横道 じゃあ、なんでスーパー戦隊は終わったんだ?
ここで少し横道にそれる。
仮面ライダーの話から始まって、ガンダムのように何度でも新しい作品を作れるものが強いIPなのではないか、というところまで来た。
そうなると、どうしても気になるものがある。
スーパー戦隊だ。
スーパー戦隊も、やっていることだけを見れば仮面ライダーとかなり近い。毎年主人公たちが変わり、世界観も敵も変わる。それでも「スーパー戦隊」という名前の下で、1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』から50年続いてきた。
それが2026年、『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』を最後に、毎年一本のスーパー戦隊を放送する形はいったん終わった。
なんでだろう。
最初に思いついたのは、やっぱり少子化だった。
そもそも子供の数が減っているんだから、子供向けの番組が昔と同じように商売できなくなるのは当然だろう。あとは制作費の高騰。最近の仮面ライダーを見ているとCGもかなり使っているけれど、戦隊は昔ながらの着ぐるみや巨大ロボ、爆発なんかも多い。ああいう特撮は結構お金がかかるんじゃないか。
そして何より、おもちゃが昔ほど売れなくなったんじゃないか。
そんなことを考えながら調べてみたら、どうもこの予想、完全に外れてはいなかった。
終了が報じられた際、関係者の話として挙げられていたのが、イベントや関連グッズ、映画などから得られる収入が番組制作費に見合わなくなっていたことだった。
実際、バンダイナムコの2025年3月期の数字を見ると、スーパー戦隊のグループ全体の売上は64億円。それに対して仮面ライダーは307億円ある。国内の玩具だけで比べても、戦隊54億円に対してライダー225億円だった。
思っていた以上に差がある。
少子化だけが原因なら、同じ子供向けの仮面ライダーも同じように苦しくなるはずだから、それだけでは説明がつかない。
そして、もうひとつ俺が少し勘違いしていたことがあった。
戦隊って、仮面ライダーより安く作れそうなイメージがあったのだ。
着ぐるみを着て、採石場で怪人と戦って、最後に巨大ロボを出して爆発させる。ものすごく雑な言い方をすれば、昔ながらの特撮だからCGを大量に使う今のライダーより安いんじゃないか、と。
よく考えたら、そんなわけがない。
戦隊には最初から複数のヒーローがいる。それぞれにスーツが必要で、武器があり、スーツアクターがいる。毎週怪人が出て、さらに巨大ロボまでいる。そこへ実際の爆破やアクション、ミニチュア、今では当然CGやVFXも加わる。
それを一年間、ほぼ毎週作る。
むしろ、かなり贅沢な番組だ。
昔は、その大掛かりな番組を作っても、それ以上に玩具が売れたのだろう。合体ロボを買ってもらい、武器を買ってもらい、新しいメンバーが登場すればまた新しい商品が出る。
ところが今は、子供そのものが減ったうえに、ゲームもスマホも動画もある。限られた時間とお金を奪い合う相手が、昔とは比べものにならないくらい増えている。
そう考えると、スーパー戦隊が終わったというより、別のものが限界に来たように思えてきた。
「5人前後のヒーローがいて、巨大ロボがいて、それを一年間約50話作り、毎年すべてを入れ替える」
この仕組みそのものだ。
実際、戦隊の後に始まった「PROJECT R.E.D.」では、テレビ朝日自身が、これまでの「1年間」という放送期間や従来の枠組みにとらわれず、自由なストーリー作りと柔軟な編成を目指すと説明している。
最初の『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』も、一年間ではなく半年ほどで次の作品へ交代した。
これを見ていると、東映やテレビ朝日がヒーローものをやめたかったわけではなさそうだ。
むしろ逆で、続けるために形を変えた、と考えた方がしっくりくる。
スーパー戦隊という名前も消えてはいない。2026年のイベントでも、仮面ライダー、PROJECT R.E.D.と並んで歴代スーパー戦隊は普通に登場している。
つまり、テレビで毎年新しい戦隊を作ることをやめても、スーパー戦隊そのものまで捨てる必要はない。
ここまで調べて、今回考えていた「IP」というものが、また少し分かった気がした。
IPを守るというのは、同じ番組を意地でも続けることではないのかもしれない。
場合によっては、長く続いた形を一度やめることさえある。
作品の形を守ることと、その名前を生かしておくことは、どうも別の話らしい。




