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紫島姉妹に効果あり  作者: 釜揚げ製菓
第一章 紫島姉妹
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 決して憧れていたというわけじゃないが、やはり心の底ではやってみたかったという思いが強かったのかもしれない。


 中学卒業し、高校に進学すると同時に俺は「一人暮らし」をすることになった。


 ……といってもべつに急に決まったというわけではない。今年の一月頃にはすでにそうなることになっていた。


 理由は単純で、両親が家を空けるから。両親は何を急に思い立ったのか、いきなり「世界一周」してくると言い出し、数年間は家を空けると言った。


 入試を控えていた息子にいきなり言うところ、やはり俺の両親は色々と変わっている。 

 まあ、生活費とかその他もろもろは支給してくれるらしいが、俺の中にある考えが浮かんできた。それは「別の町で本当に『一人暮らし』をする」というものだ。


 今まで住んできた町を離れ、心機一転生活する――。母は少し渋ったが、父は「良い経験ができるだろう」と、快く承諾してくれた。


 ただし通う高校は今の自分の学力と同じくらいかそれ以上でなければならないと、付け足した。これが父の出すたった一つの譲歩だった。


 そんなこんなもありながら、俺は実家から山々を境にした、隣の県にある「傘音町」にある高校を受験することにした。なぜ俺がこの町を選んだかということは、あまり堂々と言えるものではないので、言いたくない。だが俺にとっては重大なことだ。


 で、その傘音高校は俺の現時点の学力よりも、二ランク上くらいの高校で、正直落ちると思っていた。一ランクくらいならまだ何とかなりそうだったが、傘音町にある高校の中で、傘音高校が一番偏差値が低かったこともあり、そこしか受けることができなかった。


 だが、寝る間も惜しんで猛勉強した結果、俺はなんとか合格することができた。


 合格発表を受け取ったのは、卒業式当日だった。それから数日、俺は必要最低限の荷造りを完了し、住み慣れた家を出て、傘音町へと向かった。両親はその数日後に、旅行に旅立った。


 住む場所は俺ではなく親父が勝手に決めたが、そこまで高級というわけでもなく、かといって木造の築何十年といったボロアパートでもない、本当に「普通」のアパートだった。


 ワクワク気分だった……。その日俺は、コンビニで菓子やらジュースを買い込んで、テレビをつけっぱなしにして、一人打ち上げをした。


 ――だが、少なくとも高校卒業するまでの三年はお世話になると思っていた俺のアパート……いや「一人暮らし」は、わずか三日で終わりを告げた……。

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