第2章 昔から似たようなことはやっていた
IPという言葉について調べているうちに、ひとつ気になった。
今のエンタメ業界では、ひとつの作品をアニメだけ、映画だけで終わらせず、玩具やゲームやイベント、海外展開まで広げていく。それを長い期間続けて、作品そのものの価値を育てていく。
なるほど、これがIPビジネスというものらしい。
でも、やっぱり思う。
昔からやってたよな、これ。
仮面ライダーなんて分かりやすい。テレビでライダーが新しいベルトを使えば、おもちゃ屋には同じ形の変身ベルトが並ぶ。カードやお菓子、文房具もあったし、映画だって作られていた。
ウルトラマンなら怪獣のソフビがある。子供の頃、作品そのものは見ていなくても怪獣の名前だけは知っていた、なんて人も珍しくないと思う。
ガンダムに至っては、もうガンプラ抜きでは歴史を語れない。アニメの放送が終わってもプラモデルは売られ続け、新しいシリーズが始まれば、また新しいガンプラが出る。
これを今風の言葉で説明すれば、十分IPビジネスに見える。
映像だけでもない。
1970年代から80年代にかけて、角川は小説と映画を連動させた展開を積極的にやっていた。映画を見た人が原作を買い、原作を読んだ人が映画を見に行く。さらに音楽まで絡んでくる。
いわゆる「メディアミックス」だ。
今となっては当たり前の言葉だけれど、ひとつの作品をひとつの媒体だけで終わらせず、別の媒体へ広げていくという意味では、今のIP展開とかなり近い。
そう考えると、「昔は作品を作っていただけで、今になってIPビジネスが始まった」という話ではなさそうだ。
むしろ、やっていることだけを並べれば、かなり昔から同じようなことをしている。
ここで一度、最初に考えていたことが怪しくなってきた。
もしかして、本当に言葉が変わっただけなんだろうか。
昔は「シリーズ」「版権」「キャラクタービジネス」「メディアミックス」と呼んでいたものを、今はまとめて「IP」と呼んでいるだけなのかもしれない。
それならそれで話は簡単だ。
流行りの横文字がひとつ増えました。終わり。
……なのだけれど、どうもそれでは引っかかる。
今の企業が使う「IP」という言葉を見ていると、単に映画や漫画や玩具へ展開する、というだけではないように見える。
作品がヒットしたから別の商品を作るというより、もっと最初から、その作品を何年、何十年と使い続けることを考えているような感じがする。
そんなことを考えていて、ふと思い出した作品がある。
『機動警察パトレイバー』だ。
あれは今考えても、かなり変な始まり方をした作品だった。




