第五十六話 神話の真実
夜も更けてきて焚き火の火をボーッと見つめる。エステル様もライネル様も眠っている。起きてるのは私とジョンとチャミ。赤竜がまだ戻って来ないし、橙竜もさっきから丸まって眠っている。大きな山みたいになって。
パチパチと火が弾ける音がする。空を見上げると満天の星空。手を伸ばしたら掴めそうなほど大きく感じる。
私は体育座りをして毛布を肩からかけて丸まっている。目をつぶるともう二度と目覚めることができなくなりそうで怖くて眠れない。
私ができること…やりたいこと…やっと見つけたのに。結局私は黒竜に呑まれなければならないらしい。それに赤竜も橙竜もなんであんなに黒竜を嫌っているんだろう。それを知ってるから黒竜も彼らの前に出てこないのかな。
私は私の中の黒竜に聞いてみる。
『黒竜…なんでみんなあなたを嫌ってるの?教えてよ。』
スキルを自分に使ってみたが答えは返ってこない。
すると別の誰かが答えた。橙竜だ。
『黒竜は最もしてはいけないことをしたのだ。』
え?してはいけないこと?
私は大きな山のように丸まってる橙竜を見つめた。
『何をしたんですか?』
すると少し間があってから答えてくれた。
『君たち人間の知ってる神話は歪められたものだ。真実は違う。人間同士で争い始め、それを止めようとエルフとドワーフが巻き込まれた時、魔物と共に黒竜と白竜が生まれたのだ。魔物はこの世界の人間の亡骸から。白竜はエルフとドワーフの亡骸から。黒竜は人間が力を求めて召喚した異世界人の亡骸から。』
確か私が知る神話は少し違う。
魔物が生まれて、それを食べた人間が転化して瘴気になってそれが集まって黒竜が生まれた。そして黒竜が自分を殺してくれって創造神に頼んで生まれたのが他の6匹の竜だ。白竜もその時に生まれている。
『じゃあ黒竜と白竜は先に生まれていた…。その後あなたや他の竜が生まれたんですか?』
橙竜は答えなかった。
私はさっきの質問をもう一度してみた。
『黒竜はあなた達に嫌われるようなことをしたと言ってましたよね?何をしたんですか?』
すると橙竜はほんの少し身じろぎして答えた。
『自分だけが浄化できない役たたずだと知って創造神を殺したのだ。』
私は息を詰まらせた。まさかそんな事があったとは想像もつかなかった。創造神を…黒竜が…。
『黒竜が創造神を殺したことを我らは許さず責めた。それを止めたのが白竜だ。黒竜には黒竜の役目があると。そして黒竜の身を隠させた。我らも居場所は知らなかった。白竜自信も知らなかった。そして白竜は浄化を続けていたが、ある時ぱったりと辞めてしまった。そして人間になった。』
だから黒竜は白竜を命の恩人のように思ってるんだ。自分の罪を唯一責めず、守ってくれたから。
『橙竜は…もし私が消えて黒竜になったら黒竜をどうするんですか?殺します?』
『いいや。もうそんな昔のことどうでもいい。黒竜には役目を無理やりにでもやらせる。破壊と消滅の力でこの世界を浄化するんだ。それが我ら竜の最後の望み…創造神がいない今だからこそやれることだ。』
この世界の浄化…。白竜は浄化をするためには黒竜の力が必要だとグレンさんと契約する時に言ってた。白竜は黒竜がそれに気づいて姿を現すのを待ってた。他の竜達もそうだとしたら…。
私はそこまで考えてふと気づいた。
まさか…浄化って…。
『浄化って…この世界を破滅させるってことですか?誰もいない…何もない世界を作り出すんですか?』
『そうだ。白竜が言い出したことだ。』
白竜が?人間になりたいってくらいこの世界を愛していたのに…なんで?白竜はなんでそんな事を考え出したの?
『そ、それって白竜が人間になってからですか?それとも白竜だった時?』
私の焦りが橙竜にも伝わったのか、橙竜は不思議そうにしている。
『何をそんなに慌てておる?白竜が人間になる前だ。浄化を辞めた時にそう言い出した。』
一体どういうこと?白竜は初めから黒竜の力でこの世界を真っさらにするつもりだった。なのにグレンさんと契約してわざわざ人間になった。そんなことしたら白竜自信も無事ではすまないはずだ。もしかして…白竜は消えたかった?その為に黒竜を利用しようとしてる?
私は頭が混乱してきた。
黒竜がなぜ白竜に固執するのかは分かった。でもその代わり白竜の考えが分からなくなった。一体白竜は何をしようとしているのか。創造と再生の力がなければ真っさらな世界にしても何も生み出せない。
「海さん。」
ジョンに呼ばれてハッとした。
「どうしたの?眠れない?見張りは僕らでやるから大丈夫だよ。」
ジョンが少し離れたところで赤竜が飛んでいった方向を腕を組みながら眺めているチャミを指さしながら言った。
「あ、うん。なんか…眠れなくて…。」
すると隣にジョンが座った。でも何も言わない。私とジョンの間には沈黙。耐えきれず口火を切ったのは私だ。
「ジョン…ありがとう。こんな所まで着いてきてくれて。初めてこの世界に来た時からずっと色々助けてくれて。ジョンとチャミがいたからここまでやってこれたよ…。」
ジョンは空を眺めながら口を開いた。
「この山登ってる時にさ…なんか海さんに違和感を感じたんだ。嘘ついてるわけでも…隠し事してるわけでもなさそうだった。でも何か違和感があった。」
「違和感…?それって私が魔族になっちゃったから?」
ジョンは首を横に振った。
「海さん…自分で言ったこと覚えてる?赤竜と橙竜はここで何やってるのか…って聞いてきた時のこと。」
私は記憶を遡ってその時のことを思い出した。
「うん。覚えてるよ。火山噴火したら広い範囲に影響出るってジョンが教えてくれたよね。」
ジョンは私を見つめながら言った。
「その後言ったことも?」
私はその後の事を思い出そうとした。だがなぜかそこだけ雑音が入ったみたいに思い出せない。答えられずにいるとジョンが言った。
「まっさらにするならここがちょうどいいってことか…。って言ったんだよ。」
私は心臓がドクリと鳴り、息を呑んだ。
「海さん…あの時の言葉…もしかして海さんじゃなくて黒竜の言葉だったんじゃない?」
ジョンの言葉に私は体が震えだして、自分を抱え込むようにうずくまった。ジョンはそんな私を見て話を続けた。
「いつからか…海さんが遠くに感じるようになったんだ。火山を登っていくにつれて海さんなのに海さんじゃないみたいな。魔族になったのも関係あるのかもしれない。でも僕は……黒竜と話してるみたいだった。」
私は自分の事が分からなくなった。目の前に自分の手や足が見えるのに、意識だけがすっぽ抜けてるみたいにふわふわとしている。自分の意思で体は動くのに頭の中に浮かぶのは誰のか分からない考え。
あぁ…これが呑み込まれるってことか…。
すると後ろから声が聞こえた。
「なぁ…赤竜ぜんっぜん帰って来ねぇぞ?あいつ逃げたんじゃないのか?」
チャミが膨れっ面で立っていた。
「そんな子どもみたいな事しないでしょ。チャミじゃないんだから。」
「俺はそんなことしねぇよ!な!海ちゃん!」
急に話を振られてびっくりしたが2人が見つめてくるから笑ってしまった。
「チャミは子どもみたいだけど逃げはしないね!」
するとジョンは、くくくっと笑った。チャミは自分が褒められたのかけなされたのかわからず首を傾げている。
「ん?それどっち?俺は…逃げないけど…子ども?ん?」
そんなチャミに私とジョンは笑ってしまった。
夜明けが近づいてきた。俺は寝ずに赤竜を待ったがアイツは全然帰ってこない。
一体何やってんだよ。呪い解くのってそんなに難しいんか?自分たちの喧嘩のせいだってのに。
ため息をついて後ろを見るとエステルのおばちゃんとライネルの坊ちゃんが何か楽しそうに話している。海ちゃんとジョンはあれから2人と交代して寝たらしい。でも息づかいから海ちゃんは寝てなさそうだ。
海ちゃんはもう人間じゃない。黒竜であり魔族だ。そしてもう二度とあの姿には戻れない。しかもあのまま黒竜の力を使ったら海ちゃんも黒竜も消えちまう。唯一の方法は海ちゃんが黒竜に呑まれること。
「結局海ちゃんは消えちまうってことじゃねぇか…くそ!」
俺は小さく悪態をついた。
何とかしてやりたい。海ちゃんを救いたい。俺は海ちゃんに初めて声をかけた時のことを思い出した。それから大陸に渡る時のあの高揚感。そしてフェルス王国で人間という生き物を知り、信頼できる仲間を得たこと。
「俺が代わってやりてぇよ…。」
俺は満足してる。今の自分の状況に。だから海ちゃんと代わって消えちまっても構わないとさえ思った。
すると日の出の光と共に何かがこっちに飛んできてるのを見つけた。目を凝らしていると…。
「おい!赤竜戻ってきたぞ!」
俺は後ろのみんなにでかい声でそう叫んだ。
おばちゃんと坊ちゃんは慌ててこっちまで来た。俺の声で起きたジョンと海ちゃんも後から走ってきた。
陰がどんどん大きくなって赤竜だと分かる距離まで来ると、後ろでジッとしていた橙竜がむくりと顔を上げた。山みてぇにでかいから顔を上げるだけでも音と地響きがする。
赤竜が橙竜の隣にドシーンって降り立つと海ちゃんが一歩前に出て声をかけた。
「呪いは…どうなりました?」
俺らには聞こえないから黙って海ちゃんの通訳を待つしかない。
海ちゃんはホッとした顔をして振り向くと、俺らに向かって言った。
「呪いは解けたって。人間達が騒いで大変だったから私たちの誰かを連れてけば良かったって言ってる。もう散々だってさ!」
俺は想像できて笑っちまった。
「あはははは!確かに赤竜飛んできたらビビるよな!」
「そこまで考えが及ばなかった…。申し訳ございません赤竜様。」
ライネルの坊ちゃんが頭を下げている。
「ライネルそんな謝ることないわよ!原因はこいつらなんだから!おかげでこっちは迷惑しかかけられてないのよ?」
エステルのおばちゃんの言う通りだ。
「しかし母上!」
「ライネルさん。呪い解けて良かったですね。」
慌ててる坊ちゃんにジョンが話しかけると、坊ちゃんは嬉しそうに頷いていた。
俺はそんなみんなとは違って真面目な顔して竜2匹と向かい合ってる海ちゃんを見つめた。多分なにか話してるんだろう…。
俺は海ちゃんの側に向かった。
『赤竜お疲れ様。人間に攻撃されたの?』
『いいや。あの辺りを支配している人間の小僧が出てきてな。攻撃しようとしてる奴らを必死に止めておった。あのハーフエルフと同じ匂いがした。』
私はそれがきっとジェド様だと分かった。
『多分それはこのハーフエルフ達の家族です。竜への敬意を持っている方です。』
2匹は納得したのか、なるほど、と言ってる。
すると隣にチャミが来た。
「海ちゃん。竜なんだって?また嫌なこと言ってる?」
チャミは2匹を睨みつけながら聞いてきた。
「そんなこと言ってないよ。人間と争わずに戻ってこれたってさ。」
そう言うとチャミは、ふーん、と言って竜を見ている。そして赤竜の名前を呼んでとんでもないことを言い出した。
「おい!赤竜!お前海ちゃん虐めんな!海ちゃんは絶対お前らの思う通りにはさせねぇ!黒竜だかなんだか知らねぇが海ちゃんは海ちゃんなんだ!いっつも悩んでいっつも誰かのこと考えてる。そんな優しい海ちゃんを悲しませるなら俺が黒竜になってやる!」
私は驚きのあまりチャミを見つめたまま声を出せなかった。私だけじゃない。この場にいる全員が同じだ。
『はははは!赤竜また虐めてるって言われてる!いつもみんなに言われてるよね!あはははは!』
『橙竜!うるさいぞ!我はそんな虐めてるわけではない!言うべきことを言ってるだけだ!』
『それが虐めてるってことなんだよ!』
『なっ!貴様…くっ…。』
私は竜2匹の会話を聞いて通訳しようか悩んでしまった。でも2匹が話しているのはこの地響きと唸り声でみんなには気づかれてしまっている。
「海ちゃん!通訳!」
真剣な顔のチャミに言われて思わず、はい!っと言って通訳してしまった。
するとジョンがボソッと言った。
「赤竜って…なんか…損な性格だな。」
続けてエステル様も
「言いたいこと言っちゃうタイプなのね〜」
と子どもを見るような優しい目で赤竜を見ている。
それが聞こえていたのか赤竜がまた怒り出した。
『なんだと?!貴様らごときが我に向かってその様な口を聞いてよいと思っているのか!ここで全員塵にしてやってもよいのだぞ!』
口から火を吹き出しそうな勢いだ。それを橙竜が赤竜の頭をベシンと叩いて止めた。
『ちょっと!こんな所で暴れないで。噴火するじゃん!ここお気に入りの場所なんだから!』
声だけを聞いていれば可愛いじゃれ合いなのだろうが、なんせこの大きさだ。大怪獣バトルの映画を目の前で繰り広げているように見える。少し動くだけでも石は飛ぶし地響きはするし、こっちは死にものぐるいで避けなければならない。
「おい!暴れんな!自分のデカさを考えろよ!」
チャミが私を抱えて逃げながら叫んだ。
ようやく2匹が落ち着いて私達も息切れしながら落ち着けた。
『さてと。呪いも解いたんだしもう帰ってよ。赤竜もしばらく起こさないでね。叩き起されるのは嫌いなんだ。』
『全く貴様はいつも寝ておるな。』
私はみんなに通訳した。
「呪いは解けたからさっさと帰れって言ってます。」
するとジョンは小声で聞いてきた。
「海さんに出した条件はどうなったの?黒竜になれってやつ…。」
私も小声で答えた。
「分からない。何も言ってないんだよ。このまま帰っちゃってもいいかな?」
「そうよ!それがいいわ!忘れてるのよボケてて!」
「母上…そんなお年寄り扱いするのは…」
「坊ちゃんは黙ってろって!今がチャンスなんだろ?ほら、行こうぜ!」
私達は小声で相談すると、2匹に一言声をかけて帰ることにした。
「じゃ、じゃあ。私達はもう去りますね!ありがとうございました〜…。」
みんなで微妙な笑顔を貼りつけながら後ずさりするように帰ろうとすると、
『待て』
という赤竜の声が聞こえた。
私は、やっぱり…という顔をしてゆっくり振り向いた。みんなは気づいてないのかゆっくり歩みを進めている。
『なん…ですか?』
恐る恐る聞くと赤竜は静かに言った。
『黒竜と話がしたい。』
「えっ?」
ついスキルではなく声に出してしまい、みんなが足を止めた。
「こ、黒竜と話すって…どうやるのか分からないんですけど…。」
『黒竜は出てこようとしてる。だがお前のその妙な魔法のせいで出てこれないのだろう。』
「妙な魔法…?」
『その人間の姿になってる魔法だ。グレンとかいうあの人間の仕業だろう?あやつの魔法は複雑で我々も分からん。人間の知恵というもののせいなのだろうがな。』
グレンさんは大魔術師と呼ばれる程の人だ。竜にも分からないような魔法を編み出したってこと?
「ど、どうしたらいいんですか?やっぱり……私が消えるしか…。」
『いや。一時的ならば寝ればいいと思うよ。眠ってる間は黒竜出てきやすくなるみたいだから。』
私はポカンとしてしまった。
え?寝るだけでいいの?
「なんだ!どうした!また赤竜がなんか言ってきたのか?」
チャミが私の前に立って聞いてきた。
「あ、いや…えっと…。私が寝てる間に黒竜と話したい…らしい。」
そう言うと、4人とも私と同じようにポカンとしている。そりゃそうだ。黒竜と話したいから寝ろ…だなんて…。
『早くせよ。』
赤竜に急かされて私たちは素直に荷物を下ろした。
毛布にくるまっている私。側で鼻歌歌いながらご飯作ってるエステル様。ジョンと話してるライネル様。私の側に座って竜を睨みつけてるチャミ。
不思議な光景だ。私が寝るための陣営なのだが……寝れない。寝るのが怖くて昨夜は一睡もしなかった。だから体は眠りを求めてるはず。なのに目がギンギンだ。突然寝ろと言われて寝れるものだろうか。
私は何度目かの寝返りを打った。
「海。あんた寝れないでしょ。」
エステル様に言われてムクリと起き上がった。
「全然寝れないです…。」
素直に言うとみんな笑った。
「突然寝ろと言われて寝れる者などいないだろう。兄上は…寝れそうですが…。」
「ジェドならすぐ寝そうね!」
「寝る時ってどうしたらいいんだっけ?子守唄?」
「ジョン…お前音痴なんだから歌うなよ?」
「ジョン音痴なんだ…。」
意外な一面を知って思わず言ってしまった。
「なっ?!ち、違うよ!音痴じゃない!」
「いやいやあれは音痴だよ。村長なんてニコニコしながら『音痴じゃの〜』とか言ってたし!」
みんなの会話を聞きながら笑っていると、エステル様が器に盛ったスープを渡してくれた。
「これ飲みなさい。腹が満たされれば眠れるわ。それに取っておきの魔法もかけてあるから一発よ!」
私はスープを受け取った。
あったかくていい匂い。スプーンですくって一口飲むと口の中に広がって体がポカポカしてきた。
「…美味しい…。」
エステル様は優しく微笑んだ。
いい匂いにつられて私たちも母上のスープを飲んだ。私はいつもの味にホッとした。ジョンもチャミも美味しそうに口にしている。
海さんはあの後すぐに眠りについた。スープのおかげなのか母上の子守唄のおかげなのか…。やはり母上はすごいお方だと改めて思った。
「そういやおばちゃん。取っておきの魔法って?」
チャミが先程の母上の言葉を思い出したのか聞いている。母上はニコニコとしている。かくいう私も頬が緩んだ。その魔法を知っているから。
「愛情よ。昔っから料理に使う魔法はただ1つ。愛情。それだけよ。」
ジョンもチャミも目を丸くして驚いている。
昔レイチェルが同じことを母上に聞いていた。父上もいて、家族全員で食卓を囲んでいた時だ。あの時も母上は同じことを言った。
兄上はそれを聞いてから、料理をする時は『愛情…愛情…』と呟きながら作っている。と言っても兄上はその手のことが苦手で、なんとも言えない味の料理を食べさせられた思い出がある。
私は昔のことを思い出しながら母上のスープを口に運んだ。
意識が浮上してきてようやくあの檻のような暗闇から出て来れた。
『黒竜…久しいな。』
この声は…赤竜?
『やっとだよ。君いつまでそうやって隠れてるの?みんな君を待ってるんだ。』
今度は橙竜だ。
『黒竜…貴様が犯した罪は許されない。創造神を消滅させたこと…。だがおかげで我らは自由を手に入れた。だからこのことは水に流そう。』
『そういうわけで君に聞きたいことがある。』
我は身構えた。何を聞かれるか分かっているから。
『君に創造神を消せって言ったのは白竜だね?』
『白竜はこの世界を愛していた。それと同時に憎んでいた。そして葛藤の末出した結論はこの世界を真っさらにする事。それをするにあたって邪魔なのは創造神だ。だから貴様は創造神を消した。その消滅の力で。』
我は口を噤んだ。
『我らは君を責めた。実際手を下したのは君だからね。でもその後、白竜が人間になったって知って我らは気づいた。これは全て白竜が始めたことなんだと。』
『我らは貴様と白竜より後に生まれた。だから貴様らと創造神の事はよく知らない。教えてくれ。何があったのか。』
我は…あの時のことを思い出した。憎くて仕方ないのに愛おしい…あの苦しみを…。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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