第1章 IPって結局なんなんだ?
まずは、そもそもIPとは何なのか。
調べてみると、IPは「Intellectual Property」の略で、日本語では「知的財産」と訳される。
著作権や商標、特許なんかも含まれる、かなり広い言葉らしい。
なるほど。
……いや、広すぎないか。
俺が最近よく目にする「ガンダムIP」とか「ウルトラマンIP」という言葉から想像していたものとは、少し違う。
もちろんガンダムやウルトラマンにも著作権や商標はあるので、知的財産であることには間違いない。ただ、エンタメ業界の記事なんかで使われる「IP」は、法律用語としての知的財産そのものというより、もう少し大きなまとまりを指しているようだった。
作品名やキャラクター、世界観、設定、ブランド。その作品から生まれるゲームや玩具、映像、イベントまで含めて、「これを使って今後もいろいろ展開していけるもの」くらいの意味で使われていることが多い。
たとえば「ガンダムIPを育てる」と言った場合、1979年のアニメ『機動戦士ガンダム』だけを育てるという意味ではないだろう。
新しいアニメを作る。ガンプラを出す。ゲームを作る。イベントをやる。海外でも展開する。
それら全部の中心にある「ガンダム」という名前そのものを、長く価値のあるものとして育てていく。今使われているIPという言葉には、どうやらそんな意味まで入っているらしい。
ここまでなら、まあ分かる。
ただ、また別の疑問が出てきた。
それって、昔からやってなかったか?
仮面ライダーなら、テレビをやって玩具を売って、映画も作っていた。ウルトラマンには怪獣のソフビがあった。ガンダムなんて、それこそアニメとガンプラを切り離して考える方が難しい。
俺が子供だった頃から、テレビの中だけで完結していた作品なんて、むしろ少なかった気がする。
作品があって、玩具があって、漫画があって、映画があって、ゲームになって。人気が出れば何年後かに新作が作られる。
今「IPビジネス」と呼ばれているものと、やっていることだけを見れば、それほど変わらないようにも見える。
だったら本当に、昔は「シリーズ」と呼んでいたものを、今は格好よく「IP」と呼んでいるだけなんだろうか。
どうも、それだけではないような気がする。
調べていくうちに、昔から似たようなことは確かにやっていたけれど、今とは少しだけ「主語」が違うんじゃないか、と思うようになってきた。




