第41話「子育ての安定と、桃華の“次の選択”」
朝・水上家
「……もう慣れたな」
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水上颯太は、三つ子の泣き声に自然に反応していた。
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最初の頃の慌てはもうない。
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ミルク、おむつ、抱っこ。
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一連の流れが体に染みついている。
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「颯太、手早くなったね」
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桜井桃華がキッチンから声をかける。
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「そりゃ毎日これやってたらな」
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颯太は笑う。
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安定した日常
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朝のルーティンは固定されていた。
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・颯太:育児メイン+大学
・桃華:育児+仕事調整
・阿利佐:サポート+生活管理
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「これ、完全にチームだね」
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桃華が言う。
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颯太は頷く。
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「家族ってそういうもんだろ」
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午前・静かな時間
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三つ子が寝ている間。
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リビングは静かになる。
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桃華はノートパソコンを開く。
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「大学の課題やらないと」
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颯太が隣に座る。
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「ちゃんと進んでるか?」
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「うん、なんとか」
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少し間。
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桃華がぽつりと言う。
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「ねえ」
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「私さ」
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颯太が顔を上げる。
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「ん?」
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“次の選択”
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桃華は少し迷ってから言う。
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「この仕事」
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「ずっとこのまま続けるべきなのかなって」
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颯太は黙る。
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桃華は続ける。
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「戻ったけどさ」
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「母親としての時間と、仕事の時間」
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「どっちも中途半端になってる気がして」
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颯太の答え
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少しの沈黙のあと。
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颯太は言う。
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「やめる必要はないと思う」
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桃華が顔を上げる。
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「でも無理して続ける必要もない」
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「自分で決めればいい」
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「“どっちを選ぶか”じゃなくて」
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「“どう続けるか”だと思う」
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桃華はその言葉を静かに受け取る。
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「……そっか」
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阿利佐の一言
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後ろから阿利佐が入ってくる。
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「迷うのは普通よ」
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「でもね」
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「全部完璧にやろうとすると壊れる」
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桃華は小さく頷く。
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午後・外出
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買い物帰り。
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三人で歩く道。
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颯太がふと空を見る。
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「前より楽だな」
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桃華が笑う。
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「それは慣れたからでしょ」
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颯太も笑う。
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「それもある」
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夜
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子どもたちが眠る。
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静かなリビング。
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桃華はソファに座る。
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「答え、まだ出てないけど」
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颯太は隣で言う。
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「急ぐ必要ない」
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桃華は少し笑う。
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「だよね」
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窓の外は静か。
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でもこの家の中は、確かに“進んでいる”。
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