第0章 仮面ライダー、長いな
馴染みのヲタクバーに顔を出したら、先に来ていたお客さんとマスターが、最近始まった仮面ライダーの話をしていた。
こういう店なので、そんな話が始まれば当然のように俺も混ざる。今のライダーはどうだとか、昔はこんなのだったとか、あのデザインは好きだったとか、そんな話をしばらくしていた。
そこで、ふと思った。
仮面ライダー、長いな。
いや、今さら何を言っているんだという話ではある。最初の『仮面ライダー』が始まったのは1971年。当然ずっと途切れず放送していたわけではないけれど、それでも半世紀以上経った今、新しい仮面ライダーが普通にテレビに出ている。
俺が子供の頃には、もうすでに「昔からあるもの」だった。それが今の子供にとっても、やっぱり「昔からあるもの」になっている。よく考えると、なかなかすごい。
そういえばウルトラマンもまだ新作をやっている。ガンダムだって、いまだに新しい作品が作られる。スーパー戦隊は50年でひとまず一区切りになったけれど、あれも長かった。
この辺の作品について最近の記事なんかを読んでいると、よく出てくる言葉がある。
「IP」。
ガンダムIP、ウルトラマンIP、強いIP、新規IP、IPを育てる。
ここ数年、やたら聞くようになった気がする。
意味はなんとなく分かる。キャラクターや作品そのものを指しているんだろう、くらいには思っていた。
ただ、そこでまた引っかかった。
俺が子供の頃、仮面ライダーやウルトラマンのことを「IP」なんて呼んでいただろうか。
たぶん呼んでいない。
「仮面ライダーシリーズ」とか「ウルトラシリーズ」とか、普通に「シリーズ」と呼んでいた気がする。ガンダムだって「ガンダムシリーズ」だった。
もちろん、昔から業界では知的財産だとか版権だとか、そういう言葉は使われていたんだろう。でも少なくとも、俺たち普通のヲタクが「このIPは強い」とか「IPとして育っている」なんて言い方をするようになったのは、もっと最近のことじゃないだろうか。
そもそも、IPって何なんだ。
昔の「シリーズ」と今の「IP」は、ただ呼び方が変わっただけなのか。それとも、そこには何か考え方の違いがあるのか。
ヲタクバーで仮面ライダーの話をしていただけなのに、なんだか妙なところが気になってしまった。
せっかくなので、少し調べてみることにした。




