姫は自室を出て大広間に向かいました。

大広間では沢山の家臣達が集まり、ざわざわと不安そうにしています。

そこへ、翔子姫が現れました。


「おお姫巫女様だ」「翔子姫様だ」


姫巫女様が高座に座ると、皆一同に頭を下げる。

挿絵(By みてみん)

「皆、聞き及んでいるとは思いますが、隣国の間者が城内に忍び込んだとの知らせがありました。

皆、心して行動するように」

「先ずは各々持ち場に戻り、怪しい者がいないか調べるのじゃ」

「はっ!」


武蔵の国の小国、高城家では何事においても、最後は姫巫女である翔子姫を通して神様にお伺いを立て物事を決めなければならなかった。

そのため翔子姫は大事な合議の度に高座に座り神様からの御神託を皆に伝えていた。


本心では逃げ出したかった。


なぜなら、「本当は神様と交信なんてできないのに…」と姫巫女を演じていただけだからだ。

しかし、城主である父、高城玄信公が他国との和睦のため留守にしている間に、国の実権を老中である元山大膳に握られてしまった。

このままでは老中一派に国を乗っ取られ、民が圧政に苦しむのが目に見えていた。

仕方なく姫巫女を演じ続け、老中達の「民から強制的な税の取立て」や、「民の土地を取り上げる」等の横暴な法案を阻止してきたのだ。

しかし…

「でも、もう限界よ…」

と、翔子姫は疲れ切ってしまっていた。


「私は姫巫女である前にただの人なのに…でも、民や家臣の期待を裏切るなんて…」


合議を終え家臣達が忍者の捜索に行ってしまうと、翔子姫は自室に戻った。


「翔子姫様お疲れでしょう、これをどうぞ」

と、姫様の世話係である凛が甘酒を持ってきてくれた。


「ありがとう、凛さん」


翔子姫は、甘酒を飲んだ後、この先どうしたものかと、考え込んでいた。


「ふぁ…眠い、今日はやけに眠いわね…」

挿絵(By みてみん)

連日の合議の疲れから、翔子姫は再びうたた寝をしてしまった。


カタン…

天井の一角が外され、何者かが翔子姫の部屋へと降りてきた。

城に侵入した忍者だ。

忍者は翔子姫を誘拐してくるよう命じられていた。

忍者が翔子姫に近づく…

と、翔子姫が目を覚ましてしまった。


「!」

大声を出されるかと身構える忍者


しかし、翔子姫は

挿絵(By みてみん)

「もしかして、私をお城から連れ出してくれるの?」

と目をキラキラさせて忍者に聞いてきた。


忍者は『このまま話に乗っかれば、らくに誘拐ができそうだ』と思い、

「いいぜ、連れてってやる」と翔子姫に城から連れ出す事を約束した。


「では、ここを通りましょう!」

挿絵(By みてみん)

そう言うと、翔子姫は部屋の隠し扉を開いた。

それは城の外へと続く秘密の抜け穴に通じていた。


「外だあ!」

挿絵(By みてみん)

秘密の抜け穴は城の堀の先まで続いていた。


翔子姫の案内で城から無事脱出した二人は、城下町を目指した。


「…ここだ」

「へぇ~、ここがあなたのお家?」


城下町には忍者がいつもは庶民として隠れて暮らす拠点が幾つかあり、その内のひとつに連れて行った。


「あなたは、いつもその格好なの?」

「いや…」

挿絵(By みてみん)

忍者は翔子姫が逃げる様子もないので、「信用させておいた方が後々言う事を聞くだろう…」と頭巾を取り、顔を見せて話すことにした。

そして隣国に向かう手筈が整うまで、ここで待つことにしたのだ。


一方、翔子姫がさらわれたとお城の中は大騒ぎになっていた。

老中の元山大膳は慌てふためく家臣たちを一喝する。

挿絵(By みてみん)

「落ち着け!隣国に悟られてはならぬ!」


家臣たちは各々持ち場に戻っていった。


誰もいなくなった大広間に、大膳は凛を呼び寄せる。

実は凛は大膳の娘で、翔子姫を監視するためお付きにしていたのだ。


凜は翔子姫と背格好がよく似ていて、大膳は凜を翔子姫の影武者に仕立てたのだった。


「翔子姫はこの通り無事だ!」

挿絵(By みてみん)

と家臣達の前で翔子姫の衣装を着せた凜を自分の隣に立たせた。


「これでこの国は儂の思い通りじゃ」

計画とは違っていたが、国を乗っ取るという目的を果たし大膳は満足そうだった。


翔子姫を誘拐させたのは大膳だった。


自分の法案をことごとく潰され、大膳にとって、翔子姫は唯一の弱点だったからだ。


忍者を雇い、隣国からの仕事と偽り翔子姫を誘拐させ、隣国に向かったところを二人まとめて消してしまうつもりだった。


ところが翔子姫が大膳も知らない秘密の抜け穴を使ったため、大膳は二人の行方を見失ってしまったのだ。


「まあよい、いずれ隣国に向かうため関所を通るはず、その時に始末すればよいのだから、はっはっは」

挿絵(By みてみん)

大膳は老中一派と酒を酌み交わしながら笑ってそう言った。



翔子姫を誘拐して数日が経った…

「…おかしい」

城下町の長屋で吉兵衛がイライラしながら、次の指示がくるのを待っていた。


吉兵衛はいつもはここで普通の庶民として暮らしており、忍者は裏の仕事としてやっていた。


そんな吉兵衛の所に隣国から来たという使者がやってきて、「翔子姫をさらってきたら百両出そう」と言われ、手付け金十両を置いていった。


「女ひとり拐かすだけで百両か…」

もちろん吉兵衛は引き受けた。

隠していた道具を引っ張り出し、お城に潜入したと言うわけだ。


だが、いくら待っても、隣国の使者が現れない。

理由はもちろん大膳には代わりの翔子姫(娘の凛)ができたので、金を払う必要がなくなったからだ。


痺れを切らせた吉兵衛は、姫を連れて関所まで様子を見に行きました。

挿絵(By みてみん)

しかし、そこには大膳の手下が詰めていて、仕方なく吉兵衛は隠れ家のひとつに戻った。


翔子姫は小判と関所の大膳の手下を見だけで、この誘拐計画が大膳が仕組んだものだと気が付いた。


「なんでそんな事が分かる」

「…その小判、隣国の使者から貰ったものでしょう?」

「そうだが」

「それは、この国で発行された小判ですよ」

「!」

「その偽造防止の模様は私が入れる様に指示したものです。」

「…彼奴はこの国の者だったと言うことか」

「お城の金庫番は老中の元山大膳です。しかも、関所に詰めていたのは大膳の手下でした。」

「老中かよ!」

「このまま関所に向えば間違いなく捕まります。そして…」

「容赦なくってか?」

「どうします?諦めますか?」

「百両をか?冗談じゃねぇ!」


翔子姫は吉兵衛にある提案をしてきた。


「では…あなたを私が雇うというのはいかがでしょう?」

「何だって!?」

「私を守ってお城まで行き、元山大膳を打ち倒す。私が城主になれば、好きなだけ小判をあげますよ。」

「なるほどな、老中が黒幕か…面白いじゃねえか、その話、乗ってやるよ!」

「契約成立ですね。」

「だがいいのか?せっかく逃げ出したのに」

「そうですね…でもこのままでは大膳が城主になってしまう…そうなれば、私が潰した『税の引き上げ』や『民の土地を取り上げる法案』が通ってしまう。」

「おいおい、冗談じゃねぇぞ」

「私一人が逃げ出すのは間違いでした…」


そう言うと翔子姫はキッと前を向いて、吉兵衛に命令した

挿絵(By みてみん)

「では吉兵衛、先ずは準備です。一緒に戦える仲間と私が使えるような武器を集めなさい。」

「姫さん、あんた人使い荒そうだな」


そう言うと吉兵衛は、翔子姫のために武器を準備し始めました。



「まだ見つからんだと!」

「はい、関所に詰めている者たちの話では、その様な者は通ってないと…」


老中の元山大膳は苛ついていた。

すぐに関所で捕まえられると思っていた翔子姫が今だに見つからないのだ。


「おかしい…なぜ隣国に向かわないのだ。あの忍者なら、残りの九十両を取りに必ず動くはずだ」


大膳は関所だけでなく、隣国に抜けられそうな山道や漁港などにも家臣達を派遣した。


「御父上様」

「凛か、どうした?」

「…もうこんな事止めませんか?」

「お前は何を言ってる?この国は我らのものになったのだぞ、余計な心配はするな。」

挿絵(By みてみん)

全く聞く耳を持たない父に、諦めたように部屋へと戻る凛


「姫様が何の考えもなしに城外へ出たとは思えない…あの方は先を見据えて動くお方だ。」


凛は父のこの計画が上手くゆくとは思えなかった。


ドドンッ!

突然、城の何処かで爆発が起こり、大膳達は騒然とする。

秘密の通路を通って翔子姫達が戻って来たのだ。

ドドン、ドドンとあちらこちらで爆発音がする。

爆発は注意を引きつけるための陽動で、城に戻る道すがら、あちこちにばら撒いたものだ。


「音と光は派手だけど、殺傷能力は無いのよね

?」

「ふふん、火薬のことならこの「華火のリサ」にまかせな!」


このくのいちは、吉兵衛が集めた忍者の一人だ


「家臣はなるだけ傷付けたくない、狙うは大膳ただ一人!」

「親方の頼みだから仕方ないけど、成功報酬は高くつくわよ?」


このくのいちも吉兵衛の手下の一人「妖術使いのシャロン」というらしい。


「…」


後の一人は無口な名無しの忍者で手裏剣の名手だった。


「皆俺の部下だった信用できる連中だ」


翔子姫に向って吉兵衛はそう言った。


「親方!見えたよ!」


先頭を走るリサが指さす先に、隠し扉が見えた。


バチバチッドンッ!

隠し扉が開き、突然閃光と爆発音が部屋の中で炸裂する


「うわぁッ」「何だっ「目が!」

「あたしのお手製のバクダンだよ♪有り難く喰らいな!」

挿絵(By みてみん)

油断していた大膳の手下達は「華火のリサ」手製の閃光弾で、目を開けられなくなった。


「ほらよ!」


そこを吉兵衛が刀背打ちで倒してゆく。


「さあ…良い子は早く眠りなさぁい♪」

挿絵(By みてみん)

「妖術使いのシャロン」が得意の術で周りの敵を眠らせてゆく。


「う、うわぁッ」「………!」シュシュッ!

挿絵(By みてみん)

名無しの忍者が投げた手裏剣が、逃げ出した敵を追っていく。


「後はあなただけよ、元山大膳!」


翔子姫が大膳を指さす!


「うぬぅっ!」


各地に家臣を派遣して、手薄になっていた城に残っている兵はもういなかった。

大膳は完全に裏をかかれたのだ。


「まさか、城内へ直接乗り込んでくるとはな…」


刀を抜き、戦う姿勢を見せる大膳


「老中、悪足掻きは止めときな」

挿絵(By みてみん)

翔子姫を守るように前に出る吉兵衛

ジリジリと間合いを詰める二人…

と、突然2人の間に凛が割って入った!


「お止め下さい!」

「なにっ!」


翔子姫の衣装を着た凛に一瞬怯む吉兵衛

「隙あり!」と大膳は凛を突き飛ばし、吉兵衛にぶつける。


「凛さん!」

「動くなっ!」

挿絵(By みてみん)

吉兵衛と凛が倒れた隙に、大膳が翔子姫に刀を突きつけた


「なんて酷い…」

「この娘はあんたの子なんだろ!」


リサとシャロンが大膳を睨みつける


「ふん!妾に産ませた子など我が娘ではないわ」

「御父上様!」

「やかましい!馴れ馴れしく父などと呼ぶで無いわ!」

「…やはりあなたは許せませんね」


翔子姫は袂に隠していた細い棒のような物をそっと取り出し、隙を突いて懐に飛び込み、その先端を大膳の首に刺した!


「ぬがあぁあぁあ!!!」

挿絵(By みてみん)

途端にビリビリと身体が痺れ、大膳は泡を吹いて倒れてしまった。


「御父上…」

「大丈夫、大膳は死んではいませんよ、凛さん」

「南蛮渡来の痺れ薬『サタン・ガー』か…おっかねえや」


吉兵衛は姫が使える武器として、痺れ薬を塗った小さな仕込み槍を持たせていたのだった。


「まあ、二、三日もすれば動けるようになるだろう」


大膳を縛り上げた吉兵衛がそう言うと、安心した凛は、翔子姫に土下座をして謝罪した。


「姫様…申し訳ございません」

「顔を上げて下さい、凛さん」

「ですが、私は甘酒に眠り薬を混ぜて、姫様に飲ませてしまった…」

「あぁ、あれなら私、飲みませんでしたよ?」

「えぇっ?」

「薬の匂いを感じましたから」

「おいおい姫さんよ、ありゃ寝たふりだったのか?」


呆れたように吉兵衛が言った


「忍者が潜入したと言う情報と、薬の匂いがする飲み物…これはもう、私の所に忍者が現れるのは間違い無いと思いましたから」

「はぁ…参ったね、最初からこうなる事を見据えていたのか…さすが軍師と呼ばれるだけの事はある。」


翔子姫は凛に向ってこう言った


「凛さん、あなたわざと薬の匂いがするように縁に塗っておいたのでしょう?」

「はい…父には逆らえませんでした、でも姫様に何かあったらと思うと…」

「ありがとう凛さん、あなたさえ良かったら、今まで通り私のお世話をお願いできないかしら?」

「姫様!」

挿絵(By みてみん)

こうして凛は姫のお世話を続ける事になりました。


そして大団円

本物の姫巫女様が戻ったと、家臣総出で大喜び。

挿絵(By みてみん)


「父上、母上!」


城主も無事戻り民も家臣も歌え踊れとお祭り騒ぎ

隣国との和睦を邪魔していたのも大膳だったが、大膳が失脚し城主の高城玄信公が和睦を成功させたのだった。


「吉兵衛さん!」

「おう!姫さん、良かったな父上、母上が戻って来て。」

「はいこれっ」


と千両箱を吉兵衛達に持ってきた。

挿絵(By みてみん)

「約束の報酬よ!」

「お〜こりゃすげぇ!」

「新しい火薬の研究ができそうだ!」

「私は何処かでお店でも開こうかな」

「………」

「本当にありがとう御座いました。」

「なぁに、俺達は金さえ貰えば…」

「親方、嘘ばっかり(笑)」

「あら?それはなに?」

「あぁこれは、南蛮渡来の菓子だってよ、痺れ薬を買った時に外国の商人から貰ったんだ」

「へ〜、貰ってもいいですか?」

「おう、俺は酒の方がいいからな」

挿絵(By みてみん)

翔子姫がその菓子を一口食べると…


「美味し〜い…この焦がしバターの香り…シャロンさんのフィナンシェは最高だよ!」

それは、喫茶店に漂う、いつもの香り…





「あれ?皆どうしたの?」

あれだけ大騒ぎしていた民や家臣達がピタッと止まってしまった。


「あ〜あ」

「思い出しちゃったよ」

「もうちょっとで、こっちの住人になれたのに…」


「え?何を言ってるの?」


「…姫さん」

吉兵衛が翔子の両肩に手を置いた。

「残念だ…残念だよ、こっちで楽しく暮らしていけると思ったのに…」

吉兵衛が軽く翔子の両肩を突き放す…

スーッと後に引かれる感じがする

挿絵(By みてみん)


あれ?

なんで

皆がどんどん遠くなってゆく


じゃあねぇ〜

また会いましょう〜

………


リサ、シャロンさん、忍者さん…


達者でな…


吉兵衛さん…


なんで

みんな

手を振ってるの?














「…わあっ!びっくりしたあ!」

挿絵(By みてみん)

ガバっと突然翔子が起きたので、びっくりしているリサ


「え!?あれ…」


翔子の目の前には、食べかけの焦がしバターのフィナンシェ…


「?どしたの翔子?」

「…夢?…夢だよね、ハハッ…翔子姫だって、ハハハ…」

「だ、大丈夫?翔子?」


突然目覚めたと思ったら、クスクスと笑い出す翔子に声を掛けるリサ


「あら起きたの?翔子ちゃん」

「それが、翔子なんか変なの」


クスクスと笑いが止まらない様子の翔子にリサが心配そうにそう言った。


「ごめんごめん、さっき夢を見てさ…リサもシャロンさんも忍者になって出てきて…あー可笑しい」

「えー、何それ、どんな夢よ?」

「それがね…」


翔子はさっき見た自分が姫になった夢の話をリサにした。


「お〜、和風ファンタジーの世界だね」

「いや、まるっきり時代劇よ」

「そうね、むかしTVでやっていたわね。」

「シャロンさんリアタイで見てたの?」

「まさか〜再放送だと思うわ『影の軍団』とかなんとか…」

「シャロンさんは忍者と言うより…和風な魔法使い?みたいだった!」

「あたしは?どんなだった!」

「リサはね…ん〜陽気な爆弾娘?」

「何なのよそれ!?」

「忍者の親方?がね吉兵衛さんって言って、見た目がまるで…ほら、忍者映画の有名な俳優さんで…」

「千葉真一さん?」とシャロンが言うと

「そうそう!」と翔子が相槌を打つ

「確かに〜、あのビジュアルはそうだね(笑)」

リサがそう言って笑った。



カラン…

カウベルを鳴らしてお客様が入ってきました。

「あ、いらっしゃいませ〜」

「さあ、忙しくなる時間だから、ホールは二人に任せたわよ?」

「は~い」


挿絵(By みてみん)

翔子はテーブルを拭きつつ

「リサもシャロンさんも、よく千葉真一さんなんて知ってるなあ、もしかして二人共、忍者映画とか好きなのかも…」

と、クスクスと笑いながら、来店して下さるお客様のために、テーブルの準備をする翔子なのでした。



翔子のちょっと不思議な夢のお話しでした。

番外編 翔子のうたた寝 完







「…でも、いつかまた会える気がするんだよね」

挿絵(By みてみん)

あとがき のようなもの…


シャロンの喫茶店シリーズの追加エピソードをお届けしました。

まあ昔から使われている「夢オチ」でございます。

和風ファンタジーにしようとしたんですが、時代劇になっちゃいました。

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