1.4主人公が魔物だって?ヒロインもだよ!
この前うちに連れて来た迷子のスライム娘のことだが。
家で保護という名目で暮らすことになった。
やはりというか、何というか。ここまで想像どおりに事が運ぶと運を使い果たした気がして怖いというか。
ほとんど展開まで予想通りだった。
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スライム娘を見つけて家に連れてきたときのこと。
適当に古着屋で僕とジル用にという建前で、スライム娘の服を買った。
帰る途中の山道で、お母さんを驚かせないようにと、スライム娘にはアンナの姿になってもらってから、服を着せて家に帰った。
お母さんのオリーブにこの子が魔物だということを話したあと、その後スライム娘に僕がしたような質問をもう一回一通り答えてもらった。
するとお母さんも僕と同じ「安全で人間の言葉が通じる魔物」という結論に至ったのか
「なら、この家に住みなさい。
いく場所が無いんでしょ?
ここなら私たち以外にはほとんど人間は来ないし、何があっても絶対にここにいる全員が味方になるから。ね?」
母さんの言葉は僕たちと同じくらいの子供に対するそれで、魔物だと一括にしないで、目の前の少女に優しくなれる。
改めていいお母さんに巡り会えたなぁと誇りに思う。
それを聞いてスライム娘は、怯えてた顔だったのが、まだよくわかってないのか、呆然とした顔でその場にいたお母さん以外の人を見渡したので、全員で、ジルは嬉しげに、お父さんは微笑ましげに、僕は意味有りげに頷いてあげた。
すると、感極まった様子でお母さんに抱きついて「ありがとう!」と泣きながら繰り返していた。
まぁ、元がスライムでも、
普通の女の子を吸収して、性格なんかも普通の女の子の性格を引き継いだのなら、一人で生きていくだなんて不安で仕方なかっただろうな。
それを見て、お父さんも目の前の少女を魔物とは見れないようで、疑うような色も無くなっていた。
その日からお母さんによる研究(時々する質問)されるのと引き換えに家で暮らすことになったスライム娘だったが、
ちょっとした問題があった。
名前が無いのだ。
元の体の持ち主の名前である「アンナ」があるが、自分は別人(別のスライム)だと自覚しているそうで、別の名前が欲しいという。
むしろ、新しく居場所が変わったのだから新たな名前がほしいのかも、とお母さんも言っていた。
そして、何故か僕が名前を付けることになった。
いやいや、7歳の子供に人の人生を左右させるようなことを決めさせるなよ!
お母さんには懐いているし、ジルには逆に懐かれてる。お父さんはまだ苦手なようだから、まだ曖昧な僕がどうなのかが不安なのかもしれない。
まあ、今なにを言っても本人が良いのであればしょうがない。僕に付けてもらいたいなら付けてあげよう。
嫌なら別のに変えれば良いしね。
「アンナを元に、なにか。うーん、…
ロンナ? なーんかちがう?
ソンナ? そんなバカな! みたいないじめ受けそう。
レンナ? レンガってバカにされそう。
クンナ? クンナは来んなってバカにされそう。
あっ、何処かにスライム要素を入れた方がいいのかな?」
うーん、名前を考えるは難しいな。
前世でも経験した事は無かったりしなー。強いて言えば自分のゲームのキャラの名付けかな?
でも、ゲームのキャラに名前をつけるノリでは駄目だろう。
あれ?
いつの間にか、気づかない間にお母さんに後ろを取られていた。
お母さんが来てたのに気付かなかったってことは、ちょっと集中し過ぎたかな?
「うん?
お母さん、いつからそこにいたの?
っていうかなにその顔、変な顔してるよ? どうしたの?」
「ベル。あなた名前を考える方のセンスは無いのかしら?
それと、名前にスライム要素はいれなくてもいいと思うわよ?
(…これは私も一応考えないといけないかも?)」
えー、ひどいこと言うなー
名付けなんて、初めてだからしょうがないじゃないか。
でも、確かにスライム要素はいらないかな?
まず、スライムだと名乗るわけでも無いし。
よし、なら絶対王政(偉大なるネット知識)も全力稼働して考えるか。
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僕は今、絶対王政で来れる世界でスマホを使って調べものをしていた。真っ白の直方体の形をした僕が神の如き権能を使うことができる空間だ。
(見渡す限り真っ白だからこの世界はホワイトハウスとでも名付けよう。適当?思いつき?思いつきが肝心なのさ。)
「アリス、意味は気高い女性。
ハンナ、恩恵、恵み。
……え?アァンなんて名前があるの?」
僕だけの世界では、生物以外はすべて再現できるので、やろうと思えばその瞬間の世界中のすべての通信アプリを覗き見したり出来る。
それもなんとかインターネットを構築する機械のパンフレットを見つけたからだ。
それ以来マニアでもいたのか、何枚もの機械の写真が入ってるスマホを見つけてから、少なくとも僕が生きてた間の毎日昼頃のインターネット環境の再現ができるようになった。
プライバシーなんてあったもんじゃないね! ただ、この世界でも、ルイネフィアでも利用出来ないんだけど。
転生者がいれば弱みを握れるくらいかな?
特定作業がそれはもう物凄く大変だけどね。
…プライバシーや通信アプリで思い出したことがあった。学校に復帰した頃から感じていた違和感だ。そして、今、僕にはそれを確認する術を持っている。
………
…………正直言って今はもうどうでもいいし、思い出したくもないが一応見ておこう。もう引きずっているわけでもないけど、気にならないと言えば嘘になる。やっぱり確かめたほうが僕の覚悟も決まるだろう。完全に僕が上白豊葵と決別する覚悟が。
「……………………………そうか。」
……やっぱりお前がやったのか。薄々気づいてはいたんだ。あれから僕を見る度に浮かべる色が嘲笑に変わって行った事も。僕に入ってくる情報を制限していたことも。
それでも僕は最後まで……いや……お前を一度でも信じた僕が馬鹿だっただけなのか。
僕の想像していた最悪のパターンだ。
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よし、スライム娘の名前は決めた!
え?『あいつ』についてはもういいのかって?
まぁ、もう僕は異世界転生しちゃったし?
世界がそもそも違うし、会うことはないと思うね!
………フラグじゃないよ?…本当だよ?
いや、ステータスに称号として表示されるくらいに不運なのは自覚してるけど、もし、またあいつに会うくらいだったらもう滑稽だとか言って笑っちゃうレベルなんですけど?
ハッ?なにっ!?
称号の「呼ばれる声」のところまで行けば何かが分かる……だと!?
…直感スキルさんは今日も調子が良さそうで何よりです(泣)あ、レベルアップした。
まぁ、今はそんな先のことはどうでもいい。
さっき言った通りスライム娘の名前が決定した。
スキルの並列思考スキルを獲得するぐらい考えた。
実際にスキルを獲得したしね。
ただし高速思考スキルだった。
凄く悩んだ名前だから気に入ってくれるといいなぁ。
ちなみにスライム娘は対外的には、森で捨てられていたのを拾って来た養子。
歳は分からないから大体僕たちと一緒。
つまりは僕の妹となった。
うん。養子だったとしても妹なのだ。
こんな設定を使う機会は書類とかしかあまり無さそうだけどね。
じゃあ、これから夕食だから、そこで新しい名前を伝えようかな?
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その日のクリストフ家の夕食の席にて。
ベ「スライムちゃんの名前決まったよ!」
ジ「ジル、気になるー!」
父「思ったより速かったな。」
母「ちゃんとした名前を付けてあげてね?」
ス「ありガとうございまス!」
ベ「ありがとうを言うのはちょっと速いと思うな、あと、気に入らなかったら別のを考えるから遠慮しないで言ってね?
そして新しい名前なんだけど、
「メル」にしました!どうかな?
僕たち姉妹はジルとベルだから、ルで終わる名前にしたんだ。」
(エルとかネルとかで迷ったんだけどね。メルってなんとなくメリークリスマスに似てない? え? あっ、似てないですかそうですか…誕生日分からないからクリスマスにしようとしたんだけど……)
「…」
言い終わったらスライム娘が俯いてしまった。
こういう場合は、気に入らない場合と感動してる場合がある。後者だったらいいなー。切実に。
「……いいノ?…わたしはまものだヨ?まものトかぞくになっちゃうんだヨ?」
おっと、動揺している方だったか。
でも、思ったよりスライム娘は頭がいいのか気付くのが速かったな。
スライム娘から見たら、自分を引き取るのには僕たちには何の利点もないし、逆に魔物という事実を隠すのは、負担しかかからないと見えるだろう。
自分が異常者だと思っている人ほど、人に仲良くされることに戸惑ってしまう。
だから仲間だよ? って言い続けるより形として仲間だと示すためにも、姉妹としてルで終わる名前にしたんだけどね?
この前にお母さんに抱きついて泣いていたときは、自分が魔物だということ以前に、仲間が出来たことに安堵してしまったからだろう。
存在自体が日本で言う人間国宝みたいなものなのにな。
もったいない。
「魔物だなんて関係ないよ。
君はただの可愛い女の子、そして僕たちはその子を引き取って家族になりたい人たち。
全員がそうなることを望んでいるのならいいんじゃないかな?
周りからなんと言われようと、そんなの僕が強くなって黙らせるから気にしなくていいんだよ。」
お? またまたスライム娘が泣き出してしまった。
今回は泣き叫ぶでもなく静かに頷きながら泣いている。
……これはスライム娘が大きくなってからのいじりネタ決定だな。
だか、表面上は妹を心配してる姉を演じ続けているが。
「で、どうかな?
「メル」って名前気に入ってくれたかな?」
「うん、うん。メルはかぞくになりまス!」
良かった良かった。
緊張していたのか最後は歳相応? な丁寧じゃないのしゃべり方になってたけど。
五時間(スキルもフル稼働)も考えた名前を気に入ってくれて良かった。
よし、今度はお姉ちゃんとして妹のためにケーキでも作ってあげよう、そのために色々と街に行って買わないと。
…あれ?
僕って今自然とお姉ちゃんとか言わなかった?
……クッ、7年間耐えてきたがもうダメなのか!
あーもーいいや、女の子で。
ジルとメルとは一緒にいられるし?
だがしかーし!僕は男と結婚だけは絶対にしない。
絶対にだ!そんなことしたらその男も僕も救われない。
それ以前に?
前世での美人は男の視線が鬱陶しいらしいし?
ジルたんと双子だから僕も顔は整ってる方だし?
だからあんまり男の子と馴れ合いたくはないかなー?
ただ、ジルかメルに男友達が出来たって言うのなら、僕がちゃんと調査する。これも絶対だ!
うむ。男からは女になるよりもせめてシスコンになるようにしよっと。
前の回で言うのを忘れていましたが、主人公の持ってる魔力感知と、他の人が持ってる魔力感知は別物です。
主人公のは魔力を使って周りを把握するのに対して、
普通は周りの魔力を感知します。
ちなみにメルも主人公と同じ方の魔力感知です。




