第24話 香澄との帰り道、アオハルな距離感
「お二人さんは今日は帰りも一緒だねー♪」
「わー、アオハル~♪」
「香澄ー、明日はうちらと帰るからなー」
「あとで詳しい話を聞かせてよー」
「そーゆーんじゃないですぅー。まったくもー。みんな、すぐそーゆーこと言うんだから。勇太くん、行こっ」
キラキラグループからの温かい冷やかし――日本語としてどうなんだろう?――にもすっかり慣れた様子の香澄と連れ立って教室を出て、帰路に着く。
帰り道の話題は今から食べるあんみつの話と、さっきの球技大会の話だ。
ちなみに香澄もバスケを選んでいた。
その理由を聞いてみる。
「香澄はサッカーよりもバスケが好きなのか?」
「ううん、特にどっちがってのはないよ?」
「じゃあバスケを選んだ理由って、何かあるのか?」
「だってバスケは体育館でしょ? 体育館の方が日焼けしないもん」
「なるほどな」
俺は大きくうなずいた。
女子とは日焼けを嫌う生き物であるからして。
「それにバスケの方がコートが狭いから、あんまり走らなくていいよね? ハーフって言ってもサッカーはコート広すぎだしー」
「それもなるほどだ」
明るくて快活な香澄は一見、運動が得意そうに見えるが、実はそれほど運動が得意ではない。
特に長距離の走力に大きな不安があるため、楽な方を選ぶのはこれまた当然だった。
「あとは勇太くんもバスケだったし……なんちゃって、えへへ♪」
香澄が歩きながら肩をトンっと軽く当ててくる。
さりげないボディタッチ。
付け足された照れ隠しのようなセリフに、俺はなんとも言えないむずがゆさを感じてしまう。
本格的な恋愛とかまではいかなくとも、ちょっといい感じの異性とのコミュニケーションに、心がふわふわしない男子高校生はいないだろう。
うん、実に悪くない。
なんとなくだけど香澄は俺に好意を持っていそうだし、俺も香澄は可愛いと思っている。
元・勇者といえど俺も現役男子高校生。
可愛い女子と仲良くなれることは素直に嬉しい。
だけどそれは「いいな」くらいのもので、根性込めて本気で恋愛したいとかそういうものではない。
こういうアオハルな距離感が楽でいいんだよな。
スローライフ高校生活に「人生を変える恋」だの「世界を救う愛」だの、激しく重い恋愛模様はいらないのである。
少なくとも今は、まだ――。
それはそれとして。
「体育のチーム練習は男女一緒にやるみたいだからな。ま、楽しくやろうぜ」
「勇太くんはバスケも上手そうだから楽しみー♪」
「どうだろう? それなりに動けるとは思うが」
「それなりに動けたら十分だってば。自慢じゃないけどアタシはバスケもダメダメだよ?」
「人間だれしも、向き不向きはあるよな」
「わっ、勇太くんってばいいこと言うねっ♪」
こんな感じで香澄との仲はとてもいい感じだった。
それから、体育の時間にサッカー組とバスケ組で分かれてチーム練習を何度かやって、迎えた球技大会の日。
俺たち男子チームは初戦を見事に快勝した。
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