第40話「イベント後の日常と、“戻った静けさ”」
朝・水上家
「……静かだな」
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水上颯太は、久しぶりにゆっくりした朝を感じていた。
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昨夜のイベントの疲れは残っている。
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でも空気は軽い。
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ベビーベッドでは三つ子が眠っている。
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颯
桜
桃佳
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桃華の朝
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桜井桃華はキッチンに立っていた。
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「普通の朝って、こんな感じだったっけ」
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小さく笑う。
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颯太が後ろから言う。
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「昨日の反動だな」
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桃華は頷く。
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「うん、ちょっと戻ってきた感じする」
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変化した日常
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以前のような“追われる空気”はもうない。
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代わりにあるのは、
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育児・仕事・家族のリズム。
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阿利佐がリビングに入ってくる。
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「今日は買い出し行くわよ」
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颯太が笑う。
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「了解」
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外の世界・ニュース
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テレビでは軽く報道される。
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「復帰イベント成功」
「ファン層拡大」
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それだけ。
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大きな騒ぎにはならない。
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ただの“仕事ニュース”として流れていく。
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桃華の心
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夜。
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子どもたちが寝静まった後。
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桃華はソファに座る。
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「ねえ」
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颯太が振り向く。
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「ん?」
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「普通っていいね」
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颯太は少し笑う。
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「今さらかよ」
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桃華は小さく笑う。
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「うん、今さら」
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変わらないもの
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颯太は静かに言う。
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「でも普通ってさ」
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「作るもんだと思う」
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桃華は少し驚く。
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「最初からあるわけじゃなくて」
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「積み上げるやつ」
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桃華はゆっくり頷く。
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「……うん」
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静かな夜
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家の中には三つの寝息。
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外は静か。
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でもこの家の中は、確実に“生きている”。
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桃華が小さく言う。
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「やっと落ち着いたね」
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颯太は頷く。
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「まだ途中だけどな」
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でもその声は穏やかだった。
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