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1.1異世界転生?やったね!え?女の子?

(僕は上白(かみしろ)豊葵(あつき)


 ちょっとだけ生まれた環境が悪かっただけのごくごく普通の高校生だと思う。

 ちょっと親とタイミングが悪く、教師との相性が悪かったのだがその結果、人生に嫌気がさし、中学からニートもどきの暮らしになっている。


 ただ中卒は嫌だったので高校は無難な学校を受けた普通の人間である。


 ちょっとだけ中二病を高校まで引きずっているただの人間である。だが今はとても特異な状況にある。


 本当に何故こうなった?)









 少し時間を遡って。ゴールデンウィーク初日の上白家の一室。


「ったー!学校の課題をゴールデンウィーク初日で終わらせたぜ!徹夜は基本しないタイプだけどなんだこの全能感!ハハハハハ!我は神の遣いなり!!」


 上白豊葵つまりこの物語の主人公である。

 神ではなく遣いを選ぶあたり小物感満載である。


「これで僕の黄金にも勝る日々を邪魔する者は排除したぞ!ハッハッハ!誰か、俺が止めて見せろ!すべてをはねのけて我が休日をいただいてやる!ハッハッハッハ、ハーハッハッハッハ!!……………はぁ。明らかにテンションおかしい。しかも完全に悪役じゃねーか。一人称めちゃくちゃぶれてるし。あーもー眠い。明日からは自由だ。やったね。あーあ、寝よ」


 一人で漫才もどきをしていた豊葵だったが、ベッドに倒れ込んだ瞬間に事切れたかのように寝息をたて始めた。
















「…………かー……………じ…だー……………だ……一人……に

!…………がい……ず!………けて……さい……………………………………………あづぎー!」


「…………うるさいなー誰だよ、こんな朝に。こちとら眠いんだよ。あっつ。さすが夏が近い。あー眠いから二度寝しよ。」





 この言葉が上白豊葵の地球最後の言葉であった。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



Side 上白豊葵


 あれ?ここどこ?えーっと、確か学校の課題終わらせて、あー寝たな。うん覚えてるぞ。



「なら、ここどこよ?」


(よし、一旦整理しよう。ゴールデンウィーク初日に課題を終わらせて寝たよな?うん、そうだな。そのあとに?………いや起きた記憶はないな。起きたのは今だもんな。ならやっぱりここどこだよ?)


 ここは、一言で言えば病室か?僕が今も寝ている真っ白のふかふかベッド、真っ白の部屋。ベッドの近くに窓があり、その下に机が置いてあり、一輪の綺麗な花が生けてある。あとはドアがあるだけの見事なまでの病室だ。

 寝たまま首を回してみるが、点滴は無い。

 ついでに病院では無いのか、ナースコールなどといった物は置いていない。

 最低限な装飾品以外は徹底的に排除したような印象を受ける。


 体をベッドから起こしたときにドアが開いた。


 そこから出てきたのは紺色のパーカーとジーンズを着た、中学生から小学生ぐらいのツインテールの美少女がいた。

 今どきツインテールは流行ってるのかな?と思っていたら。

 いきなり笑顔で話しかけてきた。

 ハイテンションで。



「やっほー!豊葵君!起きたかい?………えっ?私は誰だって?聞いて驚いて吹き飛んで壁に突き刺さってみるがいい!!私が、いや私こそが神だ!!!」


「いや聞いてねーし。壁に突き刺さりもしないし。普通に神云々の前に名前名乗れや。つかどうして僕の名前をしってんだよ。」


(突然の事態に言葉荒くなってしまった。これくらいの子供にはもっと優しくしないと。

 いや、まてよ。

 普通に考えてこいつが僕を誘拐した犯人か?名前を知っているなら僕を狙ってか?こんな幼いと言えるぐらいのが?…まぁいいとりあえずこいつから情報を貰うか。誘拐された被害者だし手段何て関係ないよね?

 そう。この部屋には被害者と加害者しかいないんだ、年齢差なんて気にする必要も無いよね?)


「ヒッ、止めて!そんな悪い顔は!嫌な予感しかしないよ!こんな美少女に対してなにをしようと言うんだ!」


「だったら早く僕を家に帰せ誘拐犯。」


「あっ、全然信じてないみたいだね!なら私の話を信じてない君に私が超絶可憐で綺麗で美しい女神様だと信じさせて見ようじゃないか!はいどーん!」


 自称超絶可憐で綺麗で美しい女神様(笑)が何かしたのか、部屋が病室からよく警察ドラマで見る取り調べ室に変わった。


 そして僕が取り調べされる側。対面に自称女神様(笑)が机に頬杖をつきどや顔していた。


「は?」


「ふっふーん!どうだいやっと信じる気になったかい?僕の信者になってくれてもいいんだぜ?」


 そして冒頭に戻る。今の状況は本当に特異だと思う。いきなり拉致られたと思ったら小学生が出てきて魔法っぽいのを使い始めた。


……………やっぱり非現実的過ぎると思う。普通の高校生って言えなくなったな。


 ちょっと現実逃避はやめて真面目に考えよう。

 部屋がガラッと変わったことで一瞬、間抜けな顔をしていたと思うが。

 そんなの関係ない。


 自称女神様がどや顔しているのが整った容姿故に妙に様になっていて、ちょっとイラッとして正気に戻った。

 


(確かに神ならこんなことも出来るんだろう、この目で見たし。実際に見ると衝撃あるし説得力あるわ~。ちょっと態度がイラッとするけど。)



「で?誘拐した挙げ句僕の話も聞かずに名乗りもしないのかい?自称女神様?」


「そうだろーそうだろー。うんうん…って神様だぞ神様!もうちょっと拝んだり失礼な態度を謝ったりするものじゃないのかい?!」


「うるさいなー。神でも何でも僕のゴールデンウィークを奪うんなら敬意を払う必要なんてないわ!」


「うわっ、この罰当たりめが!もーこの際タメ口でも何でもいいからこの女神イシス様が説明してあげようじゃないか!」


 イシスが説明したのはこうだ

・僕は火事が原因で死亡。ただ今絶賛お葬式中らしい。

 火葬の手間が省けた。やったね!

 とか言っていいのかな?


「あと、信じる信じないは自由だけど、本当だからね?私のあふれる神様パワーで今ここに居られてるだけだからね?」


 まぁ、そういうことにしておこう。


・何故死人をこんなところに呼んだのかと言うとある家二人目の子どもとして生きてほしいとのこと。


・転生させる理由は言えないが。ただ、生活の保証はしばらくできるとのこと。


・その子どもについてはお腹の中で死んでいて、入れ替わって成り代わって欲しいらしい。


「ちなみに君に行って貰う世界はルイネフィアって言って、いわゆる剣と魔法の世界だよ!聖剣や魔剣、スキル、称号なんかもあるよ!お約束は大体あるよ!今どきのなろう小説みたいだね!説明は終わりなんだけど質問はあるかい?僕が答えれることは答えてあげよう!ちなみに多少のユニークスキルという名のチートも受け付けるよ?言語に関してはスキルをあげるから完璧だよ!」


「まぁとりあえず異世界やらなんやらは信じようか。子どもと入れ替わるとは俺の魂をその死体の中に入れるとかなのかな?あと生まれる国が戦争だとかしてないよね?」


「その子の中に魂を入れたりしてもいいけどまたすぐに死んじゃうよ?もう少しで生まれるのに1ヶ月は魂が馴染むのを待たないといけないんだから、その間に死んじゃうよ?あと君が生まれる国に関しては国王は名君と呼ばれてるし、皇太子も聡明だって噂だよ!君の親だって一応貴族だから戦争だとかはないかなー?」


(ほうほう。なら将来は安泰かな?剣と魔法の世界ってことは聞きたいことが色々あるけど向こうで調べられないやつから質問するかな。)


「なら具体的にどうやって転生するのかを教えて。僕にも分かるようにね。」


「うーん、そーだねー。全く同じ人は作れないしねー。そうだ!人間に化けれる魔物になってもらってその子に化けてもらおう!魔物になったら、今の君には理解できないかもだけど、魔力っていう不思議パワーで君にも僕にも都合がいいんだよね!例えばだけど今から君になってもらうのも魔力さえあれば生きられる体になるよ!飢餓感や孤独だとかはどうしようもないけどね!」


(魔力か、異世界転生ものにあるやつか?物理法則なんてくそ食らえって感じの。うーんだとしたら全く理解出来ないな。物理法則もよくわからないけど。)


「人の姿で人の町に不自由なく暮らせるならいいけどばれないの?あと成長とかは?するの?」


「それに関しては私が分からないようにしておくから私と同等以上の力を持っているかもしくは特殊な方法でも使う相手じゃないとばれないね!私は神の中でも上位だし普通の人間には負けないよ!ステータスも偽造しておくからね!成長に関してもそこだけ条件解放なら私もできるからね!」


「へぇ。まぁとりあえずはいいかな?ちなみに魔物特有の力とかない?あとデメリット。」


「魔力を使える動物が魔物って言われているから魔力操作は生まれつき出来るんじゃないかな?君の場合は人と魔物の中間みたいなものかな?後はさっき言った通り人に化けることができるよ!もしかしたら人以外もね!条件は有るけどね!レベルアップしまくれば化ける以外のことも出来るようになるかもね?デメリットに関してもほとんどないかな?ステータスは種族が違うだけで基本同じだし本来の魔物は知能が低いことがデメリットだね!君は元のそのままの頭脳で行けるからね!その代わり純粋な魔物よりは明らかに能力が低いよ!」


「ふんふん。なるほどなら最後に。チートに関しては―が欲しいんだけど。」


「なるほどなるほどイシス様には通じたぞ!ならばよし確かに使い方次第では何でも出来るしいいね気に入った!それはユニークスキルとして叶えてしんぜよう!」


「なら転生されてあげようじゃないか。そんな厚待遇受けないわけには行かないね!」


 やっぱり僕も男の子で中二病疑惑があるだけあって、剣と魔法の世界って時点でワクワクしていた。

 いや最初からかな?生活が保証された時点でほぼ決めていたんだよね!前の世界に未練はないし。

 嘘だったら?

 そんなのどうしようも無いに決まってるじゃん。

 既に自分の力でどうにかできる範囲を大きく越えてるよ。



「じゃあどうやっていくの?」


「君が行くってときにいつでも行けるよ?もう他には何もないかな?」


「ああ。もう何もないかな?あと最初の方に誘拐犯とか言って悪かったね。ごめんね?」


「あれ?そんな簡単に手のひら返し?ま、まぁ?別にいいけど?じゃあまたね!」


「また会えたらいいな。」


 僕の体が足から感覚が消えていって、視覚的にも消えていく。


 あぁ。これから異世界か楽しそうだなー。

 でも食べ物どうしようかな?

 まぁそれはあとからかな?まずは情報集めしないと、それから…


「あっ、あと君に変わって貰うのって女の子なんだよね!まぁそこはレベルアップして元の豊葵としての姿もできるからレベルアップ頑張ってね?あ、ついでに今の異世界ってインフレしまくってユニークスキルは特に珍しく無いんだよね。まぁ、頑張って?」


「おい、それめちゃくちゃ重要な情報じゃねーか!誘拐犯の信者には絶対なってやんねー!教会があったら拝んでやろうと思ったのに!覚えてろよ!!!あぁけどせめて名前だけでも男に……!」


それを最後に意識がブラックアウトした。






















 豊葵が居なくなった部屋で。

 イシスは指をパチンとならすとツインテール美少女が居なくなり、妙齢の髪をおろした恐ろしく造形が整った美の見本と言わんばかりの美女が真っ白なドレスを着て立っていた。


「はぁ。やっぱり疲れるのよね、あれの真似は。まぁそれで早く片付くのならいいのだけれど。」


 美しい女性は話している間、いつの間にか。

 アニメの謁見の間のような玉座のある部屋で玉座に座っていた。




 美しい女性がなにかを待っている中。

 今度はさっき豊葵が会った美少女とそっくりのただツインテールではなくポニーテールをした美少女がドアから入ってきた。

 ただ服装はドレスコードでもあるのか、これまたフリルいっぱいのドレスを着ている。


「やっほー!イシスちゃん!そっちはちゃんと終わったみたいだね!こっちは本当に大変だったよ!」


「クロノスね。そっちの方は人数が多かったでしょ?まぁ私は相手が冷静で助かったわ。」


 イシスは玉座に座っているが、クロノスと呼ばれた美少女は咎めるでもなくまるでそれはいつものことのように話していた。


「人数多いからっていうか凄く濃い人が何人かいたからかな?でもこんなに大規模な召還できる人間がいるなんてねー!もしかしたら神にまで届いちゃうかもよ?」


「確かにそうかも知れないわね。時間差や場所とかの欠陥はあるけれどしっかり目的も果たしているものね。でもやっぱりあなたは召還された方の男の子が早いって言うのでしょう?まぁ確かに理性的ではあったけど、そこまで変わったところはなかったわよ?」


「だって見たんだよ!その子が神になったのをしっかりとこの目で!転生なんかしなくても勝手にルイネフィアに来てるっぽいしね!でも僕たちは神だって何だって害がないなら大歓迎だもんね!早く神になって欲しいからユニークスキルをあげたんだしね!」


「そうね。でもこれ以上の干渉は誰かにばれるかもだからあなたのわがままも後は見守るだけにしておいてね。」


 このあとも部屋を変えたり茶菓子を出したりして女子会は続いていった。













Side 上白豊葵


 うーん。ここどこー?あ、なんかデジャヴ。

 えっと確か………あーイシスにはめられたな。


 神って地球の神話からしても、まともなやつがいないと思う。


 まぁ過ぎたことはいい。よくないけど。

 これからは少なくとも十数年は女の子で生きてく覚悟をしておこう。

 体の感覚があった為、さっそく体を動かそうとしても動かせないし、目も開けられない。

 何も出来ないってちょっと怖いな。

 ただ流石に安全なのは分かってるんだけどね?……安全だよね?

 動けないって思ったより怖い。


「「…ギャー!ギ……ー!」」


 赤ちゃんの泣き声かな?でも二人分?一人はさっきから体が勝手に動いてる感じだから僕だと思うけど。

 もう一人?あっ、僕って二番目だったっけ?なるほど。


「よ…よし……な…よ」


 ……なんて言ってるのか聞こえないな。腕に抱かれてるのは分かるけどね。


ん?あれ?体が勝手に?







 ……………………………………………………………マジか…そうだ、そうだった。

 赤ちゃんから始めるんだから、ちょっと考えれば分かるじゃないか。



 お乳を吸わないといけないことぐらい!


 しかも粉ミルクがあるかなんて分からない。

 クッ殺せ!これが毎日続くだなんて!

 拷問じゃないか!イシス絶対に分かってたろ!その上で黙ってたろ!

 僕にそんな趣味はないぞ!喜んだりしないからな!

………………………………もう諦めようここでなにをしたって変わらない。

 実際のところ聞いてくれる人もいないしな。

 喚いたところで意味がない。

 お母さんができれば美人な人だったらいいなー。

 あ、思ったより美味しいな。

 味が薄いって聞いてたけど。

 何処で聞いたんだっけ?

 あーあ、お腹いっぱいで眠くなってきた。寝よう。

 

 あと、とても大きくて柔らかかったとだけ言っておこう。

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拙い文章ですが、これからも読んで頂けると作者が喜びます。
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