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悲劇の主人公は悲劇のヒロインを見捨てられない  作者: 湯タンポ
王都 アークメリオス
29/35

閑話 独りぼっちの脚本家

Side :茜


 天涯孤独だったアカネにも協力者がいた。


 マリーという女の孤児院長だ。

 もともとマリーも孤児であり、それでも薬師として成功していた。

 そこに偶然アカネがマリーのところに働きに来て、気になったマリーがアカネを追いかけるとアカネがその兄弟たちに自分が稼いだお金を渡しているところを見かけてしまった。


 そこでマリーは自分で孤児院を建てて、そこに孤児たちを集めて住まわせた。

 ただ、マリーも毎日の食費が精一杯で、アカネに勉強をさせようと思っても学費が払えなかった。


 だからマリーは自分から勉強を教え、成績が良ければ学費は不要の王都の学校に行かせた。

 そして頭が良く、魔法の覚えも良かったアカネは見事主席で合格。

 ここまでがゲーム開始前のプロローグの設定だ。

 

 そしてゲームでは無いはずの現実でも同じだった。

 マリーさんに合うまではお金を得ることに必死過ぎて、忘れていたけど無事にストーリー通りに孤児院を作ってもらった。


 でも今のアカネ(私)に勉強は必要ない。

 精々が魔法の勉強だけで、残りの時間は冒険者ギルドに妹たちのおやつのために働きに行った。


 だからマリーさんに勉強を教えてもらうことは辞退して、魔法の授業や働く時間に当てた。


 それでも特に問題は無かった。

 座学ではどうしても解けない問題も無かった。

 マリーさんが主席にならなくても学費が免除されると言っていたが、マリーさんは学費免除と嘘を付いて自分が払うかも知れない。

 だから全力で主席をもぎ取った。


 だが、私が貴族ではなく平民だからか、ほとんどの人がそのことを知らない。

 それでも別に問題はないし、学費免除が出来るのであれば何でもいいと思った。

 


 少し話がずれるけど、

 私は生前に『The Bad end』のゲーム自体の完成度に感動して、女と男の両方をプレイしていた。

 だから、どっちの設定も知ってるし、どんなストーリーなのかは完璧に覚えてる。

 それでも現実とゲームは違う。

 主人公のアカネが女なはずなのに、学園長は女だった。

 私の知らない、キャラクターも何人か見かけた。


 本当は『The Bad end』ではモブキャラもメインキャラもなく、ただ何十何百といるキャラクターの中から自分の好みのキャラクターを選ぶことが出来た。

 それでも顔がランダムだったりはせず、何度リセットしても必ず同じキャラクターがいる。


 私に人生の楽しみなんて『The Bad end』くらいしか無かったし、男も女も変わらず、全員のキャラクターのデザインも覚えてるし、名前を言われれば顔を思い出せるくらいにやりこんでいたが、そんな私の知らないキャラクターがいた。


 これは私のチェックミスなどではなく、ゲームと現実の差違だと考えた方が良いんだと思う。



 ゲームと現実の差違は大きかった。


 例えば入学も本来ゲームでは主席で合格した。

 というテキストしか出てこないが。

 現実だと、その後の部屋割りなんかがある。


 そして、ここからが転生してからの最大の違い。

 アカネが学園長室に呼び出された。


 内容は

「この国の王族が学園に通うのよ。

そしてその王族にも学園の決まりで護衛を学校に入れることは出来ないの。

だけど、合格が決まった人に依頼を出すことは出来る。

そこでアカネ、あなたに依頼がきた。

国は王女の護衛にふさわしい人物がいないか、を徹底的に調べた。

そこであなたの名前が上がったの。

薬師ギルドのマリーという人から太鼓判を得ている。

知ってるかもしれないけど、マリーという方は今まで治療方法が分からなかった難病の薬を作り出し、真っ先に多くの人が助かるようにと、ギルドや王城に作り方のかかれたレシピを渡した人格者って評判なの。

王様はその功績やあなたが助けてきた孤児の話を聞き、依頼を出すに足る信頼があると考えた。

もちろん、あなたが望む対価をやると王様は仰ってるし、まぁ、大体その望みも予想は付くわ。

それともう一つ学園を卒業したあとの就職先も紹介すると言っている。

そして、この依頼は卒業まで、エレン様の身の回りの世話と護衛をしてもらうこと。

もちろん守秘義務や拘束があるかも知れない、でも決してあなたの自由がなくなるわけではない。

あなたが何かしたいことがあれば代わりの者を一時的に行かせることも出来る。

だけど、出来るだけ身近にストレスなく、護衛が出来る者が必要だし、学園としてもそう何度も武装した人を入れたい訳ではない。

だから出来れば受けて貰いたいの、どう?」

 

 私はその依頼を二つ返事で了承した。

 そして報酬は学園長の予想通りに孤児院への寄付をしてもらった。

 これで、少なくともゲームと同じ誰かと結婚するルートを選んでもアカネが育てた子供たちは路頭に迷わなくなる。

 国王が保証してくれるのだから。

 断る理由も無かった。





 そしてその日から私の苦労の日々が始まった。

 護衛対象の王族の少女は可愛い女の子だった。

 私と同年代で話も合うし、私の知らないことを色々知っていた。

 そのおかげでで私はゲームと現実の違いをたくさん知ることができた。

 私が言ったことには偉ぶらず素直に聞いてくれた。

 もちろん明かしてはいけない機密があったし、それを明かされた時には驚いたが、それを理由に依頼をやめるほどでも無かった。



 そして、王女様からの話で気になる子がいた。

 

 ゲームにはキャラクターとして登場していなかった。

 ベル・クリストフ。


 確かにゲームには居なかったがその名前には少し聞き覚えがある。


 男と女でストーリーが変わる『The Bad end』だが、男だとヒロイン、女では悪役のボスだった、キャラクターの名前がジル・クリストフだった。


 だけど、私が見に行ったジル・クリストフはストーリー開始前だからなのか、年齢はもちろん、見た目も全然違っていた。


 最初のゲームでの登場時は今よりも数年先で見た目は人間への憎悪で満ちた目とボサボサの髪。

 その上食べ物を食べているのか不安になる体の細さをしていて、勇者を目指していると言った主人公に対してとてつもない敵意で襲ってきた。


 主人公が女だった場合は倒すしかないが、男だった場合、条件を満たすと、ツンデレヒロインとして仲間になる。


 だが、私の見たジル・クリストフは人懐っこそうな天真爛漫な可愛い女の子だった。


 ゲームで見たジル・クリストフとは似ても似つかないような子だった。



 それがゲームと現実の違いなのか、ゲームには居なかったベル・クリストフの影響なのかは分からないがゲームで見たジル・クリストフはいい子だったので、元気そうにしているのが少し嬉しかった。


 …アカネから影響を受けているのか、孤児だったり、不幸になるキャラクターを助けたいという思いがある。


 ジル•クリストフはいつに起こるのかは知らないが、どこで何が合ったのかは知っている。

 でも、今の私が介入出来る話ではなかった。


 だから、もしもそれが起こったときの為に。

 私の手を取ってくれるために仲良くしたい。


 ―――あの子にはあんな結末は相応しくないから。

多分自分には売れるほどの文才は無いんだと思った。


よろしければこの物語を評価してください。批評でも良いです。誰かがこの物語を見ていることそして、それに反応を示してくれること。それが一番のモチベーションに繋がります。

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拙い文章ですが、これからも読んで頂けると作者が喜びます。
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