14 魔法の練習しましょうか
「さぁさぁ準備できた????
でかけよ〜〜!!☆☆☆☆」
カバンに財布や充電器を詰めてスマホを片手に外へ出る、と思いきやベランダに連れて行かれた。
「近道だよっ☆」
ぴょーーーーっんと7階からダイブするツミキちゃん。
「ええ…!?!?」
魔術派の箒が飛び交う空を宇宙柄のドレスがきらきらと舞う。
最初は狼狽した私もツミキちゃんを信用して、飛んだ。
この世界は幸せな魔法で満ちているから、どうにでもなるんだろう。
ツミキちゃんは空を飛ぶように地に向かって滑空しながら、くるんと体を捻ってこちらを見た。
可愛らしくウインクしたら、転落している私に向かってステッキを振る。
「-weightlessness-」
落下速度は無くなって、体は無重力のようにふんわりと空に浮いた。
「これのやり方も教えてあげるね☆☆☆」
ツミキちゃんはそう言うと、にこにこ笑って宙返りした。
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ツミキちゃんに手を引かれて無重力の中を泳ぎ、ゆったりと着地する。
目の前には食後に言っていた「フィットネス」があった。
建物の中は清潔感あふれる空間で、自販機や売店などがある。一番奥にタッチパネルのついた自動ドアが見えた。
「魔法少女2名はいりまーす☆☆☆」
ツミキちゃんが元気な声を張り上げてタッチパネルに鍵を翳す。
開いた自動ドアを抜けた先に、犬耳しっぽの男性が立っていた。
「「おはようございます!!!」」
男性とツミキちゃんの声が被る。
ブロンドの短髪が爽やかなその男性は、にこーーーっと笑顔を浮かべてこちらに駆け寄ってきた。
「あっっっ!!!!!ツミキちゃんじゃないですか〜!お久しぶりです!!
そちらの方ははじめましてですね〜!!」
「は、はじめましてっ、筒崎奏と言います」
キラキラした目でしっぽをぶんぶんと振るテンションの高い男性にたじたじと自己紹介をする。
「よろしくお願いします〜!!!
僕は新米の魔法少女たちに基礎的な魔法を指導しています!気軽にコーチって呼んでくださいね〜!!」
軽快な雰囲気のコーチに先導されてトレーニングルームに入った。私達の他に5人ほどの魔法少女がおり、パンチングマシンや的、風船が至る所に並んでいる。
魔法少女たちは各々特訓を重ねていた。
物理派が繰り出す強いパンチの深い音が響いている。
「私も新技の練習してくるね〜!!
コーチ☆あとはよろしくねぇ☆☆☆」
あれっツミキちゃんが教えてくれるんじゃないの??困惑してる私の横でコーチは「いってらっしゃ〜い!!」と大声で手を振っていた。
「さっ、奏さん!!はじめましょうか!
早速ステッキを出してください!」
「は、はいっ!」
手を空に翳してステッキを召喚する。
相変わらず布団叩きみたいな持ち応えのそれを持ってコーチの方を見た。
「どの流派も魔法の基本は一緒なんです。
媒体になるものがあって、宇宙派はそのステッキで魔法を使います!」
「コーチ…、自然派の動物属性は、なにを媒体にしているんですか?」
「僕らはこのしっぽです!
モチーフに寄っては羽根や触角を媒体にする魔法少女もいますね」
ぴこぴこと耳を動かすコーチにふと疑問がよぎる。
「ステッキと違って常にしっぽが付いてますが、今も魔法を使っているんですか…?」
「いえいえ!ずっと魔法を使ってたらバテちゃいますからねぇ〜〜
宇宙派は戦闘の際に広範囲の無差別攻撃技が主力となるので、その制御がしやすいようにステッキになっているんです。
ぱっとステッキをしまってしまえば、使用した魔法は星屑になって消えます」
昨日ツミキちゃんと戦闘に出た際に見た光景を思い出す。
命中せず地面に撃ち落とされた隕石はドロモスが弱体化した直後に星屑となって消えた。
気付けばステッキを手放していたツミキちゃんだったが、あの時片付けていたんだなぁと気づきを得た。




