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さらにその日の深夜のことだった。夕食に食べたカップ麺が完全に消化され、小腹が空いてきた俺は、再びコンビニにスナック菓子でも買おうとアパートを出た。
その途中にある小さな公園に差し掛かった時だ。街灯一つとしてない公園内から小さな光が見えた。目を凝らしよく見ると、その光の近くには人がいた。
「ふ……うーん……!」
そいつは両手を前に出し、唸るような声を上げていた。
「おい!」
その誰かが「女の子」で、小さな光の正体が「火」であることに気づいた俺は、思わずその女の子に向かって叫んでいた。
「――っ!」
俺のことに気づいた女の子は、バツの悪そうな表情を見せた。身長を見た限りでは、おそらく小学生だろう。体全体を覆うような黒のフードを身に纏っていた。
ますます見過ごせないと思い、俺は公園に入りこみ、女の子に近づいた。
「こら、火遊びなんてダメだろ。ほら、そのライターかマッチだかを渡しなさい」
俺はふんっと手を前に出し、女の子から取り上げようとする。
「…………」
「こら、聞いているのか?」
黙りこくって顔を下に向ける女の子。まあ気持ちはわからないことはない。俺も子供の頃、悪さをして怒られる時は同じようになった。
「……わたしのは――」
だがしばらくして、それが違うということがわかった。女の子はブルブルと体を震わせ、怒りのこもった声を出す。
「遊びじゃない! 喰らえ!」
そう叫ぶとともに、女の子は右手のひらを、俺の顔めがけて突き出した。
一瞬、右掌に何か見えたような気がした。だがとくに俺の顔に何かがぶつかったような感覚はおとずれなかった。
「……ば、ばかな――!」
「はいはい、『ごっこ遊び』はいいから、とりあえず出しなさい。お家の人には言わないでおくから――あれ?」
女の子は信じがたいものを見たかのような顔をすると、腰を引かせたままで後ずさりし、逃げるように公園から出て行った。
「……ま、いっか」
あの調子じゃすぐに家に帰っただろうし、俺もそこまで関与するつもりはない。さらに腹が空いてきた俺は、急いでコンビニに向かうことにした。




